京都の三条通には、レトロな建築やおしゃれなカフェ、セレクトショップが集まっています。
陽の光があたたかい冬の日、ハイカラな三条通を散策していると、目に入ってきたのは、絵画かポスターを壁一面に並べたカラフルなお店。素敵な雑貨を見つけられそうだったので、ガラスの扉を抜けて店内に入ってみたら、ビックリ。絵画でもポスターでもなく、なんと風呂敷のお店だったのです。
風呂敷の専門店『むす美』は、京都のふろしきメーカー、山田繊維株式会社が運営するショップです。東京と京都にお店があり、私がうかがったのは京都のほう。
正直、お店に入る段階では、風呂敷を買うつもりはなかったのですが……
入店わずか1分で、欲しくて欲しくてたまらなくなってしまいました。店員さんに相談しながら、お気に入りの1枚を見つけられて大満足。翌日からは、スーパーや図書館、仕事先など、どこに行くのも一緒です。というか、「風呂敷を使うために出かけている」ような気さえします。
私は風呂敷を使ったことがなかったので、こんなにドハマりするとは思っていませんでした。風呂敷の魅力をもっと知りたい! というわけで、山田繊維株式会社の山田悦子さんに、風呂敷や『むす美』のことを教えていただきました。
「風呂敷」の魅力って何だろう?
そもそも風呂敷を使ったことがある人は、かなり少数ではないでしょうか。風呂敷を触ったことすらなく、「結ぶのが面倒くさそう」「バッグのほうが便利そう」と感じている人が大半だと思います。
ですが、1枚で何役も兼ねるのが風呂敷のすごさ。山田さんは「風呂敷は中に入れるものにフィットさせて包めます。袋と風呂敷を上手に使い分けたいですね」とおっしゃっていました。
ものを包む以外にも、風呂敷には無限の可能性が。例えば赤ちゃんとお出かけするとき、
・おむつをまとめる袋
・おむつ替えのときに敷く布
・授乳ケープ
などが、風呂敷1枚でできるそうです。荷物が格段に減りますね!
ちなみに私は、図書館に行くときに重宝しています。何冊借りるかわからないので、10冊入れられる大きなトートバッグをいつも持って行ってましたが、最近は風呂敷1枚と図書館カードしか持ちません。風呂敷なら、1~2冊のときは小さく包み、10冊のときは大きく包めますからね。0冊のときは、畳んでポケットにしまえます。
ところで、風呂敷のサイズは大きく分けて3種類。初心者さんは一辺が約70cmの中サイズから使うのが、おすすめとのこと。私も中を購入しました。
少し使ってみて物足りなく感じたら、違うサイズの風呂敷を使うと良さそうです。
ライフスタイルに合った風呂敷の提案
「何にでも使える柔軟性」が風呂敷の大きな魅力。ですが、エコバッグや包装紙など「1つのものに1つの用途」に慣れている私たちは、「何にでも使える」と言われるとかえって困ってしまいます。
それが、私が『むす美』に惚れている理由のひとつ。風呂敷を熟知している店員さんに相談することで、日常のどんなシーンで風呂敷が使えるのか、イメージできるようになるんです。
「今は接客レスの時代で、それもひとつのスタイル。でも、風呂敷はお客さまとコミュニケーションを取れば取るほど、いろいろなイメージが膨らみます」と山田さん。「どんなときにお使いになりたいんですか? こういう風に使われたら便利ではないですか? と、その方のライフスタイルを聞きながら提案していくんです」
スタッフの方々も日常的に風呂敷を使っているので、経験を基に風呂敷の使い方を教えてくださいます。実感がこもっているので、とても頼りになるんですよね。例えば撥水加工されたポリエステルの風呂敷なら、大切なバッグを包んで雨避けカバーにもなる、とか。
店員さんにいろいろな使い方を教えていただくうちに、私も風呂敷の奥深さに目覚めてしまいました。風呂敷を買うだけでなく、包む文化に興味を持てることも、『むす美』の素敵な魔法ですね。
【まとめ】風呂敷初心者に優しい『むす美』
風呂敷を使ったことがない人にとっては、「結ぶのが面倒くさそう」「なんとなくダサい」というイメージがあるかもしれません。ですが、一度使ってみると便利すぎて感動します。むしろ、ものが溢れている今だからこそ、1枚で何役もこなせる風呂敷に価値があるのでは。
『むす美』の壁一面に整然と並ぶ色彩は、お店の外から見ても圧巻です。風呂敷に興味がない人でも、「何のお店なんだろう?」と気になって入ってしまうはず。実際、ほとんどのお客さんが風呂敷初心者なのだそうです。
店員さんの知識が豊富で、とっても頼れるお店です。おかげさまで、風呂敷を使うのが楽しくなりました。誰にも教えたくないくらい、大好きなお店です!
店舗情報
むす美 京都
京都市中京区三条通堺町東入桝屋町67
TEL:075-212-7222
むす美 東京
東京都渋谷区神宮前2丁目31-8
TEL:03-5414-5678
公式ウェブサイト:https://www.kyoto-musubi.com/