紅葉で有名な京都の瑠璃光院、それに大規模なライトアップで人気を博している清水寺の紅葉をテーマにスマホでサクッと撮影するテクニックや撮影のポイントを2回に分けてご紹介します。
今ではスマホでデジタル一眼レフカメラを凌ぐ写真撮影が可能です。ぜひたくさん綺麗な写真を撮影してみてくださいね。
今回の取材はすべてiPhone 13 Pro Maxですが、例えば古いiPhone 5だって立派に撮影できます。それがiPhoneの凄いとことです。ちなみに筆者は、iPhone 5の写真がいちばん好きでした。もちろん、Android端末も魅力的ですよね。
瑠璃光院を撮影した夜に、清水寺のライトアップも取材してきましたので、記事ができ次第掲載します。お楽しみに。
先ずは場所と時間選び
どこで撮影するかで、写真の結果は歴然とします。ですから、プロはロケハン(ロケーションハンティング:撮影場所探し)をするんです。でも皆さんには、そんなお暇はないですよね。
ならば、簡単にGoogleで紅葉の名所と色付き具合を検索しちゃいましょう。
ついでに、「Google イメージ検索」などで、行き先の紅葉をテーマにどんな写真が撮影されてるのか、予習とイメージトレーニングも♬
次に大切なのが、天気と時間。
紅葉は、やはり晴天が映えますよね。事前に行き先の長期予測をググっておきましょう。もちろん、雪や霧の中の紅葉や夕焼けに照らされた紅葉も素敵ですけどね。
さて、今回は12月上旬くらいまで見ごろの京都の瑠璃光院の撮影を例にしてお伝えしますね。
瑠璃光院は楓に囲まれた、小さな家屋。高野川にも近く、紅葉の色づきも抜群で、京都一の紅葉の名所と言っても過言ではありません。問題はなかなか予約が取れないこと。直前に空くこともありますので、めげずにサイトをチェックしてください。
撮影時に大切なのが、撮影する時間。
ブログなどをググって光の具合が良い撮影時間を探ってみましょう。
因みに、私が選んだ瑠璃光院の入場時間は11時45分。12時前に撮影した写真は、太陽光が比叡山越しに差し込んで、紅葉をより鮮やかに透かしてくれています。
瑠璃光院は、超有名な紅葉スポット。写経をする机に映り込んだ紅葉が話題になって、人気白熱。土日ともなると半月以上前からでないと予約出来ません。
でも、平日ならば、まだチャンスは残っているかも。なお、事前予約が必要な期間は、前日や当日の予約や予約のない方の入場は出来ないようですのでご注意を。12月6日以降、12日までは、事前予約が不要になります。しかし、早目に出かけて並ぶ必要があるかもしれません。
瑠璃光院の予約はこちらの予約ボタンから。
10月30日(土)~12月5日(日)までの期間は事前予約が必要です。
2021年11月29日時点で入場料は2,000円、2021年の特別拝観の期間は10月1日から12月12日までです。
https://rurikoin.komyoji.com/info/post_25.html
瑠璃光院へは、叡山電鉄八瀬比叡山口駅で下車して徒歩5分。
京都バスなら八瀬駅前で下車し徒歩7分。烏丸線の国際会館駅からもバスやタクシーで向かえます。ただ、国際会館駅からタクシーをお考えの際は、台数が限られているのでご注意を。写真は叡山電鉄八瀬比叡山口駅のかわいい電車たち。
撮影に出かける前に用意するものと服装など
観光客が押し寄せる、瑠璃光院はじめ多くの京都のお寺では、自分の靴をビニール袋に入れて移動します。ですから、手荷物になって撮影の邪魔にならないようにすることが重要。
出来れば、全ての荷物と靴はリュックサックに入れて、両手を自由に使えるようにしたいものです。もちろん、重過ぎる靴やロングブーツなどは避けたいですね。それに大きな旅行かばんなどは、ホテルのフロントに預けるか駅などのロッカーに保管して向かいましょう。
