おうち時間にドイツで愛され続けるボードゲームはいかが?初心者向け3作品も紹介

楽活をご覧のみなさま、こんにちは。

私は現在、日本から9,000km離れたドイツから100%リモートワークでライター業を中心としたフリーランスとして働いています。ドイツに移住してからはフリーランスの利点を活かし、仕事のかたわら博物館や工場、美術館見学などに参加しながら『楽活』へ寄稿させていただいております。

ところで皆さん、ドイツは世界有数のボードゲーム大国ということをご存じでしたか?"Spiel(シュピール)"という言葉が示すように、多くのドイツ人にとってボードゲームは日常の一部。

実は多くのドイツ人が「ゲーム」と聞いて思い浮かべるのは、電子ゲームよりもボードゲームなのです。年間数百もの新作が発売され、ボードゲーム専門店があるだけでなく、おもちゃ屋や書店などでも頻繁にその存在を感じられます。一方で日本ではテレビゲームが主流ですが、近年ボードゲームが静かに人気を集め始めているようです。

そこでこの記事では、ドイツボードゲームの特徴や、初心者にも楽しめるゲームを紹介します。この記事を通して、ドイツのボードゲームがどのようにして日常に溶け込み、どんな楽しさを提供しているのか、一緒に見ていきましょう。

なぜアナログのボードゲームが今も親しまれているのか

ドイツの車フォルクスワーゲンのボードゲーム(2023.06撮影)

デジタル全盛の現代においても、ドイツでアナログのボードゲームが変わらず愛される理由は、ドイツで長年にわたり培われてきたボードゲームの文化にあります。

ボードゲームは参加者同士の心の距離を縮め、コミュニケーションを深化させるのに一役買っているようです。また、プレイヤーの個人的な成長を促す効果もあり、ただの遊び以上の価値を私たちに提供してくれているんです!

ボードゲーム文化の土壌が築かれてきたから

出典:Geschichte Spiel des Japhres

ドイツにおけるボードゲームの文化は、まさにその土壌が豊かに育まれてきた結果といえます。新聞やラジオでの本や映画の批評と同じく、ボードゲームに関する批評も一般的だったそうです。

そして1977年にはゲーム評論家が集まり、ボードゲーム文化の発展を後押しする「ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)」の創設に至ります。

「ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)」では、過去1年間に発売された優秀なゲームを専門家が選出し、受賞したゲームは特別なロゴをパッケージに印刷する権利を得られます。

中立性を保ち、スポンサーをつけずに運営される「ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)」は、ゲーム制作者と購入者から厚い信頼を得ています。

こうして、かつては子どもだけのものとされていたボードゲームが成人にも広く受け入れられるようになり「ドイツボードゲーム」という独自のジャンルが世界に広まったのです。

人と人との絆を深めやすいから

こちらはボードゲームではありませんが、「Familienspiel」としてこういったクイズも親しまれています。

ボードゲームにはゲームを通じたコミュニケーションにより、人と人の絆を深める働きがあります。
家族や友人が1つのテーブルを囲み、直接対面して遊ぶことで、互いの絆が強まります。

ドイツ人にとっては子どもの教育に役立つだけでなく、家族間のコミュニケーションを促進する手段としても重要な役割を果たしているようです。
さらにドイツのボードゲームは対象年齢が幅広いため、さまざまな世代が共に楽しめる点にも注目です。

このようにボードゲームはただ遊ぶだけでなく人々の心をつなげ、楽しさの共有を通じて絆を深める働きがあります。まるで茶道で用いられる禅語のひとつである「一期一会」のようですね。

人としての成長にも効果を発揮するから

出典:UnsplashMaria Lin Kimが撮影した写真

ドイツ人にとってボードゲームは単なる娯楽を超え、楽しみながらも人として成長するために一役買っているようです。

プレイヤーはゲームの題材や仕組みを通じて「人生」や「社会の動き」を疑似体験し、競争や交渉、協力、戦略的な駆け引きを学びます。

この過程で行われる思考やコミュニケーションは、現実世界でのコミュニケーションや意思決定に非常に近く、プレイヤーはゲームを通じて重要な社会的スキルを養います。

実際に私自身もボードゲームを通じて、ドイツに生きる外国人として、彼らとのコミュニケーション方法や交渉を学ぶきっかけになっています。

ドイツのボードゲーム主な特徴

我が家のボードゲームコレクション。ボードゲーム好きのドイツ人は自分達のボードゲーム専用タンスを持っている人も!

