ルーヴル美術館の名画から愛を知る展覧会「ルーヴル美術館展 愛を描く」

国立新美術館にて開催中の「ルーヴル美術館展」に行ってきました。

展覧会にて「愛とは何か?美しさ、幸せだけが愛ではない」ことを知るのですが、一度鑑賞した後は、気に入った絵について、名画の背景にある愛の物語をじっくり一つ一つ鑑賞してきました。

今回も名画を楽しむ方法をご紹介します。

背景にある物語を知って絵を深く味わう

フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》1758年 展示風景

写真の絵は、ロココ時代の代表的な画家フランソワ・ブーシェが描いた大作《アモルの標的》です。もともと、連作タペストリーの原画のひとつとして描かれたこの絵には、「神々の愛」をテーマにした華やかな物語が込められていました。

古代神話によれば、神であれ人間であれ、愛の感情は、ヴィーナスの息子である愛の神アモル(キューピッド)が放った矢で心臓を射抜かれた時に生まれると言われていたそう。

ハートが印された標的に刺さる矢によって、恋人たちの愛の誕生が表されています。標的の上に舞うアモルは、高潔な愛で結ばれた恋人たちに授ける月桂冠を高々と掲げ、地上では、二人のアモルがもはや不要になった弓矢を燃やしているということを表しているそうです。

絵画でハートが描かれているのも可愛くて、この展覧会でお気に入りの絵です。私たちが両思いになれるのは、愛の神アモルのおかげなのですね。

その後、古代神々の愛、キリスト教の愛、家族の愛、悲劇の愛などの多様な愛の絵を鑑賞しました。

展覧会風景

18世紀フランス絵画の至宝、フラゴナール《かんぬき》が26年ぶりに来日!

展覧会風景

こちらは、本展のハイライト作品のひとつ、ジャン=オノレ・フラゴナール 《かんぬき》です。

ジャン=オノレ・フラゴナール 《かんぬき》1777-78年頃 展示風景

本作は18世紀フランス絵画の至宝として著名な作品。絵に秘められた「暴力的な愛」をめぐる物語は私にとって衝撃的でした。近くなりすぎた関係だからこそ起こる憎しみなのかもしれません。

官能的な愛の戯れの賛美なのか、道徳的警告なのか、あるいはその両方なのか、一義的には解釈できない曖昧さこそ、《かんぬき》の最大の魅力と言われているそうです。

悦楽が一瞬にして暴力に転じかねない性愛の繊細さ、複雑さを、フラゴナールは見事に描き切っています。

鑑賞後は撮影を楽しむ

展示風景

そして、この展覧会の凄いところは、ブルーの壁紙が施された最後の展示室では、一般のゲストも撮影可能なことです!

鑑賞マナーを守りながら、名画を自分視点で楽しく撮影してみてください。

好きな絵の特定のモチーフを切り取ってみてもいいでしょう。今回の展覧会では「ドレス」に着目して撮影してみました。絵の中に描かれた、16~19世紀までの様々なドレスが気に入って切り取りました。

私が展覧会で一番好きな作品「アモルとプシュケ」

フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 展示風景

こちらは、フランソワ・ジェラールが愛の神アモル(キューピッド)とプシュケの恋愛模様を描いた《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》です。愛の神アモル(キューピッド)とプシュケの恋模様が描かれています。

愛の神アモル(キューピッド)とプシュケの恋は、古代ローマの哲学者アプレイウスの小説で語られています。

美貌で知られた王女プシュケは、これを妬んだ女神ヴィーナスの策略により、醜悪な生き物と結婚するという恐ろしい神託がアポロンから下されます。

そこで、プシュケに恋をしたアモルは彼女を宮殿に運び、自分の姿を見ることを固く禁じつつ、夜間だけ彼女とともに過ごすという奇妙な結婚生活を送りました。しかしある晩、プシュケは眠る夫の姿をランプの灯りで見てしまい、怒ったアモルは飛び去ってしまいます。以後、さすらいの旅に出たプシュケは数々の試練を乗り越えてアモルと再会し、最後は天界で結婚式をあげました。

この物語は古代以来、駆刻や絵画に表現されており、フランスでは特に18世紀末に流行したそうです。

“縁のある方とは、一度離れていても、またどこかのタイミングでご縁がある”と私は思って生活しています。

それは、友人、恋人、恩師・・・色々な関係性で起こることだと思っていて、“ご縁や運命は、その時の自分に必要だったから起こること。”そんな風に考えています。

なので、この絵を見て物語を知った時、どん底にあった瞬間にこの絵に出会えたなら、未来に希望を持てるのではないかと感じる愛の絵だなと思いました。

当時の批評家たちは、目が見えていないようなプシュケの表情や、思春期を思わせる身体の表現に、初めて愛を意識した無垢な少女の驚きを読み取りました。彼女の頭上に蝶が舞っているのは、「プシュケ」がギリシア語で「蝶」と「魂」を意味するためだそうです。

当時アモルとプシュケの恋は、プラトン主義の解釈に基づき、神の愛に触れた人間の魂が試練を経て幸せを知る物語と解されていたとのことです。

展覧会にて色々な形の愛を知って、最後にこの絵に出会った時、アモルの表情からやはり愛は素敵だと感じる瞬間でした。

展覧会特設ショップもオススメ!

私が購入したのは、会場限定の鎌倉紅谷のクルミッ子(ルーヴルッ子)とGRANNY SMITHのラヴ・ルーヴル アップルクッキーボックス、アレクサンドル ドゥ パリのカチューシャ。センスあふれるグッズ満載の楽しめる空間でした。

「ルーヴル美術館展 愛を描く」展覧会基本情報

「ルーヴル美術館展 愛を描く」
会期:開催中〜2023年6月12日(月)
会場:国立新美術館
時間:10:00〜18:00
休館日 火曜日 3月22日(水)
※ただし3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館

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