「人間、顔じゃないよ。心だよ」という言葉があります。
しかし、私たち人間は、自分で思っている以上に相手の外観、特に顔から内面を見抜こうとしています。
初対面の人と会った時、顔をはじめとした相手の外観、声、仕草などから、ほんの数秒で性格や能力を予測していることが、科学的にもわかっています。そして、その判断内容は、多くの人で一致します。さらに、かなりの確率で正確に予測できるという研究結果もあります。
写真を0.05秒見ただけで、その人が外向的かどうかがわかるという研究結果もあります。
第一印象はかなりの確率で当たるのです。
人間は視覚の動物
声や話し方、臭いよりも見た目で判断しようとするのは、人間が視覚の動物だからです。
外見の中でも、衣服や靴よりも顔で判断しようとするのは、身体の中で顔は唯一裸だからです。
(手は衣服の外に出ていて、夏には腕や肩まで出ているケースもありますし、メイクをしていると裸じゃないとか、コロナ禍以降は未だにマスクをつけて半分以上顔を隠している人のほうが多い等ありますが)。
古来から「顔と内面(性格)の関係」は研究されてきました。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、顔を見るだけで「その特徴から性格を推測できる」と言いました。
見た目で判断する理由
なぜ、人間は相手を見た目で判断しようとするのでしょうか?
それには大きく分けて3つの理由があります。
(1) 種の保存を目的とした健康的なパートナーを見つけるため。
(2) 助け合いながら生きていくため。
(3) そして、危険な相手を未然に察知して生き延びるため。
人間は1人では生きていけません。互いに助け合って生きています。
現代においては、「社会生活を営んでいく上で、よりよい相手と付き合い、よりよい人間関係を築きたいから」と言うことができます。
顔は本人の証明
私達が人と接する時に一番最初に目が行くのが顔です。対面すると基本的に目の位置(視界の正面)に相手の顔があります。
人間は顔から他者を識別し、相手がどんな人間なのか無意識のうちに顔から判断します。
・男か女か? 年齢は? 職業は?
・日本人か? 外国人か? ハーフか?
・ニューハーフか?
・誰なのか?(何さんなのか?)
などなど、無意識のうちに顔から識別しようとするのです。なぜなら、顔はIDカード以上に「本人の証明」だからです。
顔はその人の履歴書
さらに顔には、その時々の心理状態が表情によって如実に表れます。そして、その人の喜怒哀楽や思考、心のあり方などすべてが表情の蓄積によって履歴書のように顔に描かれます。そのため、歳をとればとるほど人格がにじみ出てきます。
企業の採用試験の面接でも、質問に対する答えだけでなく、その人の顔(表情)から内面を探っています。
「精神力はあるか?根気はあるか?」「みんなと仲良くできるか?協調性はあるか?」「忠誠心はあるか?」「ポジティブかネガティブか?」「誠実さは?」「積極性はあるか?」「頭の回転は早いか?」「真面目か?」などなど。
原始時代であれば、女性は男性の顔や体格を見て「守ってくれるか?」を判断していたのでしょうが、現代の婚活パーティーのような場であれば「経済力はあるか?」「生活力はあるか?」「安定性はあるか?」「女性に優しいか?」「自分と価値観が合うか?」「女性が働くことに理解はあるか?」「見た目は平均以上か?」などを判断しています。
人間にとっていかに顔が重要であるかが、わかっていただけたと思います。
ところが最近は、ネット上のコミュニケーションが増えたため、対面のコミュニケーションに不安を感じる人が増えてきました。
『1分で見抜け!顔やしぐさでわかる本当の性格』
そこで書いたのが、私の5冊目の著書『1分で見抜け! 顔やしぐさでわかる本当の性格』(明日香出版社)です。
対面コミュニケーションに不安のある人が不安を解消し、良い人間関係を築けるように書きました。
また、3年以上にも及ぶコロナ禍によるマスク生活で「マスクを外すのが怖い」という若い人まで出てきました。
「完全ノーマスク解禁日」の5月8日以降の今もなお、ほとんどの人がマスクを外せないでいます。マスクで顔を隠すことが当たり前だと勘違いしてしまっている人さえいます。
そんな社会を正常に戻し、「マスクを外して顔でコミュニケーションを図る人間らしい生き方」をしてもらうために書きました。
相手に自分のことをわかってもらうために、自分の顔を見せましょう。
そして、相手の顔を見てコミュニケーションをし、苦手だと思っていた人とも人間関係をよくしていきましょう。