みなさんはジオパークという言葉を耳にしたことはありますか?ごつごつした岩場や、断崖絶壁の海岸などを想像する人もいるのではないでしょうか?
ジオパークとは地球・大地を意味する『ジオ(Geo)』と公園を意味する『パーク(Park)』とを組み合わせた言葉です。
まさに地球の息吹と歴史を体感できる大地のアートといっても過言ではありませんが、地質・地形から地球の過去を知り、未来を考えて、活動する場所でもあります。
今回は、ジオパークについてと、群馬県内のジオパークをご紹介します。
ジオパークってどんなところ?
ジオパークとは簡単にいうと、「地球」や「大地」を表す『ジオ(Geo)』と「公園」を表す『パーク(Park)』を掛け合わせて作られた言葉で、地球・大地の公園ともいわれています。
地質学的に重要な見解を持つサイトや景観が、保護・教育・持続可能な開発と一体になり、管理された地理的領域をジオパークとしています。
地質遺産から地球の歴史を知ることで、未来を想像し、未来に向けてどのように行動していくべきかの指標を示すものでもあります。
ジオパークには、「ユネスコ世界ジオパーク」と「日本ジオパーク」そして、ジオパークを目指している地域があります。
我が国では日本ジオパーク委員会が、一定の基準をクリアしたジオサイトをユネスコ世界ジオパークに推薦を行なっています。
ユネスコ世界ジオパーク認定基準等については→https://jgc.geopark.jp/whatsgeopark/index.html
世界には46もの国にある117のスポットが、ユネスコ世界ジオパークに認定されており、日本では洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸、隠岐、阿蘇、アポイ岳、伊豆半島の9つの地域が登録されています。
今回ご紹介するのは、ユネスコ世界ジオパーク登録を目指す、群馬県内にある2つの日本ジオパーク。地球の息吹を感じる壮大な大地のアートです。
地球誕生の鍵を持つ「下仁田ジオパーク」
特徴・見どころ
最初にご紹介するのはねぎとこんにゃくが有名な、群馬県南西部の甘楽郡下仁田町にある「下仁田ジオパーク」です。
下仁田町には、独特な山並みを持つ数々の山があります。しかもそれぞれ山のでき方が違うのが下仁田ジオパークの大きな特徴です。
跡倉クリッペと呼ばれる根なし山は、山の上側と下側で石が違います。これは、アジア大陸の東側にあった岩盤が、太平洋側に移動してきたと考えられているからです。
下仁田には900〜600万年前に火山の噴火で誕生した荒船山や妙義山があり、また町の中を中央構造線が走っていることから、この一体で様々な地殻変動が起こってきたことがわかります。地球誕生の秘密がここに隠されているのですね。
下仁田町はこの恩恵で豊かな地下資源が生まれ、それを利用した産業が発展、地形や自然を生かした世界遺産「荒船風穴」も作られました。
下仁田ジオパークは、地球誕生の秘密の鍵となる重要な地質遺産を持つ地殻遺産なのです。では早速下仁田ジオパークの見所をご紹介していきましょう。
おすすめジオサイト
まずは根なし山の地盤を作る「青岩公園」。鏑川と南牧川が合流する場所で、緑色の石畳が大きな特徴です。清らかな川の流れと、河岸の風景が美しさを織りなします。石畳の上でいつまでも川の流れを眺めていたくなります。
次は「はねこし峡」。下仁田町の中心部を流れる鏑川にある峡谷。飛んで渡れそうなほど幅が狭いので、この名前が付けられたといわれています。数千年前にできた岩盤が固いため、水が流れても川幅は広がらず、地面を掘り下げていったためこのような峡谷が出来上がったのだそう。川の流れを見ようとすると、足がすくむほどの高さがあります。
そして、「宮室の逆断層」。南牧川の川底や河岸に見られる跡倉層は、砂岩と泥岩の岩層ですが、下側が泥岩で上側が灰色の砂岩へと粒の大きさが逆転しています。地殻変動で岩層がひっくり返しになったと考えられています。河岸に降りると間近で観察することができますよ。
またこのほかにも荒船山や妙義山、神津牧場そして、世界遺産の荒船風穴などもあるので、観光がてらに足を運んでみてくださいね。
