アート

現代アートとお菓子の競演!ギャラリーARTROが京都・錦市場にオープン!

2022年4月、京の台所・錦市場のそばに新しいギャラリーが出来たと聞きました。「ARTRO」という名前のギャラリーです。古くからの蔵をギャラリーに改築したものだそうです。カフェもあってお菓子が買えたり、オリジナルドリンクが飲めるといいます。

ギャラリーにただカフェがあるだけなら、最近ではよくある業態となっています。そもそも以前からギャラリーとカフェ(喫茶店)という組み合わせはありました。例えば、福岡の現代アートギャラリー「アートスペース貘」は、42年前からギャラリーとカフェを併設していて、もう老舗の域と言って良いでしょう。

それでも、私が今回ARTROに特に興味を持ったのは、この点です。

「展覧会の作品をイメージしたオリジナルのお菓子を会期中だけ、期間限定で販売する」

茶道では、茶席のテーマに合ったお菓子を和菓子屋さんにオーダーメイドする場合があると聞きます。私はそれを思い起こしました。

この試みは、アートと食との関係を明らかにしてくれるのではないか? と期待しました。

行ってみると、外観はまるで京都の老舗菓子匠のよう。1階が菓子屋で、2階がギャラリーになっているようです。階段を上がってみました。

この時開催されていたオープニング展は、中国の現代美術家チェンウェイさんのコレクション展「コレクション +: チェンウェイ」(2022/4/2~5/31)でした。

展示風景

今回は写真の作品がメインのようで、古いビルの夜景などが、豊かな感性でとらえられていました。LEDの光が動く映像を作るような作品も印象的です。力のある作品だと感じました。

そんな作品から、どんなお菓子が生み出されたのでしょうか。1階に降ります。

Kingyokukan – 錦玉羹

3種類のオリジナル和菓子の中から「Kingyokukan – 錦玉羹」を購入しました。「京菓子司金谷正廣」とのコラボになるそうです。

家に帰ってよくよく見てみました。

まず、青色と透明と琥珀色の層になった寒天の中に、白い練り切りの食べられる丸いオブジェが入っています。雲が夕方の空にふわっと浮いているようにも見えます。

練り切りの中の餡のレモンの風味、寒天のカルダモンの香りが異国情緒を感じさせつつ、どこかレトロな風景も見せます。未知の味わいでありながら、懐かしいような感じ。現代アート作品からインスパイアされた、もう一つの作品のようです。

見た目も、味も、作品を思い起こさせるようなものでした。綺麗で美味しくて珍しい。お菓子の味と共に、作品が脳裏に焼きつきました。展覧会の最終日になってしまったけれど、行ってよかったです。

さて、果たしてこのギャラリーのオリジナリティは本物か、もう一度確かめてみたいと思い、次の展覧会にも足を運ぶことにしました。

今回は英国在住のアーティスト、さわひらきさんの個展「さわひらき✕ARTRO」(2022/6/7~7/5)でした。

小品中心の展示。会場がやや暗いのが難でしたが、ユーモアがある平面作品はしゃれていて良いと思いました。

作家がイギリス在住ということで、今回はヴィクトリアケーキやスコーン、アップルクランブルケーキなど、イギリスの洋菓子がズラリ。

スコーン

また、さわひらきさんの好物、パンオショコラやマンゴーソースのチーズケーキなども並んでいます。なるほど、作家の居住地や、作家の好物といったゆるやかなつながりで提供されるお菓子もあるわけですね。その作家の熱烈なファンには良いかもしれません。

さて、別の日を選んで、もう一度通ってみました。今度は岡本秀さんの個展「居かた、見ため」(2022/7/15~8/7)です。

日本画の画材による絵画で、具象と抽象が作品によって大きく違って、不思議で面白い作品だと思いました。日本画だから今度は和菓子かな?と思いましたが、用意されていたのは意外にも洋菓子でした。

チョコレートムース

ふと、チョコレートムースに目が行きました。上面に金箔が散らしてあり、ちょっと作品の岩絵具の調子を思わせられるものがありました。

チョコレートムースは3層になっていて、ぷるぷるのチョコレートに金箔がかかった上層、チョコレートムースでふわふわの中層、カリカリしたフレーク状の下層に分かれていて、手が込んだ逸品。

最初の一口は苦かったです。でもいやな苦味ではありません。だんだんムースの甘さやフレークの歯ごたえと調和して、いろいろな味わいを見せるようになります。

鴨川 – Kamogawa

カフェが別室にあるのかと思っていましたが、菓子店の椅子と長椅子で飲むことができるということでした。

さらに、「鴨川」というドリンクを注文してみます。バタフライ・ピーにマンゴーシロップ、ライムとソーダが入った紫色のドリンクでした。さっぱりしていて夏向きです。なぜ鴨川が紫色なのか謎でしたが、味は良い感じです。

まとめ

今回、3つの展示でそれぞれお菓子をいただいてみました。作家の好みや出身地を反映したセレクションや、作品の世界観にぴったりあったお菓子まで、展示によっていろいろなアプローチでお菓子が用意されているようですね。

作品のコンセプトをもとにした独自のお菓子の「味覚」によって作品と鑑賞者ををつなぐ、というARTROの新しい試みはまだ始まったばかり。今後もいろいろと試行錯誤しながら、鑑賞者の心に届くようなお菓子でわたしたちを驚かせてほしいなと思いました。

基本情報

ARTRO(アルトロ)
〒604-8126 京都府京都市中京区貝屋町556
公式HP:https://artro.jp/
オンラインショップ:https://shop.artro.jp/

堀 博美

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神戸出身、京都在住のフリーライター。専門はきのこ。きのこライターとしての主な仕事に、書籍「きのこる キノコLOVE 111」(山と渓谷社)「ときめくきのこ図鑑」(山と渓谷社)「ベニテングタケの話」(山と渓谷社)「珍菌」(光文社)「毒きのこに生まれてきたあたしのこと。」(天夢人)などがある。WEBや雑誌、新聞などにも執筆経験あり。

一方で、長年現代アートに携わり、現在も制作活動を続けている。
きのことアートはライフワーク。その他、珍しいお菓子、京都街歩き、同人誌イベント、音楽鑑賞(米良美一さん推し)などに興味がある。

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