桜の樹の下には屍体が埋まっている!
と、桜の話をするときには梶井基次郎『桜の樹の下には』を引用しなければ気が済まない、美術ブロガーの明菜です。梶井も京都の桜を見ていたのかな。
凍てつく寒さの冬が明けて暖かくなると、桜がわあっと咲きはじめ、京都の街中にも活気が満ちてきました。
京都には、桜を楽しめるスポットがいくつもあります。今回、私が訪れたのは『渉成園(しょうせいえん)』です。京都駅から徒歩約10分と好アクセス。
渉成園は、東本願寺の飛地境内地(別邸)です。約1万600坪と敷地は広く、大小2つの池を備えた庭園や、茶室などの歴史ある建築物を見て楽しむことができる国の名勝です。桜も密集して植えられており、春の始めは幸せな彩りに満たされています。
庭園維持寄付金として500円を納めて渉成園ガイドブックをいただき、庭園を散歩してきました。平日の昼間に訪れたためか特に混雑はなく、鴨も池の上で眠るほどの陽気をのんびり楽しむことができました。のどかなことこの上ない。
遠くから桜を見たり近づいたりを繰り返すうちに、おもしろいことに気がつきました。遠目から見ている間は薄いピンク色なのに、近づくと急に黒い幹が存在感を主張してきます。「花だと思った? 幹でしたー」と黒い肌とゴツゴツした節を見せつけてくるのです。
儚いものとして見ていた桜が、「実はお前より長く生きてるんだぜ」と強さを見せてきた感じがする、といいますか。あんまり要領良くないな、と思っていた友人が、回文だけ異常に得意だったのを知ったときみたいな。
何を言っているのかわからないと思いますが、私にもわかりません。
渉成園は基本的には有料ですし、お寺の庭園であり公園ではないからか、ワイワイ楽しむ大人数グループはいませんでした。
三脚を使ってカチコチの表情で自撮りをする初老の男性や、ぬいぐるみと共に桜を写真に収める壮年期の女性など、皆それぞれに桜を堪能しており最高でした。(桜を見に行ったのに人を見ている)
コロナ禍でワイワイできないというのもありますが、お花見の楽しみ方も多様化しているのだな、と感じました。
有名な桜の名所は多々ありますが、渉成園はまだあまり知られていないのでは。京都駅から近い穴場スポットでした。
【関連情報】渉成園について
所在地:〒600-8505 京都市下京区烏丸通七条上る
アクセス:JR京都駅より徒歩7分/地下鉄・五条駅より徒歩5分/市バス烏丸七条バス停より徒歩1分
開門・閉門時間:3月~10月 5:50~17:30/11月~2月 6:20~16:30
渉成園 公式ウェブサイト
https://www.higashihonganji.or.jp/about/guide/shoseien/