美術館にでかける楽しみのひとつがミューアムショップです。なぜなら、その美術館でしか買えないもの、期間限定の魅力的なものがたくさんあるからです。美術館の所蔵作品や特別展の作品をモチーフにしたオリジナルも多く、飾るだけではなく、日常に使えるものもあります。展覧会の感動を持ち帰り、大切にしましょう。
ほとんどのミュージアムショップは入館料がかかりません。展覧会は見なくてもちょっと覗いてみませんか。プレゼント探しにもお勧めです。
今回は、私が買ったお気に入りのミュージアムグッズと、美術館のオンラインショップを紹介します。新型コロナウイルスの感染を避けて外出の機会が少なくなるので、オンラインが使えるのは嬉しいことです。
形もさまざま!展覧会を記録するカタログ
企画展、特別展などと呼ばれる期間限定の美術展では、作品写真や解説を中心に「カタログ」(展覧会公式図録)が発行されます。写真が大きく美しく載り、年表や地図などで展覧会をより詳しく知ることができ、会場では気が付かなかったことが見つかることもあります。
カタログの作りやデザインも、展示内容にあわせて工夫されています。本の前と後ろにある「見返し」にも注目しましょう。見返しは前と後ろにあり、色やデザインのつながりもあります。
『画家が見たこども展』『桃山展』では作品画像が使われています。しかも前と後ろは違う作品や場面です。一方、『画家が見たこども展』は章扉に穴があり、解説文を囲む縁取りなどのデザインも楽しめます。
鮮やかな色のクリアファイル
ミュージアムショップで鮮やかな色が目を引くのはクリアファイル。多くはA4サイズで絵はがきでは味わえないクリアな画像、鮮やかな色彩が魅力です。チケット用、マスク用などのサイズもあります。
大きさ、形、素材もさまざまな定番「絵はがき」
絵はがきもサイズや素材がいろいろです。2枚並んだゴッホの絵はがきは、小さい方が普通サイズです。実物も縦24.5センチ、横19.5センチと大型絵はがきと同じくらい。パリから南仏アルルにやって来たゴッホの希望が表現され、アーモンドが枝を伸ばしているようで手に取りました。
「双羊尊」は背中合わせに2匹の羊を合体させた盛酒器です。紀元前13~11世紀に作られた中国の青銅器で、本物は威厳がありますが、グッズはちょっとユーモラス。同じモチーフの文具や菓子もあります。「クマのプーさん」はしっかりした布製です。「浮舟図屏風」は源氏物語の一場面を金箔の舟が鮮やかです。
使って楽しいステーショナリー
「コートールド美術館展」トランプでは、展示された全作品が1組のトランプに収まり、少し得をした気分に。付箋が本のようになった付箋ブックも、見ているだけで楽しくなります。横浜美術館で購入した付箋ブックはモネ展で販売されたフランスに因んだグッズでした。色鉛筆は、日本人が古くから親しんだ12色、赤系統は臙脂(えんじ)、朱(しゅ)、丹(たん)、青系統は白群(びゃくぐん)、群青(ぐんじょう)、藍(あい)と色の名前を見ると、何か描いてみたくなります。
飾るか使うか迷う、お洒落なハンカチたち
使うのがもったいないアートなハンカチは、買ったままビニール袋に入っていました。ゴッホ展のミニタオルは縁取りに刺繍で糸杉の形とVan Goghの文字が施されています。
「ダラリクマ」はタオル地に刺繍が施されています。ハンカチの右上、木の上にだらりと寝そべったクマがタオルから飛び出す、クマが失恋したらという物語です。「にわか雨」サコッシュは、ポケットが2か所あるので、ハンカチやスマホを入れられます。美術館内での持ち歩きにも便利です。
作品にちなんだアクセサリーも豊富
特別展などの特設コーナーでは、展示に関連したアクセサリーも人気です。眼鏡型のブローチは国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエのトレードマークです。クロス型ペンダントは予約チケットとセットで買いました。イヤリングを買った藝大アートプラザは、東京藝術大学出身者(OBや教職員、または一部現役学生の作品も取扱有)の作品が選べるのが魅力です。
デパートのような品揃えの東京国立博物館
今回、記事を書くために取り寄せ、注文の翌日に到着しました。
東京国立博物館(トーハク)には本館、東洋館、正門プラザの3か所にミュージアムショップがあり、平成館で開催されることが多い大型の特別展では、平成館2Fに特設ショップも開設されます。オンラインでは全部を網羅はできませんが、美術工芸品、ファッション、和雑貨、文具、食品・バラエティ、書籍と種類が豊富です。「東京国立博物館ニュース」やこれから開催される特別展のチラシなども同封されていました。
酒井抱一は江戸後期の琳派の画家、和紙のランチョンマットで季節感も味わえます。鳥獣戯画は京都・高山寺に伝わる動物を擬人化した絵巻、人気のサル、ウサギ、カエルがモチーフになったグッズがたくさんあります。「金魚づくし」は幕末の浮世絵師のひとり歌川国芳の作品から、金魚が尾びれで立ってシャボン玉を飛ばしたり、踊ったりする姿が付箋になっています。
「はにわのお砂糖」の箱をあけてフタを伸ばすと、前方後円墳が現れました。はにわ形の2色の砂糖はミネラルを濃くした含蜜糖、ビニール袋から出すと甘い香りがしました。「埴輪 踊る人々」はトーハクの公式キャラクターで、はにわに因んだグッズは40種類もあります。「見返り美人」は香川県の自然食品・和三盆、江戸初期の浮世絵師・菱川師宣作品の着物柄から菊の形をつくりました。
東京国立博物館 ミュージアムショップ
https://www.tnm-shop.jp/
休館中もオンライン販売を継続!横浜美術館
現在休館中(※2023年中に再開予定)の横浜美術館は、休館中もアーティスト・トークや学芸員による解説、描き方の解説などをYouTube上で継続的に発信しています。
ミュージアムショップもオンラインで営業中。カタログ、ヨコハマトリエンナーレ関連、オリジナル・ステーショナリーなどが揃っています。
「クロチェッティのペーパーウェイト」は高さ6センチですが、実物は高さ3メートルもあるブロンズ像、イタリアのクロチェッティ作「平和の若い騎手」です。馬に鎧や鞍をつけず、馬と人がいっしょに生きる平和な暮らしをメッセージにしています。横浜美術館の外に立っているので、背景によってさまざまな表情を見せます。
横浜美術館ミュージアムショップ
http://www.museumshop-yokohama.jp/
こちらもごらんください。
書籍やカタログ、絵はがきで振り返る「国立西洋美術館」の名品!休館中の予習・復習にいかが?