ジオパークの拠点となる下仁田町自然史館では、ジオパークの情報や岩石、化石などの展示も行われています。
ジオマップやテーマにちなんだモデルコースもあり
下仁田ジオパークの公式ウェブサイトでは、ジオサイトが一目でわかるジオマップや、妙義山、クリッペ散策、荒船山などテーマにちなんだモデルコースも充実しています。
ジオパーク散策に役立つので、ぜひチェックしてみてくださいね。
【情報】
施設情報 | ジオパーク下仁田協議会事務局 |
住所 | 群馬県甘楽郡下仁田町青倉158-1 (下仁田町自然史館内) |
TEL | 0274-70-3070 |
ウェブサイト | https://www.shimonita-geopark.jp |
ジオマップ | https://www.shimonita-geopark.jp/geomap/index.html |
モデルコース | https://www.shimonitageopark.jp/modelcourse/index.html |
下仁田ジオパーク公式ウェブサイト | https://www.shimonita-geopark.jp/index.html |
浅間山北麓ジオパーク
特徴・見どころ
次にご紹介するのは、群馬県北西部の吾妻郡長野原町と嬬恋村にまたがる「浅間山北麓ジオパーク」です。「災害と復興がつなぐ人々の営み」がテーマのジオパークです。
浅間山といえば歴史的に大きな火山活動を繰り返してきたことでも知られていますね。その度に地域や社会が壊され、人々が命を落としてきました。人々は協力し乗り越えて現在の地域へと再生を果たしてきました。
浅間山北麓ジオパークは広大なエリアにまたがり、6つのジオパークエリアと39のジオ・エコ・カルチャーサイトとビューポイントがあります。
大地誕生から浅間山の噴火、そして災害と共存してきた人々の苦労やそれを乗り越えて生み出してきた現在の豊かな生活までのストーリーを伝えることがテーマのジオパークです。
ここからは浅間山の北側に広がる浅間山北麓ジオパークの中でも、観光にピッタリのスポットや風光明媚で豊かな自然が楽しめる、おすすめのジオサイトをご紹介しましょう。
おすすめジオサイト
まずは「浅間山」。長野県と群馬県にまたがる標高2,568mの活火山です。噴火を繰り返し、現在の山の形となりました。山頂エリアからは、広大な裾野や浅間山の火山体自体を眺望することができます。
次に浅間山の麓にあり、上信越高原国立公園にも指定される「鬼押出しエリア」。ここには鬼押出し園があり、観光スポットとして年間を通じて多くの観光客が訪れます。1783年に起きた浅間山の大規模な噴火で流れ出た溶岩が冷えて固まった光景が一面に広がります。
そして「吾妻川エリア」。浅間高原から吾妻川が流れ「吾妻峡」を生み出し、四季折々の美しい豊かな自然と渓谷美を眺望できる風光明媚なエリアです。新緑や紅葉のシーズンには、観光客で賑わう人気のスポットです。嬬恋村内の吾妻川では、左岸に草津白根山が噴火した際の白根軽石流堆積物、右岸に浅間が噴火した際の軽石堆積物を見ることもできます。
このほかにも、浅間山の噴火などについて学べる嬬恋郷土資料館や鎌原観音堂、またシャクナゲやツツジの美しい湯の丸エリアなど、浅間山北麓ジオパークには様々な見どころがあります。
ガイドによるジオパーク案内ツアーもあり
浅間山ジオガイドの会では、専門分野のガイドさんによるジオパーク案内ツアーが行われています。
淺間山麓の自然や歴史、伝統、文化などに触れたり、噴火の体験などの物語も聞くことができます。
モデルルートの案内や希望に応じたガイド案内も可能なので、ジオパークに問い合わせてみてくださいね。
【情報】
施設名 | 浅間山北麓ジオパーク |
住所 | 群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原494-45 |
TEL | 0279-82-5566 |
ウェブサイト | https://mtasama.com |