楽活をご覧のみなさま、こんにちは!
私は現在、日本から9,000km離れたドイツから100%リモートワークでライター業を中心としたフリーランスとして働いています。
ドイツに移住してからはフリーランスの利点を活かし、仕事のかたわら博物館や工場、美術館見学などに参加しながら『楽活』へ寄稿させていただいております。
2022年に『カッセルの世界遺産「ヴィルヘルムスヘーエ城公園」を地元在住日本人が解説』という記事を寄稿させていただきましたが、約1年後である2023年9月に、ガイドの友人からのお誘いにより、水の芸術「Wasserspiel」を巡るガイドツアーに参加させていただきました!
今回はこの場を借りて、水の芸術「Wasserspiel」について、実際の写真を交えながらご紹介したいと思います。
物理の法則で山頂から麓(ふもと)に向って流れていく美しい水の芸術を巡るツアーを、この記事を通して疑似的に体験してみてください!
カッセル観光の目玉!水の芸術「Wasserspiele」とは?
水の芸術「Wasserspiele」は、山頂から麓まで約2kmに渡り流れ落ちる壮大な噴水ショーで、ドイツ・カッセルにあるヴィルヘルムスヘーエ城公園内の観光名所のひとつです。
「Wasserspiele」は機械を使わず物理の法則だけで噴水が駆動していますが、その技術は約300年前と変わっていません。
このことが決定打となり、ヴィルヘルムスヘーエ公園は2013年より世界遺産にノミネートされています。
「Wasserspiel」を見学するためにドイツだけでなく世界各国から観光客が訪れており、上演期間は多くの人々で賑わっています。
参加した「Wasserspieleを巡るガイドツアー」について
今回筆者は、友人がガイドする「Wasserspiele」のツアーに参加することとなりました。
筆者が参加したツアーには私たち以外にも2組の参加者(合計4名)がいらっしゃいましたが、別のガイドグループは20名前後の大所帯。
申し込みのタイミングによっては大人数になるようです。
ガイドツアーでは、「Wasselspiele」に関する歴史背景や噴水などの解説を聞きながら、時間に合わせて巨大噴水ショーの各名所を一緒に巡っていきます。
「Wasserspiel」自体は開始時間に併せれば個人でも訪問できますが、ガイドツアーに参加することで、一味違った経験ができますよ。
なお「Wasserspiele」ガイドツアーは基本的にドイツ語や英語、フランス語、イタリア語で実施されていますので、語学力に自信のある方はぜひ参加してみてください。(2023年9月時点)
巨大噴水ガイドツアーを疑似体験!時系列にご紹介
「Wasserspiele」は14時30分から始まり、15時45分には麓にある巨大噴水池へと続きます。巨大噴水が見られる瞬間は圧巻です!
ツアーの所要時間は約2時間で、ツアー参加者はガイドと共に約2.3 kmに及ぶ距離を水路に沿ってヘラクレス記念碑のある山頂から麓まで歩きます。
今回は『楽活』読者の皆様に、巨大噴水ショーを時系列でご紹介したいと思います!
集合は山頂にあるビジターセンター
ツアー集合場所は、山頂にある「ビジターセンター」です。
ビジターセンターは、ヴィルヘルムスヘーエ城公園内山頂部に位置しており、ギリシャ神話の最大の英雄ヘラクレスを模した記念碑の近くにあります。
ツアーは山頂から麓まで歩くため、ビジターセンターに戻るためにはバスまたは車を利用しなければなりません。
ビジターセンター内にはお土産販売店がありますので、もしお土産を購入したい場合はツアー前に購入をおすすめします!
