コロナ時代に突入してから、事前予約制を取り入れたり、オンラインで展覧会を配信したりする美術館が増えてきました。コロナ前と同じような感覚でふらっと美術館を訪れ、「予約してない人は入れませんよ~」とお断りされてしまった美術好きもいるのでは。
そういえば、コロナ時代の美術館への行き方を整理した記事は少ないように思います。そこでこの記事では、美術館に行く前と当日にやるべきことを解説します。番外編として、自宅でアートを楽しむ方法も紹介します!
美術館に行く前に
コロナ禍で時短営業や予約システムを取り入れた美術館や展覧会が多いので、当日までに以下の2点は必ず調べておきましょう。
①開館日・開館時間
②事前予約できるか
コロナ前の感覚で「定時に仕事終わったし、金曜だから夜間開館行くか~」と美術館に行っても、時短営業で夜間開館が中止になっていることが……。「今から行ってみようかな」と思ったら、行動する前に開館日・開館時間の確認を!
事前予約もコロナ禍で活用が進んでいます。人気の展覧会だと事前予約のみ・当日券なし、となることも。事前予約できるか、当日いきなり行っても大丈夫なのか、美術館の公式ホームページで確認しましょう。
館によっては、事前予約と当日券とで入場料に差をつけていることも。例えば、コロナ前から事前予約制を取り入れているアーティゾン美術館は、当日券より事前予約のほうが入場料が安く、お得に美術館を楽しめます。
そのほか、事前予約はメリット・デメリットの両方がある印象です。密を避けて少人数で鑑賞できて快適なメリットがある反面、ふらっと訪れても入れない場合がある、というデメリットもありますね。欧米の美術館ではコロナ前から活用されている事前予約ですが、日本でも定着するのでしょうか。
美術館についたら
美術館はしっかり感染対策をしているので、私たちもぜひ協力しましょう!自分が好きな美術館で感染事例やクラスターが出たら、いたたまれません……そうならないためにも、コロナ禍では以下の3点に協力しましょう。
①検温と手指の消毒
②マスク着用
③会話は控えめに
検温と手指の消毒は入り口付近でできます。特別な理由がなければマスクを着用することも、皆さんご存じだと思います。美術館での会話は以前から賛否がありますが、コロナ禍では感染対策を優先し、会話は控えめで。
展示を手がけた学芸員が解説するギャラリートークも、コロナ禍で中止となっている場合が多いです。とはいえ、オンラインを活用してギャラリートークを配信している美術館もあります。自宅からでも美術館のコンテンツを楽しめるので、メリットと捉えられるのでは。
ポイント:空いているところから見よう
コロナ禍の美術館では、空いているところから鑑賞するのがおすすめです。混雑しているところにわざわざ突入して、無駄に感染リスクを上げる必要はないでしょう。
美術館の展示室には順路があり、できれば順路に沿って見たほうが内容がわかりやすいです。しかし、絶対に順路を守らなければならない館はほとんどなく、順番が前後しても楽しみが減ることは少ないでしょう。人が少ない展示物から見ていくのがおすすめです。
自宅で美術を楽しむ方法
感染しない・させないことを優先するなら、やっぱりステイホームが最善。というわけで、「家から出ずにいかにして美術を楽しむか」もコロナ禍で充実してきました。美術館とオンラインでつながったり、自宅でアートを楽しんだりもできるんです。
オンライン美術館
美術館の展示をオンラインで見られる機会も増えてきました。美術館が配信するギャラリートークやコレクション紹介はもちろん、『ニコニコ美術館』のように美術館に特化したチャンネルにも注目です。
『ニコニコ美術館(ニコ美)』は、展覧会の会場から90分~120分とたっぷり生中継する動画。展覧会を企画した学芸員の解説も聞けるので、オンラインで楽しむだけでなく、現地での鑑賞の予習・復習にもぴったりです。
しかも、東京だけでなく京都や奈良などカバー範囲が広いのもニコ美の凄さ。自分が住んでいる地域からは離れており、頻繁には行けない美術館の展示を見られるのは、オンラインならではのメリットです。
インテリアや図録
展覧会を楽しむだけが美術鑑賞ではありません。自宅でインテリアとしてアートを飾ったり、図録を読みふけったりするのもいいですよね。
先日、私も作品を購入しまして……動物の本質に迫る彫刻を作る瀬戸優さんの平面作品です。
以前から「欲しいな~」と思って見ていたのですが、私はリアルガチ猫の額に住んでいるので、立体の彫刻作品は厳しい。数年ほど見送り続け、この度は平面でしかもピンと来た作品に出会えたので即決でした。素材は立体と同じテラコッタですし、瀬戸さんでなければ作れない形と線と色なんです。
この記事を書いている時点ではGINZA SIXのギャラリー、アールグロリューで展示中です。家に飾るのが楽しみすぎます。
図録も自宅でのアート鑑賞に役立ちます。展覧会の作品と解説、論考を載せた図録はもちろん、書店で売っている作家別の図録もいいですよね。私はコロナ前の海外旅行で集めてきた図録や雑誌を読みふけっています。
ちなみに新しい図録が欲しいときによく行くのは、GINZA SIXの「銀座 蔦屋書店」と丸の内オアゾの「丸善 丸の内本店」です。蔦屋書店は国内外のアート、インテリア、ファッションなどビジュアル系の書籍に強いですし、丸善は海外の図録も取り扱っています。自宅でアートを楽しむ主旨から外れるので詳細は割愛しますが、海外の美術の本が欲しいときに頼りになる書店です。
まとめ
コロナ禍で事前予約を取り入れたり、ギャラリートークのオンライン配信を試みたり、美術館は新たな挑戦をしています。一方で、無料のオンライン配信に人が流れて会場に来る人が減るのでは、といった懸念もあります。
しかし、例えばテレビで無料でスポーツ観戦ができるようになっても、会場に向かうスポーツ好きがいなくなるわけではありません(コロナ禍では無観客など制限がありますが)。むしろ、生で見る良さと、画面で見る良さ(解説がある、グラフィックがわかりやすいなど)の両方が生き残り、多様な楽しみ方を提供しているように思います。
美術館も同じように、現地を訪れて同じ空間で作品を鑑賞するライブの体験と、オンラインで解説を聞いて学びながら見どころを深く理解する体験という二つの楽しみ方ができるのではないでしょうか。どちらが優れているかではなく、両方を楽しんでいきたいです。