はじめまして。パソコンと向き合ってばかりで「あれ?この前ペンを持ったのって、いつだっけ?」となった本河(ほんかわ)です。
そういえば昔、蔵前で万年筆とかペンに使えるインクを作れるって聞いたことがあります。 …自分で作ったインクって、まさに『つい使いたくなるインク』じゃないですか?
ペンを持たない生活をしているなら、つい使いたくなるインクとペンを手に入れればいいじゃない?ということで、今回は東京のブルックリンとも呼ばれている台東区・蔵前の文具店「カキモリ」が運営するインクスタンド「inkstand by kakimori」に行って、マイカラーインクを作ってきました。
扉の向こうはカラフルな実験室!
今回、私が体験してみたのが「inkstand by kakimori」で人気のワークショップ「ORDER INK SELF」というコース。お店で決められた手順にしたがって、自分オリジナルのインクを自分自身の手で制作し、気に入った色を購入して持ち帰ることができます。
ワークショップで作るインクは「水性顔料インク」。万年筆やボールペンなどのカートリッジに装填して使います。他にも、ガラスや羽などの素材でできた「つけペン」でも使用可能。
この水性顔料インクの特徴は、耐水性の高さ。インクが乾いた後ならちょっと濡れてもビクともしないことから、水彩絵の具と併用することができるそうです。これは、イラストなどを描かれる方にとってはポイントが高いのではないでしょうか。
さて、準備ができたらいよいよワークショップタイムがスタート。インクのブレンドと試し書きを繰り返す、お気に入りの一色と出会う旅のはじまりです。
調色のための制限時間は45分です。制限時間内であれば何色でも作ってOK。そして、オーダー数にも制限が設けられていないので、自分で作ってみて気に入った色があれば、いくつでも購入することが可能です。
いざ実践!はじめてのインクづくりはいかに?
なんとなく青系のインクが気になったので、まずは青系から。ここから先は、実際のインクづくりの様子を写真とともにお伝えしますね。
以上!
びっくりするくらい簡単。
1回の調色で使用できるインクは3色まで。たった1滴でニュアンスが変わり、思ったような色味が出たり、インクを足すことで色の変化を味わえたり、これがとにかく面白い。制限があることで色と量の組み合わせを考えるようになるので、普段の生活では使わない思考回路が刺激される感じです。
想像以上の存在感を発揮するインクも
ところで、使用できるインクにはディープカラーと呼ばれるものがありまして。こちらは特に濃くて、ほんのちょっと落とすだけでものすごく強く発色することから、取り扱いには注意が必要とのこと。
…そう聞くと試してみたくなるのが人情ですよね。
ここまで濃いと、どのインクを入れても赤が主張してくる予感しかしない。
それなら、ニュアンスを変えてくれそうな色をここに入れたら一体どうなるのか。
一時はどうなるかと思いましたが、秋っぽい雰囲気の赤ができました。
お次も赤系にチャレンジ。これはこれでいいけれど、なんとなくしっくりこない。ちょっと出来心で黄色系のインクを多めに加えると、すると今度はレトロ感満載な色合いに。これは思ってもみなかった変化です。今回作った色のなかでも好みに一番近いかも。
刺激的な色が続いてちょっと目が辛くなってきたので、今度は癒し系の緑系にチャレンジ。先ほど黄色系がいい仕事をしてくれたことを受けて、今回も黄色系多めで。
後半戦になってくるとためらいがなくなってくる。
また好みの色味ができました。試し書きの線が草原のようです。
このワークショップ、ハマる人はとことんハマる楽しさですね。時間が経つにつれて、あれこれ試したくなる気持ちがどんどん高まります。
そして、この楽しさ故に後で悩むことになろうとは、まだこのときは知る由もなかったのです…。
一番の難関だったのは「どの色を選ぶか」
今回のワークショップで一番大変だったのは、試作した4色のうちどれを選ぶかでした。困ったことに全部お気に入りすぎて、どれにしようか決められない。どれもドキドキしながら作ったインクなので、仕方ないことかもしれません。
はじめてのインク体験「青」
ディープカラーが効いている「赤」
いまの好みに一番近い「茶」
ジュワッと感がいい雰囲気の「緑」
悩んだ末に決めた「あの色」をオーダー。作ってもらいたいインクの配合比率をスタッフさんに伝えて、同じ色を再現できることを一緒に確認してから、できあがりを待ちます。
待ち時間には下町・蔵前の街歩きもおすすめです
できあがりまで1時間ほどかかるとのことなので、待ち時間を使ってランチと蔵前散歩へ。
そこで、「inkstand by kakimori」から徒歩5分ほどの場所にある本店「カキモリ」にも行ってきました。
店内には国内外から集められたこだわりの文房具がひしめいていて、好みの書き心地のノートや便箋を探したり、オリジナルのインクを使って試し書きをしたり、時間を忘れて楽しめます。
そしてなんとこちらでは、表紙・中紙・リング・留め具をセレクトして製本するオリジナルノートづくりも可能。これはもう、文房具好きにはたまらないお店です。
下町の風情が残っている街並みには、他にも気になるショップがチラホラ。ブラブラ歩いているだけで、なんだか楽しくなってきます。台風の影響で臨時休業しているお店も多かったので、また機会があったらフラフラしに来たいですね。
さっきまでインクを扱っていたからでしょうか。いつもより、街中の色に目が向くような気がします。約1時間のワークショップを体験しただけでこれほど感覚が変わるとは、ちょっと意外な発見です。
あっという間に時間が来たのでインクの引き取りへ。先ほどワークショップを行った場所のすぐ隣にある店舗スペースで受け取ります。
こちらでは、「ORDER INK WITH」という、スタッフさんと相談しながらインクづくりを体験できるコースが用意されています。私が体験した「ORDER INK SELF」とは違い、事前予約は不要。ふらっと立ち寄ることも可能ですよ。
マイカラーインクに想いをのせて
今回のワークショップで作った4色の中から選んだのはこちら。
あの「赤」です。
青色とものすごく悩んだのですが、あの体験を手元に残したいと思ったことと、なかなか選ばないちょっと渋い感じの色味だなと感じたことが、この色をオーダーする決め手になりました。
同じく店舗で購入したペンに装填します。
そしていよいよ試し書き。
うん。なかなかいい感じです。こうして見ると、赤というよりも、燕脂のような紫のような、なんともいえない不思議な色ですね。
【まとめ】
せっかくなので、今回のワークショップで作ったインクを使ってみました。
【ワークショップ概要】
inkstand by kakimori
ORDER INK SELF(事前予約が必要です)
▼予約はこちらから
https://ux.nu/Lj1HM
営業時間:11:00-18:00
場所:〒111-0051 台東区蔵前4-20-12クラマエビル1F
定休日:平日
公式HP:https://inkstand.jp/