アート

幻想的な透明感が心に染みるアートコースター!「日常と月」土谷美咲さんの独創的な世界観とは?!

部屋の中でも月を感じることが出来るように〟というコンセプトのもと、ひとつひとつ手作業で仕上げていく。

手に取ってみると、淡い光の世界へ旅が始まるような、不思議な気分になる。今回はコースターブランド「日常と月」の作家・土谷美咲さんに、お話を伺いました。

ハンドメイドのコースター

きっかけは「透明感のあるコースターが欲しい」という思いからだったそう。コルクや布からできたものは多くあるけれど、自身が求めるものがなかなか見つからない。

「だったら自分で作ってしまおう!」と、動き出したところから制作活動が始まりました。

最初に思いついたのは、水をたっぷり含ませた水彩絵の具が、うっすらと広がっていくような世界。画用紙に色をのせ、それをアクリル板で挟み接着します。

そうして記念すべき、初コースターが完成しました。

しかしボンドで接着した部分がどうしても気に入らず、試行錯誤を繰り返したそう。

様々な色が混ざり合う

そんな中、美咲さんは「ファンタジープリズム」という画材に出会います。不思議な絵の具で、乾燥するにつれてハチの巣のような効果が現れるそう。

制作手順はこんな感じ。約3日間かけて絵の具の乾燥を待ち、上から樹脂コーティングを施していく。乾いたら側面を金の粒子で覆っていき、また数日のあいだ乾燥を待つ。最後に塗り残しがないかチェックを行う。

こうして現在の形が出来上がったそうで、一つが完成するまでになんと約10日間もかかるそうです。

側面もこだわりのひとつ

ブランド名「日常と月」にこめられた大切な思いとは?

ブランドの名前にもなっている「日常と月」には、素敵なエピソードがあります。

中学時代の恋人が、海外へ数週間行くことになった時のこと。初めての国際電話をした時に「会えないのは寂しいね」と話すと彼は「別の場所にいるけど、月はどこから見ても同じだよ、だから寂しくないよ。」と言ってくれたそうです。

離れていると時間も天気も違うので、同じタイミングで月を見られるとは限りません。

厚い雲に覆われて月そのものが見えない日もあります。ロマンチックでもあるけれど、そのどこか儚い「月」という存在にロマンを感じたそうです。

〝部屋の中でも月を感じることが出来るように〟というメッセージは、そんな彼女の思い出から生まれました。

太陽に当ててみると水面のような煌めきに

コースターは、好きな色やイメージを伝えてオーダーメイドで作ってもらうことも可能。見ていたら自分も欲しくなり、お願いして一つ作って頂きました。

自分はオレンジや黄色が好きなので「暖色系で!」とザックリお願いしたら、こんなに素敵なコースターが…。

イメージをお伝えして完成した、オーダーメイドのコースター

丸箱を開けた瞬間、思わずときめいてしまいました(笑)

子供の頃のようにワクワクする瞬間はあまり多くなくなってきたけれど、このコースターは何か旅が始まりそうな、そんな気分にさせてくれたのでした。

ちなみに、直接お会いすることができなくても、オーダーは受け付けることが可能。その場合、注文主のInstagram投稿やメッセージのやり取りなどを手がかりにして、好みの温度や空気感を感じ取りペイントしていくそう。

お願いする側としては、ちょっとした占い気分です。

丸箱を開ける瞬間がたまらない

色の指定でなくても制作できるのが強みだという、美咲さん。これまでにあった中では、特に「晴れた日の青空のように」というオーダーがワクワクしたそうです。

美咲さん自身も、晴れた日の青空の中で制作を進めました。

今回の取材でやり取りを重ねる中でも、顔は見えないけれど、ずっとこちらに寄り添ってくれているような、心の距離の近さを感じました。こんなオーダーの取り方ができるのも、美咲さんの人柄があってこそです。

もし気になる方がいらっしゃったら、ぜひ、美咲さんに気軽にInstagramTwitter等のDMで相談してみることをオススメします!

そんな美咲さんのコースターブランド「日常と月」は、東京の麹町にある人気の喫茶店「イイジカン」にて、前回の記事でもご紹介した「Romanzo.y」とのコラボアイテムを展示販売する二人展「透過と鱗」を5月11日まで開催中。

コラボ作品用に、初めて鉢を制作

お話を聞かせて頂いたあと、こちらの展示スペースにもにちらっとお邪魔しました。感染防止対策をしっかりとされたお店で安心できる空間です。もしお近くを通りかかることがあれば、落ち着いた店内で、一息ついてみてはいかがでしょうか。

展覧会情報「透過と鱗」(イイジカン)

目の肥えた喫茶店ファンから絶賛されている人気店「イイジカン」。人気のデザートメニューをはじめ、SNSで評判のお店です。

展覧会名:「透過と鱗」
展示期間:2021年4月15日(木)〜5月11日(火)
展示会場:イイジカン-呑める喫茶店-
     〒102-0083 東京都千代田区麹町3-10-8
アクセス:東京メトロ有楽町線麹町駅より徒歩5分
営業時間:平日 11:30-15:30(15:00LO) / 17:00-20:00(19:00LO)
※土日の営業時間、お休みにつきましてはイイジカンのInstagramをご覧ください。
Instagram:https://www.instagram.com/iijikan_koujimachi/
Facebook:https://www.facebook.com/iijikankoujimachi/

土谷美咲さんのコースターブランド「日常と月」

Instagram:https://www.instagram.com/nichijototsuki/
Twitter:https://twitter.com/nichijototsuki
ネットショップ:https://moonmon.thebase.in/

オサくん

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お酒と音楽が大好きな、アラサー男子。もちろん気分は高校生!(恥ずかしい)

アートに限らず、新しい体験を探すことが好きです。
iPadアプリ「プロクリエイト」の修行中。アドバイス求…。
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