ヘラクレス記念碑を見学
「Wasserspiele」ツアーの一環として、ヘラクレス記念碑およびオクトゴンの内部見学も行いました。
山頂にそびえたつヘラクレス記念碑はカッセルのランドマークで、ヴィルヘルムスヘーエ公園内でもっとも古い建造物の1つです。
イタリアの建築家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ゲルニエロが手掛けたこの建物は、かつてはカール方伯が300年以上前に自身の権力を象徴するために建てられたそうです。
高さ約70メートルのヘラクレス像が鎮座する三角の台座は、展望台として利用されています。
展望台に上るにつれてスペースが狭くなっていくからか、入り口では入場制限がありました。
展望台からは、公園を中心としたカッセル市内を一望できます。
「水の芸術」が始まるまで待機
ヘラクレス記念碑とオクトゴンを見学した後は、時間になるまで「Wasserspiele」のスタート地点で待機。
ここでは、ガイドのトムさんが「Wasserspiele」の舞台裏や仕組みについて説明してくれました。
「Wasserspiele」スタート地点は、ヴィルヘルムスヘーエ城の山頂に位置する貯め池。
その水がヘラクレス記念碑にあるオクトゴン下部の洞窟から流す仕組みになっているのだとか。
洞窟内には巨大像が立っており、2ユーロを投入すると音楽が流れ、さらに2ユーロを入れると水が噴き出す仕掛けが楽しめます。(2023年9月時点)
また、馬蹄形の階段が洞窟群を囲んでおり階段に沿って水が流れていくのだそう。
筆者たちもう含め、多くの人々が今か今かと待っている姿が印象的でした。
【14時30分】水の芸術、上演スタート!
時計の針が14時30分を指すと、公園内の雰囲気が一変します。
洞窟に佇む左にいる「フォーン」、右にいる「ケンタウロス」が持つ角笛から音が流れ出すと、噴水から水が!
なんと、この角笛の音も、自然の水圧によって生み出されているのだそうです!
角笛から鳴る合図は、なんと公園の麓まで届九ほどの巨大な音量なのだとか。
ここで注目なのが、水が勢いよく流れるわけではなく徐々に流れていくという点です。
たとえるならば、降り始めた雨が山の傾斜に沿って流れ出すように、水がゆっくりと動き出すのです。
【14時35分】水の流れに沿ってカスケードを下っていく
14時35分、最初の噴水から放出された水が、山に沿って築かれたカスケードを下っていきます。
水の後を追うように、私たちもヘラクレスのある場所からネプチューン池まで階段を下って降りていきます。
ヘラクレスからネプチューン池に至る演出は、「バロック水上競技」と呼ばれているそうです。
カスケードには合計3つの楕円形の池があり、巨大なカスケードの両側には、それぞれ535段と539段の階段が立ち並んでいます。
階段を下りながら滝に沿った水の流れをたどることができるため、多くの観光客はその美しさに圧倒されていました。
水の流れとともに多くの観光客も一緒に下っていくので、ガイドさんについていくのがやっとでした。
【15時5分】シュタインへーファー滝へ到着
カスケードから流れ落ちていく水を追って到着するのは、シュタインへーファーの滝(Steinhöfer Wasserfall)です。
シュタインへーファー滝は、1793年に造られた人工滝で、カスケードから続く滝の一部を構成しています。
名前はというと、ロマン派水道の設計者カール・シュタインヘーファーにちなんで名付けられたそうです。
私たちが到着した時には、既に多くの人が待機。
時間になると流れてくる滝の水流が岩々を濡らし、周囲の緑が鮮やかに映える景色が印象的でした。
【15時20分】悪魔の橋へ到着
シュタインへーファー滝の美しい景色を楽しむのもつかの間、次の目的地である「悪魔の橋(Teufelsbruecke)」へ急ぎます。
「悪魔の橋(Teufelsbruecke)」は18世紀末に、建築家ハインリッヒ・クリストフ・ユッソーによって設計されたそうです。
建築当初は木製の橋でしたが、1826年に鋳鉄製の手すりのついた現在の橋に架け替えられました。
「悪魔の橋(Teufelsbruecke)」からは、高さ10メートルから約400立方メートルの水が「地獄の池(Höllenteich)」と呼ばれる池に流れ落ちるという壮大な光景を眺められます。
まがまがしい名前が付けられていますが、これは隣接する「冥王星の洞窟(die angrenzende Plutogrotte)」と関係があるためだそうです。
伝説によれば、ローマ神話における冥界の神プルートはこの洞窟に座っていたのだとか。神話好きの方にとってはロマンを感じるかもしれません。
ガイドさん曰く、橋の上から滝の流れを眺めるよりも、橋を見上げる位置からの鑑賞がおすすめとのことです。
人が多く、見えるか心配でしたが、私たちもベストポジションから壮大な水の流れを鑑賞できました。
【15時30分】水道橋から流れ落ちる圧巻の滝!
