楽活をご覧の皆さま、こんにちは!
ドイツでは、「新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックがピークを越えた」という政府からの見解が出て、行動規制が大幅に緩和されつつあります。一部を除いてほぼ規制が解除となりました!
2022年4月現在では、感染拡大防止に配慮しながら、各地でお祭りやイベントも徐々に開催されるようになってきています。
ところで、2022年は国際的にも非常に有名な芸術の祭典「ドクメンタ15」の開催年。開催都市・カッセルに住む筆者としては開催されるか否かで冷や冷やしていましたが、現状は開催される方向で準備が進んでいます。
そこで今回は「ドクメンタ15」について現地カッセル市内に住む筆者が見た、開催直前の街中での盛り上がりの様子についてお伝えします。
「ドクメンタ」とは?
一方で「ドクメンタって、何?」という方も少なからずいるでしょう。
「ドクメンタ」は2022年で15回目を迎える国際的な現代アートの祭典で「100日間の美術館」とも呼ばれています。開催地は、ヘッセン州にある街・カッセル。
前回開催の「ドクメンタ14」が開催されたのは2017年。開催頻度は5年に1度です。ちなみに、はじまった当初は4年に1度の開催頻度だったそうですよ!
開催期間中、カッセルでは街中いたるところでアーティストたちの作品を展示!街中がまるで美術館のようになるそうです。
パンデミックで危ぶまれたけれど、「ドクメンタ15」は開催予定!
現地カッセルに住む筆者ですが、現地カッセルでは2022年のドクメンタ祭はやる気満々!
今回の「ドクメンタ15」の開催期間は、2022年6月18日から9月25日までの約3ヶ月間。入場チケットはすでに発売中です。インターネット上でも好評販売されており、静かに熱く盛り上がっています。
芸術監督を務めるのは、インドネシア・ジャカルタ出身の10人組の芸術家グループ「ruangrupa(ルアンルパ)」です。
「ruangrupa」にはインドネシア語で「芸術の空間」または「空間の形」という意味があるそうです。ドクメンタでは、15回目の開催にして、初めて芸術家グループが芸術監督に就任したとのことで、現地の芸術ファンのみならず、全世界からの注目を集めています。
「ドクメンタ15」のテーマは「米納屋」の概念
アートファンのみなさまは既にご存知かもしれませんが、今回の「ドクメンタ15」では「手」がキービジュアルとなっています。
インドネシア・ジャカルタを本拠地とする彼らは、母国インドネシアでは「Lumbung(ルンブン)」と呼ばれる、農民たちが共同で使う米納屋(rice barn)の概念を視覚化したいめのが今回の「ドクメンタ15」のテーマなのだとか。
インドネシアの多くの村には現在も木造の共同米納屋が残っています。彼らは、村民で取り決めたルールにしたがって、毎年の収穫物を共同米納屋に集め、貯蔵するとともに、計画にしたがって収穫物を受け取ることができます。この取り決めによって、仮にある農家Aさん一家の田畑が不作だった場合、その年は村の共同米納屋からお米を得ることができます。
「Lumbung(ルンブン)」という言葉は共同の米納屋という意味だけではなく、以下の意味を持っているのだとか。
・友情
・お互いにバッチリ連携する
・お互いに物事を共有する
・同じグループの人全員を良く面倒見る
つまり、村の人たちにとって、村内の共同米納屋はみんなのためにあり、村の人たちが互いに助け合って生活している象徴でもあるわけです。
彼らは、この「Lumbung」の概念をアート活動へと適用しました。人間が「手」を使って行う「握る、与える、抱き締める」といった活動に着目し、「ドクメンタ15」でのテーマを「共有、連帯、友情」としたのです。多くのアーティストが国境を超えてアイディアを共有し、助け合い協力することで。作品を生み出していこう、というわけです。
筆者は今年が初ドクメンタ祭なので、どうなるか今から楽しみで仕方ありません!
「ドクメンタ15」が行われるカッセルを簡単に解説!
ドクメンタ祭が行われるカッセルは、ヘッセン州にある大学都市です。筆者が住んでいて思うのは、程よく都会で程よく田舎。
カッセルには、過去のドクメンタ祭の芸術作品だけでなく、世界遺産のヴィルヘルムスヘーエ公園やコミック作品があるカリカトゥアーミュージアムなど見どころも満載です!
