アート

69歳のデジタルアーティストCase-K Moonshineの個展「ROCK’N ROLL CIRCUS(ロックンロール・サーカス)」

69歳のデジタルアーティストCase-K Moonshine氏が個展「ROCK’N ROLLCIRCUS(ロックンロール・サーカス)」を東京・渋谷PARCO10階のComMunEにて7月5日から11日まで開催中。今回の展覧会は、iPad Proで描いたデジタルアートを印刷し、アクリル絵の具、スプレー等でアナログ加工した作品が中心です。キャンバスに描いた絵、ギターペインティングも展示されます。

伝説の音楽プロデューサーからデジタルアーティストへの転身

ギターペインティング。今回は展示されない作品もあります。

「1970年代から様々なロックアートの影響を受けた僕なりの表現作品をお楽しみ頂くことができると確信してます。」

と語るCase-K Moonshine氏の本名は月光恵亮(つきみつけいすけ)さん。

1980年から1990年代のJ-ROCK史を支えた伝説の音楽プロデューサーでした。伝説のロックボーカリスト氷室京介さんの名付け親としても知られる月光さんは、BOØWY、LOUDNESS、リンドバーグ、ZIGGY等多くのアーティストをプロデュースなさいました。

しかし、近年、月光さんは、難聴になり、2017年から音楽プロデューサーからデジタルアーティストに転向なさいました。

絵を描く月光さん。表現手段を音楽から絵に変えました。

デジタルアーティストとしてもロックの魂を持ち続けているようです。

月光さん:「デジタルアーティストで参考にしている人はいません。自分のインスピレーションだけです。ただ、パッとフラッシュのように何パターンも出てくるのはロックのジャケットです。」

ジミヘンドリックス等のアーティストから描き始めたデジタルアートは約700点。すべて、Instagram上で公開しています。今回のタイトルの絵のイメージはイギリスのプログレシヴロックバンド「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」のアルバム「タルカス」。1971年にチャート一位になった名盤のジャケットだそうです。

タイトルの絵は「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」のアルバム「タルカス」が由来です。

誰でもアイデアがあれば、その人の個性で描くことができる

思い浮かんだインスピレーションを表現する手法として、デジタルアートを選んだ月光さんですが、デジタルアートは、油絵よりはハードルが低いのも魅力のようです。

月光さん:「タブレットは、描く場所を選びません。色々な場所で描くことができるので、嬉しいですね。寝る前にベッドの中でも描くことができます。誰でもアイデアがあれば、その人の個性で描くことができるのがデジタルアートの魅力ではないでしょうか。絵の具、筆は、それなりに訓練しないと使いこなせるようになりませんけど、アップルペン一個で色々なことができます。iPad ProでAdobeのアプリを10個くらい使っています。種類は言えないですけども(笑)どのように描いているかを質問されることは確かに多いんです。でも、それをすべて言ってしまうと、手の内を明かすことになってしまうので、企業秘密ということにしています(笑)。」

アプリを使いこなすだけではなく、描いた絵に写真を組み合わせるという独創的な手法も月光さんの作品の魅力です。

リンゴの絵に鋸の写真を組み合わせました

月光さん:「写真をコラージュするのは面白いですが、すべてが面白いわけじゃないんです。イメージに合う写真の一部だけを切り取るのも面白いのです。

例えば、リンゴの皮がむけているように絵を描きました。皮をむいているのはナイフでしょうか。ちょうど部屋を片付けていたら、同居しているギタリストの匠くんが昔使っていた鋸が出てきたのです。リアルなデジタルの絵にリアルな鋸をはめ込んで加工する。というのは普通の人は考えないかもしれません。有名なアーティストの方の手法としても聞いたこともありません。また、背景を切り抜いたところがウサギの形に見えたので、フルメタルラビットというキャラクターが生まれました。目からレーザー光線を発したり、空を飛んだりとSF的な展開も人気になっています。」

フルメタルラビットは人気者です。

母方には著名な画家を祖父に持つ月光さんは、幼少期から中学までは父方の祖父母に育てられました。その頃に家にあった画材で油絵を始めたそうです。

月光さん:「習うより、慣れろですね。習うことは手法を覚えるためには近道かもしれません。でも、僕は自分で使いながら、慣れて表現していくというスタイルでした。アクリル絵の具の使い方も最近まで間違っていたようですけれども。」

昭和のヒットメーカー、作詞家阿久悠氏に師事した後に、ビーイングの創設副社長に就任した月光さんは、1980年代には、自ら原案をデッサンし、LOUDNESS、BLIZARD等のへヴィメタルバンドのアルバムジャケットのアートディレクションにも携わりました。

