群馬県といえば温泉大国。草津や伊香保など、有名な名湯がたくさんありますね。今回はそんな群馬の温泉の中でも群馬県の西部・西上州と呼ばれるエリアの日帰り温泉にスポットをあて、自然や湯けむり情緒をたっぷり楽しめる極楽秘湯をご紹介したいと思います。
【上野村 浜平温泉 しおじの湯】絶景露天とご当地グルメも堪能できる秘境の日帰り温泉
まずは群馬を誇る秘境の一つ、上野村にある浜平温泉「しおじの湯」をご紹介しましょう。
温泉のロケーションと歴史
浜平温泉しおじの湯は山々に囲まれた、多野郡上野村を流れる神流川のほとりにある日帰り温泉です。山の合間を縫うように走る県道124号を上野ダム方面へ向かうと、温泉の建物が目に飛び込んできます。国指定天然記念物シオジ林が広がる上野村ならではの光景で、秘境感が溢れます。
2006年に誕生した日帰り温泉「しおじの湯」はかつての源泉であり、この地にあった温泉宿の「浜平」とシオジ林にちなんで名付けられたそうですよ。
「しおじの湯」の温泉成分と効能
古くは浜平源泉を引いていたものの、湯量の減少をうけて、現在は湯ノ沢源泉を温泉に使用。メタけい酸温泉弱酸性底拡張冷鉱泉という、無色透明の温泉です。
源泉はメタけい酸を豊富に含んでいるので、健康の維持促進に効果があるといわれています。日々の疲れを癒し、お肌がツルツルになることから、別名「美人の湯」ともいわれています。
絶景露天風呂が凄い!大浴場の様子もご紹介
しおじの湯には男女別々の大浴場があり、それぞれ内風呂と露天風呂を堪能できます。
黒を基調とした内風呂は広くゆったりしています。シャンプーなどのアメニティーが充実しているので、タオルとバスタオルがあればOK!熱すぎずぬるすぎず、程よい温度なのでのんびり入浴できます。
石造りの露天風呂は、内風呂に比べて少し熱めのお湯が楽しめます。上野村ならではの森林や神流川の絶景が広がり、川のせせらぎも聞こえてきます。
上野村の大自然と癒しを体感できる秘湯です。
入浴後もゆっくりできる、充実した館内施設
館内にはお座敷のリフレッシュルームがあり、湯上がりにのんびりとくつろげます。こちらでは源泉を飲むことも可能。体の内側からも、湯ノ沢の源泉効果を体感できます。
館内にはお食事処「しおじや」があり、上野村名物のいのぶたやしいたけなど地元の食材をふんだんに使った美味しいお料理も堪能できます。定食や麺類、カレーや丼ものなど充実したメニューが並びます。
施設名 :浜平温泉 しおじの湯
所在地 :〒370-1617 群馬県多野郡上野村檜原3487-2
定休日 :冬季不定休・火曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間:【3月~11月】
平日11:00~18:30(入館は18:00まで)
土日祝日11:00~20:00(入館は19:30まで)
【12月~2月】
11:00~18:00(入館は17:30まで)
入館料金:大人600円 子供400円
電 話:0274-59-3955
公式HP:https://www.shiojinoyu.com/
【星尾温泉 木の葉石の湯】山村の絶景と素朴な一軒家の秘湯
次に、南牧村の石垣と山村風景を堪能できる手作りの温泉「星尾温泉 木の葉石の湯」をご紹介しましょう。
温泉のロケーションと歴史
「星尾温泉 木の葉石の湯」は甘楽郡南牧村の最奥の星尾集落とよばれ、標高1,000m前後の山間、石垣の景観や古民家が美しいエリアにあります。日本の原風景のようなこの集落にはかつて共同浴場があり、地元の人々に古くから愛されてきましたが、昭和25年に惜しくも廃業。村も過疎化が進み、元気を失って限界集落といわれるようになりました。
しかし21世紀に入り、星尾温泉の歴史を途絶えさせたくないという思いから、村内外の有志が集い、ボランティアで築200年の古民家を手作りで改築。2018年9月に「星尾温泉 木の葉石の湯」として開業しました。
「星尾温泉 木の葉石の湯」の温泉成分と効能
星尾温泉の源泉は「木の葉石」(地元名で塩水鉱泉)と呼ばれ、一説には数千年前から湧き出ていたのではないかといわれています。
炭酸カルシウムを多く含んだ水が地表に湧き出し、沈殿して石灰華と呼ばれる小さな皿状の池を作ります。ここに溜まった水がナトリウム・カルシウム−炭酸水素塩・塩化物の含まれた冷たい源泉。ボイラーで沸かし、熱々のお湯を湯船に張っています。