さらに、グリム童話で知られるグリム兄弟が教鞭をとっていた場所としても知られています。周辺地域ではグリム童話の発祥地もあり、メルヘン街道の要所としても旅行ファンから注目されています。
ドクメンタ祭を事前に楽しむ現地からお届け!
「ドクメンタ15」の開催までいよいよあと2か月!現地ではもう少し早く、昨年の時点からじわじわと盛り上がっていました!
この項目では、熱気あふれるカッセル市内の様子を楽活の読者の皆様にちょっとだけご紹介します。
街中に「ドクメンタ15」の巨大なアート作品が出現!
「ruangrupa」が手掛けた「ドクメンタ15」のモチーフである「手」のアートが、建物の壁やトラムといった町中のあちこちで見られるようになりました!
公式ホームページもド派手なカラーになっているため、目がチカチカしてしまい「なんでわざわざこの色合いなの!?」と思う人もいるかもしれません。
このカラーにも、実は「ruangrupa」ならではのこだわりがありました。彼らにゆかりのあるインドネシア東部において、何世代にもわたって伝統的なテキスタイル製品に使用されている天然のテキスタイルカラーを採用しているのだとか。
ただ派手なカラーを使っているのではなく、彼らのルーツや伝統を重んじていることがとてもよくわかります。
「ドクメンタ15」の記念ビールも発売開始!
「ドクメンタ15」を記念して、カッセルご当地ビール「Hütt」が期間限定デザインを販売しています!ビールも現代アートチックになっているのがカッコいいですよね。
早速、試飲してみました!
紫の通常のビールはIPAビールをほうふつとさせる、味わいのあるビール。少し苦味はあるものの、裏に隠れるフルーティーな味わいがたまりませんでした♪
緑のアルコールフリービールはというと、ペールエールをほうふつとさせる、飲みやすいアルコールフリービールでした!紫の通常ビールよりもフルーティーで、柑橘系の酸味あふれる女性にもおすすめの味です。
昨年の時点から販売されていたので、ドクメンタ開催終了まで楽しめるはずです。もし、カッセルにいらっしゃるご予定がある方は、ぜひ現地スーパーなどでお求めくださいね!
Zoomを使ったオンラインイベントやリアルイベントの開催
ドクメンタ公式サイトでは、「ドクメンタ15」に先駆けて、リアルのイベント(ワークショップ)やオンライン会議ツールZoomを活用したイベントが随時開催されています。
現地ではコロナ禍が一応収束したことになっているため、現在はリアルのワークショップがメイン開催となっているようです。
過去のイベントについては公式ホームページでも確認できますので、気になる方はチェックしてみてください。
コロナ禍だけど大丈夫なの?
ドイツでは一応コロナパンデミックは終了したことになっていますが、どうしても新型コロナウイルスについては心配がありますよね。
「ドクメンタ15」の主催者側は、現在の状況や政府発表の規制を常に確認しながら、参加者の安全確保に努めるとのこと。
もちろん、コロナウイルスの感染拡大が再発するなど状況によっては中止の可能性もありますので、公式ホームページのコロナ情報は常にチェックしておきたいですね。
まとめ
ドクメンタ15の開催2か月前を迎えている現地カッセルからの情報をちょっぴりお届けしました!
ドクメンタは、カッセル市にとっての街おこしの側面もあるようなので、街全体で芸術の祭典を盛り上げようとしているのがわかります。筆者の身近なカッセル民はドクメンタを楽しみにしている人が多いんです。「ドクメンタ15」の情報がどんどん解禁されていく中、筆者も今からワクワクが止まりません。
「ruangrupa」がカッセル、ドクメンタ15のプロジェクトをどのように進めていくのか、今から楽しみですね。「ドクメンタ15」が開幕したら、現地からのレポートを楽活のみなさまにシェアできたらと思っています!
「ドクメンタ15」基本情報
開催日:2022年6月18日~9月25日
開催時間:午前10時から午後8時まで
所在地:カッセル・ドイツ
公式HP:https://documenta-fifteen.de/
Instagram:https://www.instagram.com/documentafifteen/
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