月光さん:「当時、へヴィメタルシーンを牽引していたオジー・オズボーンのイメージを踏襲してアートディレクションしていましたが、外注の画家に描いて頂きました。自分の中では、ビジネスとしてしたことなので、過去に音楽プロデュースしたアーティストのジャケット原案をデジタルアートにすることはないです。絵を描く基本はインスピレーションとアジテーションなんです。一個一個の絵にはそれなりのインスピレーションと相手に分からなくても、それなりのアジテーションがあるんです。」

インスピレーションとデジタル作品の進化

音楽プロデュースの際には、はインスピレーションをミュージシャンやスタッフに伝えて形にするのに対して、絵は自分だけでインスピレーションを形にできるのでしょうか。

月光さん:「自分で描いた作品に対して、自分でクレームを出していかないと良い作品はできません。インスピレーションで不満を感じたら、次の展開へ。デジタルの場合は、特に簡単に変化させられるというのが、良いところだと思います。」

容易に変化させることができる魅力を月光さんは力説します。

月光さん:「デジタルの作品は進化させることができるので、展示や発表がファイナルではないのです。展示したデジタル作品は完成品ではなく、進化させることができるということがキャンバスとは違います。もちろんキャンバスで進化させることはできますが、そう簡単には進化させることはできません。修正ひとつでもたいへんです。

デジタルで描いた絵は、ちょっと線を間違えても、ボタン一個で元に戻りますが、キャンバス画は一回間違えたら、乾くのを待って、削り落として、さらに白を塗って、その上から塗らなくてはならなくなるんです。時間は、10倍、20倍かかってしまいます。並行して、デジタルのモノが10枚を1ヵ月で作ることができるとしたら、キャンバスは1枚しか作れない。1枚も作れない場合もあります。」

月光さんの作品はデジタルデータを印刷した後からの加工も醍醐味です。

月光さん:「デジタルで作成したものを印刷すると色味は変わる。その色味が面白ければ僕はOKです。ただ、印刷したものとデジタルデータとは、僕の中では別の世界の作品です。デジタルからアウトされたモノは別の作品としてちょっとした仕掛けを作っています。光沢を出す場合はペンキを使っているし。マット系にする場合はアクリルスプレーを使います。」

スプレーを使う時はベランダで作業したり、筆でベッドが汚れたりすることもあるそうですが、こうして一点、一点こだわりを持って作られた作品が展示されます。

NFTで新しい価値を創造

今回展示されたデジタルアートは世界的にも注目を集める次世代NFTプラットフォームであるXANALIA(ザナリア)と組み、NFTとしても発行されます。

NFTとはNon-fungible token(非代替性トークン)の略で仮装通貨のようにデジタルコンテンツに投資価値を付加する仕組みです。これまでは絵が高値で転売されても作者には収入はありませんでしたが、このシステムなら作者にも売った人にも収入が発生するように設定できます。これはブロックチェーンという技術によって偽造できない証明書が付加されることによって実現できるのです。

また、本展覧会はNOBORDER.z(ノーボーダーズ)社の提供するヴァーチャル仮想空間XANA(ザナ)でバーチャル展覧会としても開催される等、革新的な挑戦も行なうそうです。

~編集部追記~(2021/7/8)

会期がスタートしてから、さっそく記事を担当されたライター・野島シゲアキさんが会場風景や主要作品の一部を撮影してきてくださいました!せっかくなので、こちらで野島さんの短評付きで一挙にご紹介したいと思います!

広いカフェに組まれたパイプに陳列される作品群
絵の右下のQRコードをスマホ等で読み取ると解説WEBを見ることができます。
絵の裏側のカウンターでは個性的なドリンク等も楽しめます。
奥行きのある開放的な空間は絵の魅力を引き立てます。
人気者のフルメタルラビットは絵の中だけではありません。
作品の売れ行きも良好のようで、月光さんもニコニコでした。
売約済の絵は見納めになってしまいます。展覧会は7月11日まで。お早めにどうぞ!

また、DJとタップダンスのイベントも開催されます。9日、10日とそれぞれ予定されていますので、こちらも楽しみにしていてくださいね!

DJとタップダンスのイベントも開催されます。

展覧会基本情報

展覧会名:Case-K Moonshine個展「ROCK’N ROLL CIRCUS(ロックンロール・サーカス)」
会期:2021年7月5日(月)~7月11日(日)
開館時間:11:00~20:00
会場:渋谷PARCO 10F CоmMunE
月光氏所属事務所ホームページ:https://paradyne.xyz

case-k moonshine Instagram:https://www.instagram.com/case_k_moonshine/

野島シゲアキ

野島シゲアキ

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出会いを大切にして、柔軟にアンテナを張って好奇心旺盛に生きております。斜陽の紙媒体とモバイルコンテンツ業界の興隆を体験した就職氷河期一年生。

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