「悪魔の橋(Teufelsbruecke)」からの水の流れを楽しむこと間もなく、15時30分予定の「水道橋(Aquaedukt)」まで急ぎ足で向かいます。
「水道橋(Aquaedukt)」はローマ時代の水道橋を模して設計された、公園の中で最も高い人工滝です。
通常時はお城跡の一部と勘違いされることもありますが、実は巧妙に設計された水路の一部です。
「水道橋(Aquaedukt)」もハインリッヒ・クリストフ・ユッソーによって建設されており、時を経て朽ちてしまったように見える構造は、意図的に設計されたそうです。
約30メートルの高さから流れ落ちる水は圧巻そのもの!
ちなみに、ピンポイントで「水道橋(Aquaedukt)」に待機して待っている方もいたので、体力に自信ががないけど「Wasserspiele」を堪能したい方におすすめのステーションです。
【15時45分】終着地、フォンテーヌ
「水道橋(Aquaedukt)」の巨大滝を見送り、終着地点である麓の噴水池に向かいます。
15時45分に吹きあがる巨大噴水を今か今かと待つ人たちで既に池周辺は賑わっていました。
最後の巨大噴水が私たちの目の前に現れると、多くの完成と拍手が沸き起こりました!
一見、自然にある池のように見えるこの場所は、18世紀半ばに造られた人工池です。
物理の力で巨大噴水を間欠泉のように上昇させるためには、噴水口を閉じ、80メートルの高さにある貯水池からのパイプを水で満たさなければならないそうです。
パイプ内に水が完全に満たされると仕掛けによってフタがはずれ、噴水が立ち上がるそうです。
噴水が高く上がる様子は、壮大な「Wasserspiele」のフィナーレに相応しい光景でした。
最後に
今回は「Wasserspiele」ガイドツアーに参加した筆者の体験談をご紹介しました。
ガイドツアーでは噴水の時間帯に合わせて知識のあるガイドさんが解説しながら、「Wasserspiele」のハイライトを余すことなく案内してくれました。
個人で楽しむにはポイントを抑えないといけませんが、ガイドつきだと噴水の時間帯を熟知したガイドさんが要所要所、解説しながら案内してくれるので、歴史文化好きである筆者はより深く楽しめました。
「Wasserspiele」はシーズン限定ですので、期間に合わせてぜひカッセルに遊びに来ていただけたら幸いです!
【情報】
【「ヴィルヘルムスヘーエ城公園」基本情報】
所在地:Schloßpark Wilhelmshöhe 1, 34131 Kassel ドイツ
入園料(税込):無料 ※施設によって異なる
開場時間:公園自体は24時間営業 ※施設によって異なる
公式HP:http://www.museum-kassel.de/
Wasserspiele開催時季:例年5月1日~10月3日の毎週水・日・祝日、14:30より
1 日チケット ヴィルヘルムスヘーエ 価格
大人:6ユーロ
子ども:4ユーロ
無料入場:18 歳までの子どもと若者、およびカッセル大学の学生
※1日券で次の施設を訪れられます: ヴィルヘルムスヘーエ宮殿、ヴァイセンシュタイン翼、レーヴェンブルク、季節に応じてヘラクレス(4月1日から10月31日まで)または温室 (11月1日から3月31日まで)。ヴァイセンシュタイン ウイングとレーヴェンブルクは現在、改装工事のため閉鎖されています。
※ガイド料金はツアー会社によって異なります。以下が代表的なツアー提供元となります
・Führungsangebote im Bergpark | Stadt Kassel(多言語対応)
・Hessen Kassel Heritage - Museen, Schlösser, Parks(英語、ドイツ語)