国立西洋美術館:2022年春に再開予定でツイッターやFacebookで季節に合わせた作品の紹介などを行っています。
国立西洋美術館ミュージアムショップ
https://www.nmwatokyo-shop.org
ミュージアムグッズは素材や色にもこだわる
2019~20年に開催された「ハマスホイとデンマーク絵画」展(東京都美術館、山口県立美術館)では、会期中に新型コロナウイルス感染が拡大して会期が少なくなり、オンラインでグッズ販売が行われました。
特別展のオリジナルグッズが会場外で販売されるのは、初めてのことかもしれません。このとき、Webサイトに掲載された説明文から、ミュージアムグッズの素材や色まで細かく作品の世界を伝える工夫がなされており、主催者は販売会場の壁、展示台などのデザインにも心を配っていたことを知りました。
絵はがきとハンカチが入っていた紙袋の水色とグレーも、ハマスホイの世界とつながっているのです。
このミュージアムグッズを製作し、会場デザインなど手がけた株式会社Eastは、世界のミュージアムからポスターを直輸するオンラインショップをオープン。「ポスターが世界中のミュージアムと日本のミュージアムファンの部屋の壁を繋ぐ『窓』のような存在になるはず」と記しています。ぜひ、のぞいてみてください。
Fly Me to The MUSEUM
https://themuseumsshop.com/
まだまだある!私のお勧めするオンラインショップ11選
お待たせしました。オンラインショップをご紹介します。
美術館に実際の店舗があり、特に種類、品数の多いところ、また 所蔵品や作家と関連したオリジナルグッズがある美術館を選び、お勧めのポイントを挙げました。
写真で取り上げた「大塚国際美術館」では西洋の名画1,000余点をオリジナル作品と同サイズの陶板で複製して常設展示し、世界中の美術館を訪れる体験ができます。幻の作品は第二次世界大戦の折に焼失した通称「芦屋のヒマワリ」を陶板で再現したものです。
大塚国際美術館オンラインショップ(徳島県)
https://o-museum.or.jp/publics/index/464/
所蔵作品の陶板、ヒマワリ、ヴィーナスの文具
水戸芸術館「コントルポアン」(茨城県)
https://arttowermito.ec.e-get.jp/
作家と「手芸をする」監視スタッフがつくる刺繍作品
アーティゾン美術館オンラインショップ(東京都)
https://shop.artizon.museum/
美術館名のロゴ、所蔵品をモチーフにしたグッズ
国立新美術館「SUVENIOR FROM TOKYO」(東京都)
https://souvenirfromtokyo.stores.jp/
作家とコラボしたグッズ多種
藝大美術館ミュージアムショップ(東京都)
https://www.geidai.net/
東京藝術大学にゆかりのある作家の作品(絵画、陶芸など)
東京都庭園美術館ONLINE SHOP(東京都)
https://teien-art-museum-shop.com/
アールデコの建物や装飾品、庭園をイメージしたグッズ
東京都美術館ミュージアムショップ(東京都)
http://www.tobi-museumshop.com/
展覧会グッズの他、東京都ゆかりの作家の工芸やアクセサリも
森美術館オンラインショップ(東京都)
https://shop.mori.art.museum/
現代作家の作品モチーフ
横須賀美術館ミュージアムショップ(神奈川県)
https://ymoa.shop-pro.jp/
オリジナルのピクトグラムの文具、谷内六郎・絵はがき
ポーラ美術館オンラインショップ(神奈川県)
https://shop.polamuseum.or.jp/
所蔵作品モネ、ルノワール、マティス関連のもの
名古屋市美術館ミュージアムショップ(愛知県)
https://ncam.shop-pro.jp/
所蔵作家モディリアーニ、藤田嗣治モチーフ
私のお気に入りの3人をご紹介
「鴟鴞尊」は、前12世紀・中国の青銅器のレプリカで身長4センチの酒を入れる器です。試しにTwitterなど各種SNSで「青銅かわいい」で検索してみてください。仲間が見つかります。
「MORI GIRL」には、現代作家・奈良美智が初めて大型ブロンズ像を手がけた2012年の展覧会で会いました。同じ年、「ユリノキちゃん」は「トーハクくん」(はにわ)といっしょに東京国立博物館の公式キャラクターとして誕生しました。本館前の大きなユリノキは初夏にオレンジ色の大きな花を咲かせ、ユリノキちゃんのモチーフになりました。
ミュージアムショップではその美術館、または期間限定でしか買えない魅力的なものがたくさんあります。また買い物をすることが美術館を応援することにもなります。お気に入りやプレゼントを見つけて、展覧会の感動や作品との出会いを大切にしたいですね。