ドイツのボードゲームは独特な特徴で世界中の幅広い世代に愛されています。

プレイヤーは単に遊ぶだけでなく、共感や共有を経験し、新しい視点を得ることができるのです。

詳しく見てみましょう。

対象年齢の幅広さ

ドイツのボードゲームは、その対象年齢の幅広さで知られています。
多くのボードゲームは子どもから大人まで、あらゆる年代が楽しめるよう設計されていますが、中には大人専用の複雑なテーマを扱うゲームも存在します。
特に興味深いのは、多くのゲームが戦争や争いごとを避け、より建設的で協力的なテーマや目的に焦点を当てている点です。
これによりドイツのボードゲームはさまざまな年齢層のプレイヤーが共に楽しみ、世代を超えて共感を持ちながら遊べるといえます。

コミュニケーションが必須

ドイツのボードゲームでは、プレイヤー間のコミュニケーションが独特の醍醐味といえるでしょう。
交渉や協力プレイが必要なゲームが多くあるため、参加者は互いに話し合ったり、共同で戦略を練ったりすることが求められます。
参加者が直接対面したうえで思考を共有しながら楽しむことで、ゲーム体験をより豊かなものにしているのです。

必ずしも勝利を争う必要がない

ドイツのボードゲームには、もちろん勝敗を決めるものもありますが、勝利だけを目指すのではありません。
全員が最後まで楽しんだり、協力してゴールを目指したりすることに重点を置いています。
ドイツ生まれのボードゲームの多くは、途中でのプレイヤーの脱落が少ないほか、戦争や直接的な攻撃をテーマにしたものもほとんどありません。

ドイツ在住の人がボードゲームで遊ぶタイミング

出典:UnsplashTomas Martinezが撮影した写真

ドイツのボードゲームは、一般的に15分から2時間のプレイ時間の者が多いため、家族や友人との団らんや余暇の過ごし方としておすすめです。

特にドイツではボードゲームが余暇の過ごし方として深く根付いており、ゲームナイトや年末年始、クリスマスには家族が集まり、共に楽しむ時間に登場します。

筆者の経験談も交えながら、詳しくご紹介しますね!

1.ゲームナイト

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ドイツでボードゲームを楽しむタイミングの1つに「Spielabend(ゲームナイト)」があります。
「Spielabend(ゲームナイト)」とは平日の夜や週末に友人たちが集まり、それぞれがお気に入りのゲームを持ち寄って楽しむことです。

「Spielabend(ゲームナイト)」では、その場でどのゲームをプレイするかを決めたり、特定のゲームを予め指定したりして準備するなど、さまざまな方法で盛り上がります。
筆者自身も、友人の家で「Spielabend(ゲームナイト)」を何度か体験しましたが、各家庭が複数のボードゲームも所持していることに毎回驚かされています。

2.年末年始やクリスマス

年末のカウントダウン待ちにプレイしたドイツの有名ゲーム「イライラしないで」をこの後詳しくご紹介します!

ドイツ人にとって年末年始やクリスマスは、ボードゲームを楽しむ絶好の機会といってもいいでしょう。
カウントダウンを待つ夜や、家族が集まるクリスマス期間中に、多くの家庭でボードゲームが遊ばれます。
ドイツのボードゲームは大人から子どもまで年齢を問わず楽しめるものが多いため、どんな集まりにもおすすめです。

筆者自身も、義家族とのクリスマスや年末年始にボードゲームで楽しい時を過ごしました。スマホから離れる時間も意図的に作れるので、デジタルデトックスにも役立ちます。

3.家族のだんらんの時間

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ドイツでは、大人向け以外のボードゲームを「Familienspiel(ファミリーゲーム)」とも呼んでいるため、家族のだんらんの時間に欠かせないものとなっています。
たとえば夕食後の余暇時間に、家族が集まりボードゲームで遊ぶのはよく見られる光景です。
筆者自身も、パートナーと共にボードゲームで楽しい時間を過ごすことがあります。

多くのドイツの家庭ではボードゲームが家族間の絆を深め、日常の忙しさから離れて共有する楽しみをもたらしているのでしょう。

筆者おすすめ!初心者向けドイツのボードゲーム3選

Webライターという仕事をしているからこそ、ドイツのボードゲームの魅力を日本にも伝えたい!

そこで今回はこの場を借りて、初心者でも遊びやすく日本でも手に入りやすいドイツのボードゲーム3つを厳選し手ご紹介します。

どれもドイツボードゲームの魅力を存分に味わえる作品です!気になった方はぜひこの機会に購入してみてはいかがでしょうか?