炭酸水素塩泉は皮膚の表面を柔らかくしてくれるため、皮膚病や火傷、切り傷などの治癒に効果的。また塩化物泉は汗の蒸発を防いでくれるので保温効果が高く湯冷めがしにくいのだそう。また血行促進や殺菌力もあり、神経痛や関節リウマチ、捻挫などにも良いといわれています。
南牧の絶景を眺望できる極楽風呂
古民家の床を歩くと風情ある響きと空気感が漂います。ドライヤーと鏡のある脱衣所は昔懐かしいたたずまい。そしてドアを開けると杉などの木でできた浴室が登場します。
手作りの木の湯船には赤みを帯びた黄金のお湯が溢れんばかりに入っています。お湯に浸かると体が芯から温まり、目の前には村石垣の絶景を眺望できるので心もほぐれます。
木のとても良い香りが浴室内に漂い、それだけで癒されます。木造りの浴槽と湯桶も情緒あふれ、ゆっくりとした時間が流れます。
伝統的な古民家の雰囲気を味わえる館内施設
築200年を超える古民家の玄関を上がると、「レストランせせらぎ」があります。(取材時はコロナのため休業中)また歴史と情緒あふれる囲炉裏の間があり、湯上がりにゆっくり休憩もできます。宿泊施設も誕生したので、秘境の温泉でゆっくりした時間も過ごせますよ。
施設名 :星尾温泉 木の葉石の湯
所在地 :〒370-2816 群馬県甘楽郡南牧村星尾1162
営業時間:11:00~18:00(入館は17:30まで)
営業日 :金・土・日曜日(コロナの状況により当面の間)
入館料金:大人1,000円 子供500円
電 話:090-4733-4939
【大島鉱泉】大正ロマンと歴史あふれる県内唯一の温泉銭湯
最後に世界遺産の地として有名な富岡市にある、歴史と情緒あふれる「大島鉱泉」をご紹介しましょう。
温泉のロケーションと歴史
富岡市内から少し離れた山間の地にある大島鉱泉。地元の愛好者をはじめ、県内外から多くの入浴客が足を運ぶ、知る人ぞ知る人気の秘湯。古き良き日本の原風景を彷彿とさせる情緒溢れる秘湯です。世界遺産にも指定されている富岡製糸場から車で15分ほどの場所にあります。
かつては宿泊施設もありましたが、コロナ禍をきっかけに休業中。現在は日帰り入浴の営業のみですが、ちなみに群馬県内で唯一の温泉を使った銭湯なのですよ。
大正時代に井戸を掘っていたところ源泉を発見し、先代が源泉を買取って銭湯を始めたのが大島鉱泉の始まりです。
「大島鉱泉」の温泉成分と効能
大島鉱泉はメタほう酸を含む成分を持つ源泉を使用。泉量が少ないため加水を行い、源泉の温度が低いため加熱して浴槽に注いでいます。
またナトリウムやカリウムイオン、メタけい酸などを含むので疲労回復や健康増進などの効能が期待でき、お肌にもいいとされています。飲めば胃腸に良く、浸かると皮膚炎が治るので、まるで薬のように古くから地元の人に愛されているお湯です。
銭湯のようなレトロ感も
この大正ロマン漂うのれんの先に脱衣所、その奥に浴室があります。
タイル張りで年季が入った浴室はまるで戦前にタイムトリップしたかのようなレトロな佇まい。蛇口も昔ながらのお湯と水が別々に出るタイプで、ケロリン桶も完備されています。銭湯の風物詩とも言える壁画も見どころのひとつ。
11度ほどの源泉を薪で沸かした温泉のお湯は熱々です。体が芯から温まり冷え知らず、お肌もツルツルになりますよ。
館内のクラシカルな内装にも要注目
館内のロビーには絵画や写真などがたくさん飾られています。またレトロなソファーや縁側もあるので湯上がりに休憩もできますよ。
大島鉱泉には旅館が併設されていましたが、コロナの影響で残念なことに現在は営業を休止しています。いつの日か、再開が待たれるところですね。
施設名 :大島鉱泉
所在地 :〒370-2335 群馬県富岡市大島148
営業時間:13:00~19:00(入館時間は特に制限なし)
定休日 :不定休
入館料金:大人400円 子供180円
電 話:0274-62-1490
公式HP:http://www.tomioka-silk.jp/stay/detail/Oshima-Spa.html
おわりに
群馬県西上州エリアの秘湯を3つご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。いずれも個性的で、自然に囲まれた歴史情緒あふれる秘湯です。一度お湯に浸かれば、時間がゆっくり流れること間違いなし。観光地の温泉とは一味違う秘湯の極楽湯に入りに、群馬に来てみませんか?