【顔面学講座㊱】 未来人はどんな顔 人間の顔はどのように進化するのか?

1995年3月に人類学、工学、社会学、化粧文化学、歯学、医学、心理学、芸術学などさまざまな研究分野が結集して、日本顔学会が発足しました。

今年、3月29日(土)、「日本顔学会30周年記念シンポジウム」が、早稲田大学・国際会議場 井深大記念ホールで開催されます。テーマは「顔の未来デザイン -顔って? 誰の? どこへ?-」です。

日本顔学会公認サークルの美人画研究会でも2月の研究会では「未来の美人・美人画を考える」をテーマにして「未来の美人顔」を描くことなり、美人研究の第一人者 城戸崎雅崇先生から「サイボーグ的な絵かアニメ的な絵を描く人が多いと思います。私は逆を行って池袋絵意知さん推薦の未来っぽい現代美人に…」と昨年11月に連絡をいただき、推薦をさせていただきました。

「顔研究家」を名乗る私、池袋絵意知が考える未来人の顔とは?

そこで、今月の「顔面学講座」も「未来人の顔」をテーマに考察してみます。

10万年後の人類の顔

2013年に発表された、ワシントン大学で計算ゲノミクスを研究するアラン・クワン博士の「10万年後の人類の顔」の予測では、「地球外にも移住するようになると仮定し、薄暗い環境に適応して現在よりも大きな眼球を持つ」「地球のオゾン層の外側で受けることになる大量の有害な紫外線の影響を軽減するため肌の色はより黒くなる」などの仮説とともに目玉が今の2〜3倍もある想像図が紹介されていました。

未来について考えることは地球人の喜び

人類は約500万年前にアフリカで誕生したとされていますが、コーカソイドの直接の祖先と言われるクロマニョン人は約4万年前に出現しました。地球の誕生は46億年前で、有史以前に超古代文明があった説や、何度も文明は栄えは滅びてを繰り返している説もありますし、10万年後となるとまたマンモスと人類が共存する地球になっているかもしれません。

10万年後はまた原始人からやり直しの未来?

100年後の日本人の顔

「日本顔学会」誕生前後の1990年代、東京大学工学部の原島博教授が「平均顔」をコンピュータで合成する実験をしていました。科学雑誌『ニュートン』の依頼で、国立科学博物館 人類研究部長の馬場悠男氏が100年後の日本人の顔がどう変わっていくかを予測し、原島教授の研究室でコンピュータを使って合成。

「縄文人の顔」「弥生人の顔」からどんどん小顔、小あごになっている日本人の顔をコンピュータでシミュレーションすると100年後は「あごが極端尖った逆円錐状のアイスクリーム・コーンの上にアイスをたっぷり乗せたような顔」が出来上がりました。

※原島博教授に提供していただいた合成画像。2016年に私が多部未華子さん主演の映画『あやしい彼女』公開直前イベントにゲスト出演した際、この逆三角形のイメージから要潤さんを「未来人顔」と解説しました。

これ以上、人類の頭は大きくならない

2016年、化粧文化研究者ネットワークの研究会で兵庫県尼崎市にある世界で唯一の頭蓋骨博物館「シャレコーベ・ミュージアム」を訪れた際、初代館長で関西医科大学の河本圭司名誉教授の講義「シャレコーベから見た人類の進化」があり、このような解説がありました。

ホモ・サピエンスは700万年前のサヘラントロプスから頭蓋骨が3倍に。前頭葉が発達するために頭蓋骨が大きくなった。だが「これ以上は大きくはならない」と河本名誉教授は予測。その理由は「これ以上、大きくなる必要はない。なぜなら、コンピュータがやってくれるから」

当時、人工知能(AI)の話が身近になってきた頃で納得のお話でしたが、それから9年が経ち、この間のAI進化を考えるとますます河本名誉教授の説に説得力が増してきました。

多くの人の未来人の顔を予測を見ると、たいてい頭が大きくて髪の毛がなく、目が大きい「宇宙人の絵文字にもなっているグレイ👽」のような顔をイメージしていますが、私は河本名誉教授の説を支持します。

