くらし

もはや居間の延長?!カフェ文化が根付くオランダのコーヒー事情や、とっておきのお洒落カフェをご紹介!

前回「コーヒー消費大国オランダの最新コーヒー事情をご紹介!」でオランダのおうちでのコーヒーの楽しみ方をご紹介しましたChikaです。

今回は第二弾!オランダのコーヒーの歴史やカフェについてのお話です。

オランダでは日常生活にカフェの存在が欠かせません。モーニングコーヒーに始まり、職場での休憩時間、ランチタイム、午後のお茶の時間、そして仕事帰りにお友達とのおしゃべりに、カフェは生活の一部といえるかもしれません。

ヨーロッパのカフェ文化と言えばフランスの街角やイタリアのバールなどを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、オランダにも中世から続くカフェ文化があるんです。

そこで、そんなオランダのカフェ文化に触れるために街を歩いてみました。

創業260年!オランダの老舗コーヒーブランド ダウエグバーツ

オランダにコーヒーが伝わったのは17世紀初頭と言われています。日本で言うと江戸時代。

オランダ北部フリースランド州のヤウレという街にあるオランダの老舗コーヒーブランド・ダウエグバーツ(Douwe Egberts)1号店に行ってきました。

ヤウレの商店街のなかほどにあります

創業当時の様子(引用元:Museam Joure https://www.museumjoure.nl/)

ダウエグバーツは創業260年の歴史を誇るオランダNo.1のコーヒーブランド。赤いDEのロゴで知られています。世界130カ国以上の名だたるレストランやカフェで愛されているコーヒーブランドです。

公式サイトの情報によると、1753年、ヤウレの街のミドストラート通りに「De Witte Os(ホワイトオックス=白い牛)」と名付けた嗜好品(コーヒー、紅茶、タバコ)を取り扱う店舗をオープンしたのが社のはじまりだそうです。

古いレジスターや秤などが置かれた店のカウンター

お店に入ってみると、店の中は18世紀当時の様子が再現されていました。店内はコーヒーの香りに満ちていて素敵な空間です。

実際にここで焙煎されたコーヒーを購入することも可能です。

店の裏側にはフリースランド州の製造業の歴史を伝えるヤウレ博物館があります。

ダウエグバーツの歴史はオランダのコーヒー文化の歴史そのもの。オランダのミュージアムカード(全国400カ所以上のミュージアムで使用できる共通年間パスポート)を持っていれば博物館は無料で入場可能。博物館の中を見学してみます。

ダウエグバーツのコーヒーパッケージの変遷
1950年代と1990年代のコーヒーメーカー

オランダのテレビで初めてコーヒーを宣伝したのも、ダウエグバーツ社だそうです。TVの普及とともにDEブランドもオランダ国中に浸透していきました。今ではオランダのどこのスーパーに行ってもDEロゴのコーヒーを目にすることができます。

ヤウレ博物館の入場スタンプを提示すると、併設のカフェでコーヒーか紅茶の無料サービスが受けることができます。コーヒーブランドの博物館ならではの嬉しいサービスです。

博物館併設のカフェ、テラス席もあります

オランダのカフェでコーヒーを注文するとクッキーやチョコレートなどのスイーツがおまけでついてきます。無料サービスの場合ももちろんおまけつき!

ここではダウエグバーツオリジナルパッケージのシナモンクッキーがついていました。

可愛いロゴ入りカップで提供されています

ヤウレ博物館ではコーヒーの歴史に関する展示の他にも、この地方で盛んだった時計製造や印刷機械の歴史についての展示もたくさんあります。時間をかけて何度でも訪れたくなる博物館です。

古い印刷機が集められた部屋、実際に活版印刷が体験できるものもあります

生活に根付いたオランダのカフェ文化

オランダの人々にとってなじみのカフェは自分たちの居間の延長。毎朝コーヒーを飲みながら新聞を読んだり、ランチや軽食で友人に会ったり、仕事の後にビールを飲んだり。時間をかけてゆっくりコーヒーを味わいます。

どこの街に行っても運河沿いや街の広場の周辺にはたくさんのカフェが並んでいます。

緯度が高く冬場の日照時間の短いオランダでは、ひなたのテラス席が人気です。冬でも天気のいい日は日光浴を兼ねて外のテラス席でコーヒーを楽しむ人々の姿を見ることができます。

