投資への半歩は「長期分散投資」がオススメ!この道30年のプロがやさしく解説!【後編】

楽活では、これから投資を始めてみようかな?と考えている初心者の方に、「投資の半歩」をガイドするためのプロジェクト「投資のHANPOプロジェクト」を立ち上げました。そこで、投資を始めるうえで必須となるような、最低限これだけは知っておきたい基礎知識を数回にわたって解説していきます。

その第一弾として、前後編でお届けてしている本記事。「長期分散投資」の重要性や有効性について、わかりやすく解説しています。今回は後編になりますので、前編を未読の方は、まずは下記リンクから前編記事をお読みいただければ幸いです。

https://rakukatsu.jp/longterm-diversified-investment-20220507/

さて、それでは今回の「後編」では、「長期分散投資」のお話も、いよいよ佳境へと入っていきます。解説していただくのは、ファイナンシャル・プランナーの津村牧人さんです。津村さんは、この道30年以上の金融のスペシャリスト。あらゆる投資手法に精通したプロフェッショナルです。前編に引き続き、インタビュー形式でお届けします。

後編では、主に、以下の2項目について順番にお聞きしていきます。

  • 長期分散投資」が有利と言われる根拠はなんでしょうか?
  • 長期分散投資」をスタートするには、なにをどうすればよいのでしょうか?

それでは、いよいよ後編では「長期分散投資」の本質に迫っていくと致しましょう!

投資の疑問3:「長期分散投資」が有利と言われる根拠はなんでしょうか?

――分散投資のメリットとデメリットはよくわかりました。では、長期間で分散投資をする「長期分散投資」がなぜ推奨されるのですか?

津村:長期投資が短期投資と決定的に違う点は、ずばり複利の恩恵です。例えばですが、もしあなたが一生に一度だけ、投資をするとしましょう。いま現在、まとまった貯金は100万円しかありません。でも、毎月1万円ずつでしたら、継続的に投資に回すことができますよね。

――確かに、少額ずつなら投資に回せますね。

津村:そこで、投資の選択肢は2つあるんです。1つは、短期投資。5年間しかできませんが、年利15%の投資です。もう1つは、長期投資。20年間投資できますが、年利は5%。利回りの数字だけを見れば、短期投資が3倍もあります。この2つのうち、どちらを選びますか?

――う~ん??

津村:実は、これはどちらも良い投資であって、唯一の正解があるわけではありません。ただし、20年間の長期投資には、短期にはない複利の恩恵が出てきます。

――えっ?それはどういうことなんですか?

津村:短期投資の投資期間は5年だけですので、まとまった貯金100万円を全額投入します。すると、1年後には115万円、2年目にはその115万円を原資にして、132万円。終わったときには、200万円になっています。およそ原資の2倍です。

――なるほど、5年で元手が倍になるのですね。

津村:一方、長期投資のほうは、20年間かかります。貯金100万円を投入するのは不安ですね。なので、こちらは100万円をそのまま貯金として置いておき、毎月1万円ずつ別途積み立てて運用するようにします。原資が毎月1万円で、年利5%ですから、初めはぱっとしません。5年経過時点で、68万円です。60か月積み立てていますから、原資は60万円。つまり、利益はわずか8万円です。しかし、20年が終わった時点では、411万円になっています。

もちろん、20年間240か月、毎月1万円を積み立てているわけですから、原資はトータルで240万円かかっています。でも、この場合は当初の貯金100万円にまったく手を付けることなく、プラス171万円になっているのです。総資産額は、貯金100万円とあわせて511万円です。

――凄い!でも、短期投資とどう比較したら良いのですか?

津村:では、短期投資の場合も、5年間が終わったあとは、フェアに毎月1万円を投資でなく貯金に回すことにしましょう。15年間で貯金できるのは、180万円ですから、総資産額は投資結果の200万円と合わせて380万円です。結果は悪くありませんよね。でも、長期投資の場合は、貯金100万円に手を付けることなく、短期投資を上回る成績を出しました。これが、長期間の複利の効果です。

――なるほど!よくわかりました!

津村:今回は短期投資の例も、複利で計算しましたが、複利の効果は、期間が長くなければなるほど、絶大な効果を生みます。

――ちなみに、もし長期投資のはじめに貯金の100万円を投入して、その後も毎月1万円を積み立てていったらもっと結果に差がつきそうですよね。

津村:計算してみると、この場合、長期投資での20年後の総資産額は682万円になります。

――凄い!

津村:長期で運用する場合、なにも初期投資額が大きくなくても、少額を積み立てていくだけで、かなりの効果が出せるということがお分かりになったのではないかと思います。ちなみに、貯金の100万円を一度に投資するのではなく、今回のように例えば1万円ずつ金額を決めて投資していくのも、実は分散投資の1つといえるんです。

――それはどういう意味なんですか?

津村:先に紹介した資産の分散とは違って、これは購入機会の分散とみなすことができます。ドルコスト平均法と呼ばれる、投資リスクを減らすことができる投資手法です。ドルコスト平均法については、また別の機会にご説明するとして、今回は長期分散投資が有利であると言われる根拠について、見てきました。

投資の疑問4:「長期分散投資」をスタートするには、なにをどうすればよいのでしょうか?