人類はこれ以上、頭が良くなる必要はない。これからは、心を良くする時代だと思っています。

地球の環境問題や宇宙からの巨大隕石の未来

2000年後の未来を考えると、大気汚染による日射量減少も考えられます。紫外線が減少し、地球全開の日照量が少なくなったとしたら、メラニン色素の量が少なくなり、北部ヨーロッパの人に多い、青色などの薄い色の瞳の人が増えるかもしれません。

気温や気候は顔の変化に大きな影響を与える

恐竜は、約6600万年前に地球に巨大隕石が衝突したことで絶滅したと言われていますが、仮に100年後に巨大隕石が衝突したら、人類は滅亡し、未来人の顔どころではありません。

イーロン・マスクが「人類が地球に住み続ける限り、戦争や伝染病、小惑星の衝突などによって、滅亡する危険がある」「だが、ほかの惑星、天体にも人類が住めるようになれば、地球が滅びても、人類という種は生き続けることができる」とする「人類の火星移住構想」が実現すれば、地球外の惑星で人類が生き延びる可能性もありますが・・・。

グローバル化がどんどん進むと

欧米、そして日本ではそれ以上に声高に叫ばれているグローバル化。多民族国家アメリカのように、異なる人種や民族の間でどんどん混血が進み、ミックスにミックスが進んでいくと、黒い肌と縮毛は優性遺伝するので、3000年後の未来の人類はみな「黒人」=「アフリカ系」のような顔になっているかもしれません。

黒人の遺伝子は強い

現実的に見てみると、外国にルーツを持つ日本人は増えていますし、特に日本の芸能界にはハーフやクォーターの人が非常に多く、「ハーフ顔」が人気です(主に白人寄りのハーフ顔ですが)。

100年後の日本の美人

上記の「池袋絵意知さん推薦の未来っぽい現代美人」。

真っ先に浮かんで推薦したのが、昨年アンジュルムを卒業した佐々木莉佳子さんです。

ローティーンの頃からモデルとして活躍し、『ピチレモン』→『Seventeen』→そして現在『CanCam』専属モデルで、女子の憧れルートをずっと突き進んでいるファッションリーダー。

洗練されていて未来っぽいけど、激しいダンスで体を鍛えていて野生味もある。

アンジュルム・佐々木莉佳子卒業記念フォトブック「girasol」- CanCam.jp(キャンキャン)より

配偶者選択では、健康的で整った顔をパートナーに選ぶ傾向があるため、未来人の顔は、極端に個性のある顔はどんどん減って「平均顔化」されていくでしょう。

「みな同じような顔になり、整った顔なので未来人は化粧(メーキャップ)の必要がなくなり、化粧をしなくなるのでは?」という考えもできます。

また、美容整形の技術が進歩して、みな同じような顔になるのも味気ない。

100年先は危ない人から身を守ることも不要になり、字を書く必要もなくなるかもしれませんが、それでも武道や書道は人間の文化として残ると思います。

昨年、JR大阪駅前に突如として出現した“夢の未来都市”グラングリーン大阪。このような未来が続いて欲しい。

100万年過ぎたって化粧は永遠になくならない

広義の化粧(人類に共通に存在する身体ケア、身体表象)には、入浴・洗顔・洗髪・歯磨き、ヘアスタイル、ひげ、スキンケアも含まれますが、鼻毛の処理も化粧です。

田舎より都会のほうが空気が汚くて鼻毛が伸びるのが早い。大気汚染が進むともっと鼻毛の処理が大変になります。個人的にはここ数年、鼻毛に白い毛が増えてきました。鼻毛が鼻から飛び出していなくても、暗い穴の中では白い毛が目立つので鼻毛の処理の頻度が増えました。

老後は空気のきれいな場所に住みたい。青空がいつまでも続くような未来であれ!

これも人間の宿命と、仏教で言う人間に定められた「生老病死」の四苦を楽しみながら、私は生きています。

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