2020年7月15日、箱根の名ホテル・富士屋ホテルがグランドオープンしました。1878年(明治11年)箱根・宮ノ下に誕生して以来、140年以上の歴史を重ねてきたクラシックホテルです。
先日、施設見学と宿泊をさせていただきました。凄く素敵な場所だったのでご紹介します。
ホテルに入ると、館内のどこを見ても美しい調度品や家具、彫刻などに囲まれて、まるで美術館にいるかのようです。
ホテル内には、動物の彫刻があちこちに。
宿泊者は、見つけるたびに立ち止まり、写真を撮っていました。
ぜひ、いろいろな動物を探してみてください。
富士屋ホテルは4つの宿泊棟からなる宿泊施設。ここからは、敷地内のエリア毎に8つに分けて詳しくご紹介します。
1.フォレストウィング
フォレストウィングは、敷地奥の高台に建ち、全47室から構成されています。(昭和35年/1960年建築) 悠々とした自然をながめるお部屋や箱根登山鉄道を臨めるお部屋が人気だそう。
こちらはスイートルームのお部屋。
お風呂からの眺めが絶景です。 四季折々の箱根の景色を満喫できます。
2階には宿泊者専用のラウンジ、最上階にはスパ&リラクゼーションを完備されているので、宿泊者は自然とこの建物に足を運ぶことになります。
ラウンジにはフリードリンクのコーナーがあり、和書と洋書、約700冊を蔵書するホテルライブラリ「富士屋書斎」を楽しむことができます。
素敵な本に囲まれ、時間を忘れてしまうくらい居心地の良い空間でした。
2.花御殿
風雅な和の意匠や千鳥破風の屋根、真紅の高欄付バルコニーが雅な花御殿は、 富士屋ホテル建築の集大成であり、箱根のシンボルと言われています。 昭和11年(1936年)に建てられ、全40室からなります。
花御殿は、「フラワーパレス」とも称され、その名にふさわしく客室には花の名がつけられています。インテリアやルームキーにも花のモチーフが。
全11部屋、それぞれモチーフが違っているので、全ての部屋に泊まってみたくなります。
多彩な間取りがあるのもこの棟ならではだそう。
こちらの建物には、2020年にリニューアルした史料展示室「ホテルミュージアム」があります。 富士屋ホテルの誕生から現在までの道のりを、バラエティ豊かな展示で紹介しています。
ここに展示されているのは、富士屋ホテルの歴史の全て。
創業当時を偲ぶ品々、改修時新たに発見された経営資料や書簡、実現しなかった幻の建築計画や図面など、貴重な資料も見どころの一つです。
140年という時間を振り返り、歴代の経営者たちがより良いホテルにするために試行錯誤を重ねた歴史を知ることができました。
こちらは誰でも無料で見学できる場所。
チェックイン前に来て歴史を知ってから滞在すると、より素敵な時間が過ごせるのではないかと思います。
もう一つ私が気に入った場所は、宿泊者専用の屋内プールです。
ホテルの室内プールとしては日本初と言われ、箱根・宮ノ下の天然温泉を使用しています。
レトロでノスタルジックな雰囲気も魅力のひとつです。
ジムには、イタリア製トップブランド「テクノジム社」のフィットネスマシンを完備。贅沢な空間でトレーニングもできそうです。
3.西洋館
1号館「カムフィ・ロッジ」、2号館「レストフル・コテージ」と名付けられた双子の洋館で、全21室が用意されています。明治39年(1906年)の建築。
明治期の洋風建築の典型ともいわれる天井や軒、階段の装飾、鎧戸付きの上げ下げ窓や、豪華な唐破風の玄関など、建築時の面影がそのままに残っているのも西洋館の魅力。今回の改修工事で発見された、大正時代のものと思われる淡いピンク色の壁紙を再現した部屋にも要注目です。
ここは、ぜひ女子旅で泊まりたいなと思いました。
4.本館
富士屋ホテルで現役の最古の建物です。全12室で、建築は明治24年(1891年)ととても古い建物です。
社寺建築を思わせる瓦葺屋根と唐破風の玄関が特徴。永い時を経て、今も富士屋ホテルの顔であり続けています。
和と洋が融合されたしつらえに、富士屋ホテル独特の雰囲気を味わうことができます。
家具や調度品は改修前のものを再利用していますが、それ以外の内装は今回の改装工事によって隅々までメンテナンスされています。新築?と勘違いしてしまいそうなほど綺麗で、素敵なお部屋でした。
本当に良いものは、いつの時代でも新しく感じるるのだ、ということを実感しました。
