広大なデホーヘフェルウェ国立公園でサイクリング&アート鑑賞【クレラー=ミュラー美術館/ヘレーネの森巡り・前編】

オランダには素敵なサイクリングコースが大小合わせて1000以上あります。中でも世界屈指のゴッホコレクションを誇るクレラー=ミュラー美術館のあるデホーヘフェルウェ国立公園は5500万㎡もの広大な敷地の中に40㎞以上に伸びるサイクリングコースがある人気の場所です。

立派な角を持つアカシカやムフロンの他イノシシやノロジカなど多彩な生物が生息する森や草原、池や砂丘など変化に富んだ地形を満喫できます。

この国立公園はアムステルダムから南東へ約80kmオランダ中部に位置しています。

車でなら約1時間半、公共交通機関の場合にはスキポール空港からアーネム(Arnhem)まで鉄道で約60分、そこからバス105番でオッテルロー(Otterlo)まで約30分、さらにバス106番に乗り換えて5分ほどで公園オッテルロー入り口(Ingang Otterlo)へ到着します。

公園入口のインフォメーションセンター

公園に入るにはチケットが必要です。事前にオンラインでチケットを購入することもできますが当日ゲート脇の券売所で直接買うことも可能です。(自家用車の場合には別途駐車料が必要です。)必要なら地図もここで購入します。

公園のパンフレットとサイクリングコースの地図

公園の無料自転車を借りてみよう!

チケットを購入して入り口を入るとすぐに広い駐輪場が見えてきます。

この白い自転車、チャイルドシート付きや子供用の小さな車輪のものもありますが、どれでも無料で借りることができるんです。園内の数カ所にある駐輪場ならどこで乗り始めても乗り捨ててもOK。

事前予約はできませんが全部で1800台あるそうなのでよほど混み合うシーズンでなければほぼいつでも借りることができます。

園内で自由に乗れる無料自転車

ただこの無料自転車は、ブレーキやギヤのないシンプルなピクトバイク。日本ではブレーキ装備のない自転車は公道で走る事ができないため、はじめて乗る時には少しとまどうかも。ヨーロッパではシンプルな構造で故障が少ないため人気があります。

子供用の自転車に補助輪はありません。足で蹴って走らせるうちに自然に乗れるようになるそうです。

サイクリング好きなオランダの人たちは自宅から自転車持参で旅行する人も多く、この公園内でも愛用の自転車を積んで走る車をたくさん見かけました。

自転車を2台積めるタイプのリアキャリア

標識を頼りにパーク内を走ってみよう

公園内の地図は、インフォメーションセンターやセンターパビリオンで購入することができます。園内の各所に標識が設置されているので、自転車から降りて地図を確認する必要はほとんどありません。

園内の案内標識

デホーヘフェルウェ国立公園内に限らずオランダのサイクリングコースには「キノコ」と呼ばれる歩行者&自転車用標識(ANWB-paddenstoelen)もあります。100年以上前からこの形が採用されているそうですが、自然保護区や景勝地でも景観を損なわない優れもの。

この標識の設営管理は、オランダ旅行者協会(ANWB:ロイヤルダッチツーリングクラブ)が行っています。

通称「キノコ」自転車用案内表示版

園内に点在するモニュメントを探してみよう

広い園内のあちこちにもアート作品やモニュメントがあります。

こちらは美術館前の道路を進んだ先の砂丘の中にあるヘンリー・ムーアの作品。国立公園の中とはいえ道路脇にぽつんと建っていることに驚かされます。

ヘンリー・ムーア「Three upright motives」

これは南アフリカのデウェット将軍の像。アフリカのサバンナを思わせる景色の中で南アフリカの方向を向いて建っています。

ジョゼフ・メンデス・ダ・コスタ「Christiaan de Wet」

こちらはクレラー=ミュラー美術館前の巨大オブジェ。

この美術館には野外彫刻だけでも185点の展示がありますが、そのうちの15点余りはエントランス前にあります。つまり、美術館に入館しなくても無料で鑑賞することができるんです。