テラス席でコーヒーを楽しむ人々

街中を散策していると、運河のボートや古い教会を改装したカフェなども。個性あふれるカフェを探すのも街歩きの楽しみのひとつです。

ボートの上が客席になっています

オランダの街を歩いてカフェを探す際の注意点がひとつ。

街を歩いていると「Coffee Shop(コーヒーショップ)」の看板を掲げたお店に出会いますが、ここは大麻の販売所です。

2020年のロックダウン実施前日、コーヒーショップ(大麻販売所)が長蛇の列になったという地方新聞の記事

オランダでは、大麻の利用は厳密には合法ではないのですが、様々な制限と条件下で個人による栽培・所持・利用が許容されています。コーヒーを楽しみたいときは「コーヒーショップ」ではなく「カフェ」の看板を探しましょう。

こんなところにもカフェが!個性的なオランダのおしゃれカフェ3選

オランダにはおすすめしたい素敵なカフェがたくさんあります。今回はちょっと変わった場所にある美しいカフェを3つご紹介します。

①アムステルダム中央図書館(OBA Oosterdok)の中にあるカフェ

まず1つ目はアムステルダム市内、アムステルダム中央図書館(OBA Oosterdok)の中にあるカフェ。
アムステルダム中央図書館はアムステルダム中央駅から徒歩約7分の場所にある欧州最大の図書館です。この建物の最上階にカフェがあるんです。

テラス席から中央駅前の運河や街並みを楽しむことができます

オランダでは飲み物の持ち込み可能な図書館も多く、コーヒー片手に本を読むことができる場所も珍しくありませんが、ここのカフェはそれだけではありません。

アムステルダム中央駅前から南に広がる美しい街並みを一望できる場所にあるカフェ、このテラス席からの眺望が素晴らしいんです。アムステルダムの古い建物はほとんどが地上5階ほどの低層建築のため、空が広く遠いところまで見渡すことができるのです。

公共の図書館なので入場はもちろん無料、そのうえコーヒーや食事が楽しめる贅沢な空間です。図書館の営業時間と同じ夜10時まで利用可能です。

白を基調とした明るい店内

ぜひここで景色を楽しみながら美味しいコーヒーを味わっていただきたいです。

②ワーンダース・イン・デ・ブルーレン(Waanders In de Broeren)

続いてご紹介するのはオランダ北東部ズウォレという街にある、古い教会を改装した本屋さんワーンダース・イン・デ・ブルーレン(Waanders In de Broeren)。

ズウォレの街は中世の時代にハンザ同盟都市で栄えた歴史ある街。旧市街を囲む石壁や古い建物、中世の面影が色濃く残る美しい街です。旧市街の中にあるこの書店は、オランダの美しい本屋さんの一つとして知られています。

中世の面影が残るズウォレの街

ご紹介するのはこの本屋さんの中にあるカフェ。15世紀に建てられた教会だけあって高いアーチ型の天井と光を受けて輝くステンドグラスが本当に美しくて、本を買う予定がなくても一度訪れて欲しいおすすめの場所です。

書店の奥がカフェになっています

③アムステルダム中央駅構内のスターバックス

ホーム側から見た店の入り口。駅の中からは、1番ホームから直接店に入ることができます。
(スターバックスに入るための改札口があります。)

3つ目はアムステルダム市内、中央駅構内にあるスターバックスです。オランダにもスターバックスは進出していてアムステルダム市内だけでも数件ありますが、ここは中央駅の駅舎のなか、改札口を見下ろす2階にあります。

オランダ有数の観光スポットとして知られる中央駅内のスターバックスにも関わらず、駅の正面ファザードに看板がないせいか、意外にも店内は静か。穴場的な場所です。

高い天井とシャンデリアの優雅な店内

かつて待合室だった当時の面影を残すクラシカルな内装は重厚で美しく、ここが“えきなか”であることを忘れさせてくれます。まるで美術館の中にいるような穏やかな時が流れています。

テラス席は駅舎の改札口の真上に位置しているので、行き交う人々を眺めながらゆったりコーヒーを楽しむことができます。改札ホールには、誰でも自由に弾くことができるピアノが置かれています。天井が高いので音響効果もよく、運良く誰かの演奏中にテラス席でコーヒーを楽しんでいたなら、さらに素敵な時間になること間違いなしです。

テラス席から見た中央駅の改札口

ちなみにオランダのスターバックスではオーダーの際に「あなたのお名前は?」と聞かれ、できあがると名前で呼んでくれます。日本人の名前は聞き取りが難しいらしいので、略称やニックネームで伝えると注文がスムーズかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?