また、本館には富士屋ホテルの各建物や敷地内を一望できるテラスや、別世界に来たかのようなロビーがあります。
ラウンジでは、昭和52年のフロント移動時に姿を消したオーシャンビューパーラーを復刻。ここでは、人気のアップルパイをはじめ、スイーツ、軽食など、メニューも充実しています。
5.食堂棟
宿泊者は、翌朝の食事を選べます。私は洋食を選んだので、こちらの食堂棟で朝食をいただきました。
こちらが、昭和5年から90年以上にわたってメインダイニングとして使われている「メインダイニング・ザ・フジヤ」。 創業当時のレシピを受け継ぐ洗練フレンチをいただけるなど、富士屋ホテルを象徴するレストランです。
こちらが名物「フレンチトースト富士屋風」です。
また、天井に目を向けてみましょう。日本アルプスの高山植物636種が描かれた天井高6メートルの折り上げ格天井、欄間や柱にひそむさまざまな彫刻は見事の一言。一皿への高揚感をいっそう高めます。
こちらの地下にはショップもあります。
ホテルのオリジナル商品や、富士屋ホテル謹製のレトルト食品、パンなども買えます。ぜひ、旅の思い出に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
今回、私は富士屋ホテルのモチーフが絵付けされた九谷焼の香箱を購入しました。
6.カスケードウイング
こちらには、大正9年建築の旧宴会場「カスケードルーム」を復元した「レストラン・カスケード」があります。 華麗なステンドグラスや彫刻は竣工当時のままだそう。
華やかな時代に想いを馳せながら、「レストラン・カスケード」名物のビーフカレーをはじめとして、歴代料理長により生み出された往年の洋食を堪能できます。
今回、私は「ハヤシライス富士屋風」をいただきました。
7.旧御用邸 菊華荘
こちらは、宿泊時に夕食をいただいた場所です。
明治28年、皇室の宮ノ下御用邸として造営された由緒ある純日本建築の建物です。
落ち着いた雰囲気の中、季節の素材にこだわった日本料理を楽しむことができました。
8.庭園
富士屋ホテルの見どころは建物だけではありません。約5000坪と非常に広大な敷地に広がる庭園をゆっくり散策する楽しみもあります。歩きながら四季折々の自然の「美」をじっくりと感じてみてください。
耳を澄ますと、ところどころで水の音が聞こえてきます。五感全部を使って、箱根の四季の美しさを味わえます。
敷地内の散策は夜もオススメ!
ここまで、建物や庭園、レストランなど富士屋ホテルの様々な魅力をお伝えしてきましたが、さらに滞在時間を楽しむ方法があります。 それが、夜間のライトアップです。
こちらのライトアップは、先日テレビ東京のアート番組『新・美の巨人たち』でも取り上げられていました。この時に見て、キレイだなと思っていたので、宿泊した時はぜひ夜の散策を楽しみたいと思っていました。
念願の散歩です。
各建築の外側を彩るライトアップと、各部屋の窓から漏れる内側からのライトアップ。
昼間とは違う美しさを知ることができました。
富士屋ホテルの「美」を縁の下で支える営繕さんの存在
ここまでご紹介してきたように、富士屋ホテルは建築の外観・内装や庭園の整備が非常に行き届き、広大な敷地内はどこを見ても美しく保たれています。
こうした富士屋ホテルの「美」を支えているのが、「営繕さん」と呼ばれているホテル専属のメンテナンススタッフの方々の存在です。
今回は、特別にそんな「営繕さん」の仕事場を見学させていただきました。
ホテルの建物を知り尽くしているからこそ作ることができるオリジナルの家具なども見ることができました。
古き良き日本の美意識が詰まった富士屋ホテル、オススメです!
ここまで、様々な角度から、40枚以上の写真でリニューアルされた富士屋ホテルの魅力をお伝えしてきました。
おもてなしや日本の美を五感で感じることができる素敵な場所です。 2020年10月からは、いよいよ東京を含めた全国からGO TOキャンペーンが適用されます。ぜひ、この機会を利用してリニューアルオープンした箱根・富士屋ホテルを楽しんでみてはいかがでしょうか?
富士屋ホテルについて
富士屋ホテル
〒250-0404 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
0460-82-2211(受付時間 9:00 ~ 20:00)
https://www.fujiyahotel.jp/