ホァン・ヨン・ピン「The overturned tomb door」

公園のビジターセンターでひと休み

公園中央にあるのが、パークパビリオン。この建物は、インフォメーションセンターや自転車のレンタルの他、売店やレストランもある複合施設です。2019年に改修されたばかり。ガイドツアーやアクティビティの予約などもここで申し込むことができます。

インフォメーションや売店があるパークパビリオン
ぬいぐるみやキーホルダーなどのお土産品が売られています

併設のレストランには、オランダ定番のダッチパンケーキやクロケットの他、鹿肉のローストや猪肉のグリルなどが味わえるコース料理も楽しめます。

オランダのパンケーキは、薄いクレープ状の生地にベーコンやチーズ、リンゴやパイナップルなどがたっぷり入っています。塩気のある具材にフルーツや粉砂糖、シロップをかけて甘辛にして食べるのがオランダ流。

ダッチパンケーキとジンジャーティー

午後5時以降にパークの日帰りチケットを購入してこのレストランで€25以上の支払いをすると、チケット費用を払い戻してくれます。夏は22時過ぎまで明るいオランダならではのサービスです。

緯度の高いオランダは夏でも平均気温20℃前後。テラス席でディナーの際は上着やひざ掛けのご用意を。

風がここちよいレストランのテラス席

森の中を走るサイクリングコース

ビジターセンターでお昼を食べたら、公園の北の端にあるクレラー=ミュラー夫婦が夏の別荘としてかつて使っていたシントヒューベルトス・ハンティングハウスに向かいます。

草原の先に見えるのがシントヒューベルトス・ハンティングハウス

この公園はかつてクレラー=ミュラー夫妻の私有地でした。自然と狩猟を愛する夫は、森を整え狩猟用の鹿やいのししを森に放して、ハンティングを楽しみました。妻は絵画や彫刻などの収集が趣味でした。現在はオランダ最大の国立公園になっているこの土地は、クレラー=ミュラー夫婦の個人的な趣味の結晶なのです。

池のほとりにたたずむハンティングハウス

英国風の庭園には、小さなカフェがあります。お城のような優雅なハンティングハウスと美しい庭園、そして森や池を眺めながらベンチでお茶を飲むことができます。オンラインで事前予約をすればガイドツアー付きで館内を見学することも可能です。

ハウスの中庭には季節の花が植えられています。

ハンティングハウスの周りにも、自転車専用道がいくつも設けられています。

ほぼ全ての車道・自転車道・歩道が独立しているので、車で訪れた人も徒歩で散策する人もそれぞれすれ違ったり交差することなく安全に快適に過ごすことができます。

車道から離れたところにある自転車専用道

運が良ければ散策中に鹿やウサギなどの動物に遭遇することも。

この日は2頭の鹿に出会いました

まとめ

ご紹介したデホーヘフェルウェ国立公園内で、この日回った行程は約12㎞。それでもまだ広い園内の1/4ほどです。もしここを訪れる機会があればゆっくり時間をかけてオランダの豊かな自然や動植物、そしてアートに触れて穏やかな時間を過ごすのはいかがでしょうか?

参考情報

デホーヘフェルウェ国立公園(Hoge Veluwe National Park)
所在地:Houtkampweg 9B, 6731 AV Otterlo(パークパビリオン)
公式HP:https://www.hogeveluwe.nl/en

シントヒューベルトス・ハンティングハウス(Jachthuis Sint Hubertus)
所在地:Apeldoornseweg 258, 7351 TA Hoenderloo

クレラー=ミュラー美術館(Kröller-Müller Museum)
所在地:Houtkampweg 6, 6731 AW Otterlo
公式HP:https://krollermuller.nl/jp

オランダ旅行者協会ロイヤルダッチツーリングクラブ(ANWB)
公式HP:https://www.anwb.nl/

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