1.イライラしないで(Menschen ärgert dich nicht)

ドイツについて学ぶ人は必ず存在を知ることになる「イライラしないで(Menschen ärgere Dich nicht)」

「イライラしないで(Menschen ärgere Dich nicht)」は100年以上の歴史を持ち、これまで累計約7000万箱の売り上げを誇ってきたドイツを代表する2~4人用*ボードゲームの1つです。(*派生シリーズでは6人プレイも可能だそうです)

1908年にヨーゼフ・シュミットによってミュンヘンで考案された「イライラしないで(Menschen ärgere Dich nicht)」は、第一次世界大戦中の野戦病院での配布をきっかけに人気に火が付きました。

「イライラしないで(Menschen ärgere Dich nicht)」の魅力は、ルールのシンプルさにあります。
プレイヤーは自分の手持ち4コマを、すべてゴールに入れることを目指すだけ。
このシンプルさが、年齢問わずプレイヤーを引き付けているのでしょう。

「イライラしないで(Menschen ärgere Dich nicht)」では、サイコロの出目次第で自分のコマがスタート地点に戻されることもあるため、戦略だけでなく運も欠かせません。
そのためプレイ中は「イライラ」が積もってしまうことも!これが名前の由来となっているそうです。

筆者自身、ドイツ語を専攻していた大学時代には存在を知っていましたが、実際にプレイしたのは2023年のクリスマスや年末が初めて!
ボードゲームによくある勝ち負け要素が苦手なのですが、シンプルなルールとサイコロの出方次第という運要素も相まって、ハラハラしながらも楽しめました。
ですがやっぱり「イライラ」する場面が出てしまいました(笑)

2.カタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)

友人宅でカタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)航海者版をプレイする図

「カタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)」は1995年にクラウス・トイバー(Klaus Teuber)氏によって作られた、世界中で愛されているボードゲームの1つです。

「カタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)」はドイツ国内での知名度が高く、2004年時点では2人に1人がカタンを知っているほどの人気っぷり。
ドイツ国内だけでなく世界でも愛されており、日本ではカタン協会が設立されるほどの人気があるようです。

プレイヤーは架空の島「カタン」で居住地を建設し、資源を管理しながら街を発展させます。
資源を集めるために行う、他プレイヤーとの交渉と街を発展させていく戦略がカギを握るといっていいでしょう。

家庭用にサイズを調整したバージョンや「航海者版」「都市と騎士版」などのシリーズ展開もされ、幅広い年代で楽しまれています。
筆者も友人宅で、子どもから大人まで一緒になってカタンに没頭し、盛り上がることがよくあります。

3.ドーフロマンティック(Dorf Romantic)

出典:Dorfromantik: Das Brettspiel Spiel des Jahres

「ドーフロマンティック(Dorf Romantic)」は、2023年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した、デジタルゲームから派生した新しい形のボードゲームです。
「ドーフロマンティック(Dorf Romantic)」は元々、ベルリンのゲームデザインの学生4人によって開発され、デジタル版の人気を経てボードゲーム版が発売されました。

プレイヤーはタイルを使って美しい村や風景を作り上げていくという協力型のゲームで、森や麦畑、村などのタイルを繋げ、特定のタスクを達成して点数を獲得します。
手番で行うのはタイル1枚の配置のみで、シンプルながらも参加者全員が協力しあう戦略的な遊びが楽しめます。

「ドーフロマンティック(Dorf Romantic)」では競争や勝ち負けに焦点を置かないため、ボードゲーム初心者や競争を好まないプレイヤーにおすすめです。

筆者の場合は、ニンテンドースイッチ版で元々遊んでいたため、ボードゲーム化した際にはボードゲーム版もすごく興味がありました。
たまたま友人とのSpielabendで「ドーフロマンティック(Dorf Romantic)」ボードゲーム版をプレイしたことで、テレビゲーム版とは異なる魅力にハマりました!

最後に

出典:UnsplashTomas Martinezが撮影した写真

この記事では、ドイツのボードゲーム文化や筆者のおすすめゲームについてご紹介しました。

普段の忙しい生活の中、パソコンや携帯電話に囲まれた私たちにとって、ドイツのボードゲームは心温まる貴重な時間を与えてくれます。

人が集まる場面でプレイされるドイツのボードゲームは、単に遊ぶだけでなく、互いの絆を深め、共感を育んでくれるでしょう。

たまにはスマホやパソコンなどのデジタル機器から離れて、大切な人とボードゲームで遊ぶ時間を作ってみませんか?

この記事をきっかけに、ドイツのボードゲーム文化を1人でも多くの人に知ってもらえたら、筆者は嬉しいです。

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