自分の顔を見たことがありますか?
鏡に映る顔は左右反転していて、それは鏡という物質に反射した顔です。写真や映像は、紙にプリントされた物やデジタルとして光で表現された顔です。
今この瞬間、自分がどんな顔、どんな表情をしているかは見れません。本当の自分の顔は誰も見ることができません。
我々は他者を介してしか自分の顔を見ることができない。
これは「人間の宿命」でもあれば、「天からの贈り物」でもあります。「自分の顔を一番知らないのは持ち主である本人」と言うこともできます。
自分の顔を知るには似顔絵を描いてもらうのが一番
私は、物心がついた頃から“顔”に興味を持っていました。
「顔っていったい何だろう?」「どうして顔はみんな違うんだろう?」
幼い頃から似顔絵を描いてもらうのが好きでした。実物より格好良く描いてもらったり、逆に似てなかったり…。もしかしたら、「自分が見ている自分の顔と絵描きさんが見ている自分の顔は違うのかな?」なんて考えたこともありました。
たくさん似顔絵を描いてもらううちに分かったことがあります。それは「顔は見る人によって違って見える」「顔は見る人の見方によって違って見える」ということです。
似顔絵描きさんが、その対象者と話していて「この人は優しい感じだから優しい顔に描こう」「この人はスポーツマンっぽいから爽やかに描いておこう」「この女性は楽しいからサービスして美人に描いてあげよう」「この人は鼻に特徴がある。この鼻を強調して描こう」「この人は歯並びにコンプレックスがありそうだから、口を閉じた顔で描こう」などと思いながら違った絵を描くように…
誰もが、その人の印象を元に顔を見ています。
世界で唯一の似顔絵を描かれるプロ
私は、「世界で唯一の似顔絵を描かれるプロ」を自称しています。“顔を描かれるのも顔の研究”の一環ということで、海外ではポルトガルのリスボン、オランダのアムステルダム、アメリカはLAとニューヨーク、中国の大連で似顔絵を描いてもらいました。
国内の有名どころでは、コラムニストの辛酸なめ子さん、コラムニストの石原壮一郎さん、「大顔展」のイラストレーターラジカル鈴木さんにも描いてもらいました。
世界一の似顔絵アーティストである小河原智子さんには、ハンギョドン風、大仏風、石膏像風など8枚の似顔絵を描いてもらっていて、私の近著『1分で見抜け! 顔やしぐさでわかる本当の性格』(明日香出版社)では、著者似顔絵を描いてもらいました。
本来の私のキャラをよく知っているだけに、書籍用への調整はさぞ大変だったと思います。
似顔絵によって今まで知らなかった自分を知る
私が詠んだ川柳に「似顔絵を描かれてわかる我が心」があります。
私は、新宿ゴールデン街の「真夜中川柳会」に約3年、30回位参加し、川柳作家のやすみりえ先生から「近弗(こんどる)」という柳号もいただいています。
「自分の顔は人にどう見られているのか」を知りたい時は、似顔絵を描いてもらうに限ります。
いろんな顔に描かれると思いますが、そのすべてがあなたの顔なのです。「顔」は見る人と見られる人の間にあるのです。
100人以上の作家さんに描いてもらっていると、自分の顔が人にはどう見えているかがわかり、それも人によって見え方が違っていて「自分はこんな顔なのか、こんな風に見えるのか(デフォルメとサービスも含めて)」と、自分の顔を客観視することができます。
すべてを受け入れる
人から描かれた自分の似顔絵も、人から言われた言葉もすべて謙虚に受け入れることが、自らの成長の機会になります。
ヒドイ似顔絵を描かれたとしても、その瞬間自分がどういう顔をしてたかわからないわけで、本当にそんな顔をしていたのかもしれないわけですから。
顔は「数秒の時間でも微妙に変わっている」し、「コミュニケーションの仕方」の他にも、「その日の体調」や「その時の気分」でも変わっているのです。
いろんな人が私の顔を見て似顔絵を描きました。私の顔はひとつですが、これら全ての顔が私の顔なのです。
顔はコミュニケーション
顔は自分だけのものではありません。人間の顔は社会の一員として「人に見せるための顔」でもあります。
人間の顔は「見る人と見られる人の間にある」のです。
似顔絵を描いてもらうことは「コミュニケーション力」のアップにも繋がります。コミュニケーションすることで「いい顔」にもなります。
「顔」だけでも面白く、「似る」だけでも面白く、「絵」だけでも面白いわけですから、それが全部合わさった「似顔絵」というのはとてつもなく面白いものです。
あなたも、自分の顔を知るために似顔絵を描いてもらいませんか?