また、肝心の撮影時に電池が無くなっては大変!ですから、携帯用のバッテリーと、充電しながら撮影できる少し長めの充電用ケーブルを必ず持参しましょう。
スマホの容量が一杯でたくさん撮れない……なんていう方もいらっしゃいます。そんな場合は、スマホの中の写真データをパソコンやクラウドに移したり、不要な写真データは整理して十分な撮影スペースを確保しておきたいものですね。
瑠璃光院の前には綺麗な川が流れ、その両脇にもさまざまな紅葉や、寒桜などを見ることができます。早目に出掛けて、そんな風景を写して腕慣らしをしておきたいものです。この寒桜は、橋の手前に咲いていたもの。寒桜の花にピントを合わせるときは、ピントを合わせたい花を長押しして。
撮影前に知っておくこと
最近のスマホには、AIを使ったコンピュテーショナルフォトグラフィーという撮影機能が搭載されています。ですから、デジタル一眼レフなどの高級なカメラでも映らない暗い部屋の中と明るい紅葉の写真を同時に再現してくれるし、明る過ぎて色が飛んだりしてしまう部分もある程度補完してくれるのです。
ですから、撮った写真をInstagramや各種SNSで使うのなら、無理して重くて大きなカメラを下げていくのは辞めましょう。なお瑠璃光院では、フラッシュや自撮り棒や三脚での撮影は禁止されています。
「いざ撮影!」と意気込む前に、ちょっとだけ用意しておきたいことを。
先ずは、現地には少なくとも30分くらい早く着くように出かけること。もちろん、せっかく予約した入場券のチャンスを無くさないためにも遅刻はできませんが、目的地の周りにもたくさん綺麗な風景が溢れていますから、ぜひとも慣らし撮影をしてみましょう。
瑠璃光院の下に流れる高野川。空が写り込んできれいだったので待ち時間にパチリ。
さぁ、いよいよ撮影本番!
でも、焦って撮影したのでは、綺麗な紅葉も楽しめず疲れちゃいますよね。そもそも、焦っていると綺麗なものも見逃してしまいます。ですから、先ずはオゾンいっぱいの冷たい空気で深呼吸♬
先ずは綺麗な庭園や紅葉を楽しんで、シャッターを切りたいものですね。
瑠璃光院は、ごく小さな庭に囲まれた建物。保存のために公開される期間が限られているので、沢山の観光客が詰めかける大人気なスポットで、コロナ禍前は2〜3時間待ちという状態。現在は公式サイトからのオンライン予約制です。この写真は映り込んだ人や足元の排水溝の蓋を『TOUCH RETOUCH』というアプリで消しています。
スマホの撮影テクニックをご開帳
さて、何をどのように撮影するかです。人に迷惑をかけなければ、撮影になんの規則もありません。自由に思ったように撮影を楽しみましょう。ご心配な方に、撮影の基本を書き出しておきますね。
瑠璃光院の入り口を入ると、山越しに差し込む光。その光に応えるように輝く色とりどりの楓。期待値が高まりますよね。
▶︎予め撮影するモチーフや環境に合わせて準備をする
スマホは、自分好みな仕上がりで写真が撮れるように事前に設定しておくことができます。iPhoneでは、カメラの右上の写真が重なったマークを押して、自分好みの色調が撮影できるようカスタマイズすることができます。
フィルムでいうとKodakのエクタクロームのように、撮影時に紅葉の色がやや鮮やかに見えるように、カスタマイズしてみました。
▶︎レンズの汚れは致命的
スマホのレンズはつい手が触れがちです。手の油脂が付くと当然シャープな写真が撮れません。撮影前や撮影中は、常にレンズのクリーニングを。
1階縁側の庭。レンズが汚れたカメラで撮影すると、葉っぱの間から抜ける陽射しなどもきれいに撮れなかったり、写真にゴーストが現れる原因にもなりますのでご注意を。
▶︎ちゃんと落ち着いてピントを合わせる