――分散投資の威力について、よく理解できました。では、実際にどのように実践していけばいいのか、教えていただけますか?

津村:長期分散投資、というと言葉の響きは難しく聞こえますが、実際はそんなに難しいものではありません。実は、長期投資と短期投資では、圧倒的に長期投資のほうが単純なんです。

――えっ?それはどういう意味なんですか?

津村:先ほどの例でも分かる通り、長期投資では最初からまとまった運用資金がなくても大丈夫だからなんです。毎月少額の積み立てでも、十分な効果を発揮するからです。もしあなたが今まで全く投資をしたことがない場合、すべての資産を日本円で持っていることになりますよね。これを、毎月5000円でも1万円でも、貯金の代わりに複利運用できる日本円以外の金融資産に積み立てる。それだけで長期分散投資をスタートすることができます。良し悪しは別にして極端な話をすれば、いまは例えばLINEで毎月1000円から投資信託に積み立てることもできます。

――初期投資も少なくて済むのは安心です。でも、証券口座って銀行口座と違って少し複雑そうなイメージがありますね。

津村:確かに、具体的に投資を始めるとなると、証券会社に口座を開くことがスタートになります。未経験者からすると、この証券会社に口座を開くということ自体がなにか怖いと感じる方もいるようですね。しかし、これは貯金をするのに銀行に口座を開く、というのとまったく同じです。投資する金融商品が、預金なのか投資信託などの金融商品なのか、といった違いだけです。いまはネット証券があって、わざわざ窓口にいかなくても、スマートフォンからでもわずか数分という時間で口座を開くことができます。

――スマホでわずか数分?!

津村:実際に取引を開始するには、これも銀行と同じように、本人確認書類や居住証明などの書類提出が必要ですが、これすらもスマートフォンのカメラで撮影してそのまま送信するだけで行うことができるので、抵抗がない人にはとても便利です。楽天市場で買い物をしたことがある人は、楽天には楽天証券というネット証券のサービスがあるのをご存じの方も多いでしょう。楽天証券の場合は、楽天市場で買い物をして貯めたポイントを投資に使うこともできます。

――ポイントを投資に回せるのはお得ですよね。ネット証券会社には、どんな会社があるんですか?

津村:ネット証券に抵抗がない人の場合は、代表的なネット証券会社として、松井証券、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、GMOクリック証券、カブドットコム証券、ライン証券など、いろいろな選択肢があります。

――そんなにあるんですね!でも、ネット証券では少し不安だな……という人には、どこか特にオススメの証券会社はありますか?

津村:顔の見えないネット証券や、LINEや楽天といった新興の会社ではなんとなく不安だという方もいるでしょう。その場合は、窓口のある証券会社のリアル店舗に行けば、喜んで手取り足取り教えてくれます。ネットで見る情報だけでは不安という方は、どこでもいいので、最寄りのこうした証券会社の店舗窓口に行って、口座を開く相談をしに行ってみるのが良いでしょう。

――具体的にはどんな証券会社があるんですか?

津村:大和証券、野村証券、岡三証券といった国内大手はもちろんのこと、メガバンク3行のグループ会社である、三菱UFJモルガンスタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券などもリアル店舗を持っています。もちろん、窓口に行けば自社のおすすめ商品を営業されますが、その場で何かを買おうとせず、今日は口座を開きに来ただけなので、あとでじっくり考えると言って帰れば大丈夫です。

――取引する証券会社は、一つに絞ったほうがいいのですか?それとも、複数口座開設したほうがいいんでしょうか?

津村:それぞれ取り扱うファンドや手数料などに違いはありますが、預金口座をつくる銀行は複数あってもいいのと同じで、ネット証券の口座も複数持つことに何の問題もありません。ネットで情報収集しながら、2~3個口座を作ってみると、ただそれだけでも気持ち的に慣れた感じがしてきます。具体的な商品の選び方までは今回ご説明しませんが、実際に投資を始める準備として、ここまでやっておけば、あとは自分の好きな商品を買うだけです。

――なるほど、よくわかりました!今日は、本当にお忙しいところありがとうございました!

まとめ

前後編にわたる津村さんの「長期分散投資」についての解説、いかがでしたでしょうか。

初心者が投資をスタートするための「投資の半歩」につながるヒントがたくさん詰まっていたかと思います。ぜひ、今回の記事を参考に、投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

また、今回の長期分散投資についての記事内容についての質問や、その他投資に関する疑問や相談なども受付中。それ以外の相談していただいたファイナンシャル・プランナーの津村さんに質問や相談がある方は、以下をクリックしてフォームよりご相談ください。

津村さんへのご質問はこちらから!(入力フォームが開きます)
https://forms.gle/Vja7qEaufMbE2cCJ9

津村牧人さんプロフィール

1976年生まれ。投資とは無縁の生活を送ってきたが、1990年代のアメリカITバブルとその崩壊を目の当たりにして金融に興味を持つ。株や暗号資産、FXで投資経験を積み、投資教育機関に転職。投資初心者が危険な投資に手を出さないように、初めの一歩を安全に踏み出すためのサポートをしている。

おすすめの記事