オランダのカフェは単にコーヒーを味わうだけでなく、読書をしたり友人とおしゃべりしたり景色を堪能したり、ゆったりと時間を味わう場所でもあるのです。

オランダ語には「Gezellig(ヘゼル)」という単語があります。日本語でいうと「居心地がいい」とか「いい雰囲気」とか「楽しい」という意味を総称したような単語で、普段でもよく耳にします。この言葉が日常でよく使われること自体、オランダ人がいかに心地いい暮らしを大事にしているかわかる気がします。

ヤウレ博物館(英語・オランダ語)
https://www.museumjoure.nl/
ダウエグバーツ公式HP
https://jdepeets.co.jp/
アムステルダム公共図書館(英語・オランダ語)
https://www.oba.nl/vestigingen/centrale-oba.html
ワーンダース・イン・デ・ブルーレン(オランダ語)
https://libris.nl/waanders
スターバックスNL(英語・オランダ語)
https://www.starbucks.nl/

関連記事

オランダの街中に浸透しているカフェ文化ですが、自宅でもコーヒーをゆったりと「Gezellig」に楽しむのがオランダ流。オランダ在住のライターchikaさんが身近な生活の中で発見した、オランダでのコーヒーの楽しみ方を紹介した記事もあわせていかがでしょうか?

自宅で楽しむ珈琲生活!コーヒー消費大国オランダの、最新コーヒー事情をご紹介!

Chika

投稿者の記事一覧

古いもの・ちいさいもの・手作りが好き。

手仕事を楽しむ時間を誰かと共有したくて手芸ワークショップを企画したりお友達を集めて手芸の会を開催しています。

現在オランダ在住、年代物のお裁縫道具や古い手芸洋書をながめるのが至福の時間♡

Instagram:https://www.instagram.com/hollandcraftclub/

関連記事

  1. 3年ぶりに秋の佐賀平野を彩る「2022佐賀インターナショナルバル…
  2. 「愛妻家の聖地」嬬恋村の五大愛妻神社巡り!夫婦やカップルの幸福祈…
  3. カッセルの世界遺産「ヴィルヘルムスヘーエ城公園」を地元在住日本人…
  4. 包んでも結んでも楽しい!初心者に優しい専門店「むす美」で風呂敷デ…
  5. 初心者でも超簡単!押し花で季節の花を愛でる喜びを
  6. 【Webで旅気分】百塔の街・プラハで「王の道」を行く-戴冠パレー…
  7. 身を清めてから作る?!京都の伝統和菓子・亀屋清永「清浄歓喜団」に…
  8. ダムの聖地群馬!奥利根にそびえる3大ダムの絶景と絶品魅惑のダムカ…

シネマ

アート

おすすめ記事

「芸術文化観光専門職大学」見学記~平田オリザ学長と校内を巡る~

先日、たまたま兵庫県豊岡市を訪れる機会がありました。豊岡というところは、駅前にシャッター街が広がり…

「色彩と線の永遠なる葛藤」!マティス芸術の「核」に迫る!

20世紀最大の巨匠として、ピカソと並び賞される画家、アンリ・マティス。鮮やかな色彩と、迷い…

横浜山手西洋館で「花と器のハーモニー2023」が開催中!日本のいけばな七流派と世界各国の食器が華麗に競演!

楽活では、2022年から継続的に「ガーデンネックレス横浜」の取材を行っているが、会期後半に注目した…

イカの町のシンボル「イカキング」と「イカの駅つくモール」が語る奥能登の魅力とは!

能登半島北部の奥能登と呼ばれるエリアには風光明媚な九十九湾や小木港があり、イカの産地として有名です…

おすすめ京都本3選!京都に住んで1年半の筆者が紹介!

京都の本屋さんには、必ずといっていいくらい「京都本のコーナー」があります。京都を特集した書…