スマホは基本的にピントの幅が広いのですが、手前にある紅葉や花などを撮影する場合のピントを決めるのはなかなか難しいものです。背景にピントが合いがちなので、iPhoneなら手前に写したいものをタップしてピントが合うのを確認しましょう。
葉っぱの撮影時は、奥にピントが入り気味。手前の葉っぱをタップして、手前にピントを合わせましょう。
▶︎好きな明るさに露出を合わせる
一般的にスマホのカメラは暗いところから明るいところを撮影するのが苦手。明るい外が飛び気味に写ってしまいますので、iPhoneなら画面の中に現れる小さな太陽のマークを上げ下げしてみて露出を調整します。
紅葉を下から見上げる際は写真が暗くなりがち。ピントを合わせたい場所を長押しして、表示される太陽のマークを上に大きく引き上げてみましょう。
▶︎しっかり両手で持って手ぶれを防ぐ
スマートフォンには、手ぶれ補正機能などを搭載されたものもありますが、手ブレしては綺麗な写真も台無しです。手荷物などを持たず、両手でフォールドして、写す画面を決めたら、息を止めて撮影します。
もし、机に置いたり、スマホの片側を柱で支えて撮影できる場所なら、手ぶれ防止のために利用しましょう。
瑠璃光院を代表する撮影スポットがこちら。
静寂に見える風景の手前にたくさんの人が並んで撮影を待っています。他のカメラマンの頭上から撮影するのではなく、机の上にiPhoneを置いて机のリフレクション(反射)を活かした撮影をしたいものですね。
▶︎色んなアングルにチャレンジを
スマホは軽いので、高いところから撮影したり、超ローアングルから撮影したり、紅葉の中にスマホを差し込んで撮影したりと、自由自在。色々なアイデアで自由に撮影してみましょう。
1階の縁側にiPhoneを置いて広角で撮影してみました。
▶︎肖像権にはご注意を
たくさん人がいる場合、写っている人が特定できる写真をSNSなどに掲載するのはご法度です。掲載する際は、個人が特定されないための処理が欠かせません。
これが撮影現場の様子です。大きなカメラのオジサンは同じ場所を陣取って動きませんので、観光目的のグループの後ろで撮影のチャンスを待ちましょう。
上記のオジサンたちにもめげずに、誰もいない縁台のように撮影するのがプロの技。床についた傷は『TOUCH RETOUCH』というアプリで消しています。
基本的な撮影テクニックに心配がない方に、アーティスティックな撮影テクニック例を。
スマホの写真はアプリでサクッとブラッシュアップ
撮影できた写真がちょっと地味だなぁとか、実際に見た時の印象と違う……といった場合、スマホならではのアプリで簡単にブラッシュアップしてみましょう。
iPhoneなら、撮影した写真の補正ボタンを押して、色調や明るさ、トリミング、変形などの調整が簡単にできます。
イチョウの落葉を編集の自動補正で修正したあと、コントラストを弱めて全体の鮮やかさを引き立てました。
瑠璃光院出口付近の写真。目測では水平が出にくいので、撮影後に編集。編集の右下のアイコン「トリミングツール」で水平に。
また、アプリを使うことで、綺麗な仕上がりにブラッシュアップすることができます。私は、『Foodie』という編集アプリがお気に入りで多用しています。みなさんも、色んなアプリを試してみてくださいね。
瑠璃光院の出窓。水辺垂直を補正した後に、Foodieで色調を調整。机の上の傷や、掛けないでくださいと書かれたプレートをTOUCH RETOUCHで消しています。
もちろん、Instagramなども写真のブラッシュアップが得意。自分が好きな仕上がりを目指しましょう。
ただ、やり過ぎて絵で描いたような違和感を感じさせては、綺麗だった紅葉も台無しですよね。自分が見た時の印象になるべく近く仕上げるのが基本的な編集テクニックです。
瑠璃光院からの帰り道に面した小川に映り込む紅葉と、空のコントラストがきれいだったのでパチリ。この写真では、映り込みにピントを合わせています。