素敵な建物に出会える「清春芸術村」(きよはるげいじゅつむら)へ行ってきました!廃校となった清春小学校の跡地につくられたアーティストコロニーです。
その中心となるのが、清春芸術村内にある「清春白樺美術館」。同館は、1983年に開館しました。武者小路実篤、志賀直哉など『白樺』の同人が建設しようとしてその夢を果せなかった想いを、両氏を敬愛し、個人的にも親交のあった吉井長三(よしいちょうぞう)が私財を投じて建設した「幻の美術館」なのだそうです。
山梨県と言えば少し遠いイメージもありました。でも、実は東京都とも隣接するなど首都圏からも気軽に日帰りで行けるんです。それでは、早速清春芸術村の見どころを紹介していきます!
①ラ・リューシュ
この村のシンボル的建物「ラ・リューシュ」です。
「ラ・リューシュ」は、アーティストのための創作の場です。オリジナルは、パリにあり、若き日のシャガールやモジリアニなど巨匠を生んだアトリエ兼住居として有名。
吉井長三が設計図を買いとり、まったく同じものを1981年に清春芸術村内に再現。現在もパリの記念建築とされているものと同様の、ギュスターブ・エッフェルの建築だそう。パリ以外では、唯一、ここに再現されたそうです。
②白樺図書館
図書館長は谷川俊太郎氏です。
現在、書庫整理中とのことで入ることはできなかったのですが、雑誌『白樺』の復刊版や、白樺派ゆかりの作家による文学や美術書を中心に揃えた図書館です。
子どもたちにも文学や美術に慣れ親しんでもらえるよう、美術書のなかには絵本もあるとのこと。
③エッフェル塔の階段
1989年、エッフェル塔完成100周年を迎えた際に、フランスから清春芸術村に移設されたエッフェル塔の一部。そのお隣に立っているのは、現代美術家セザールによるエッフェル像です。
④茶室 徹
一際目立つ不思議な建物。
2006年に完成した、建築史家・藤森照信氏の設計による、高さは地上約4メートル、室内は1.7坪の茶室です。どんな風に支えているのかとても不思議で、何度も周囲を回りました。
茶室を支える柱は清春芸術村にあった樹齢八十年の檜を使い、縄文建築団のメンバーや赤瀬川源平、南伸坊、林丈二氏らが力を合わせてつくり上げたそうです。
サポーター会員の方は入ることができますが、一般の入村者は、外観の見学のみ。残念ながら入室はできません。
⑤ルオー礼拝堂
20世紀最高の宗教画家であるジョルジュ・ルオーを記念して、谷口吉生氏の設計によって建てられた礼拝堂。
礼拝堂の中は360度ルオーの世界。
堂内の壁面にはルオーの銅版画「ミセレーレ」が掲げられ、宗教や信仰とは関係なく、この村を訪れる芸術家たちの瞑想の場にもなっているそうです。
⑥光の美術館
私が一番印象に残った建物。2011年、安藤忠雄氏の設計により創設された、人工光がなく、自然光のみの美術館です。
その日の天気や時間、太陽の動きによって、展示室に差し込む光の美しさが常に異なるのが特徴。安藤建築ならではのユニークな空間となっていました。
展示アーティストはアントニ・クラーベ。ピカソの後継者と謳われた逸材です。
安藤氏の建築には遊び心、仕掛けがいっぱい!五感を使って「気づき」を与えてくれる建築です。
ぜひ、建物内の空間もじっくりと楽しんでいただきたいです。
⑦清春白樺美術館
武者小路実篤や志賀直哉など白樺派の作家たちの夢を託された吉井長三が、1983年谷口吉生氏の設計によりついに完成させた “幻の美術館” 。
白樺派が愛したルオーの作品をはじめ、東山魁夷や梅原龍三郎、岸田劉生、バーナード・リーチ、中川一政、また白樺派関連の書簡や原稿、さらに雑誌『白樺』の創刊号から最終号まで、白樺派にまつわるあらゆるものを展示しています。
今回は「リトグラフによるゴッホ デッサン展」が開催中でした。その他にも見どころ満載です。
それでは、最後にレストランとミュージアムショップをご紹介します。
レストランやミュージアムショップも楽しめました!
清春芸術村にオープンしたレストラン“La Palette”。テラス席は芸術村を一望できる、絶景が楽しめるレストランです。
美しい水、新鮮な野菜、朝どりたまごなど、素晴らしい食材に恵まれた北杜市ならではの、からだに優しいお料理を楽しめます。
使われている器にもこだわりが。地元の陶芸家・川村嘉範氏が手掛けた特注の食器やカップを使用しているそうです。
ミュージアムショップにも立ち寄りました!
こちらは、敷地に生えている桜から抽出した「清春桜の香水」。大きいサイズのパッケージは、光の美術館をモチーフに作られています。私は持ち運びができるサイズを購入しました。
清春芸術村について
写真映えするスポットも沢山あります。お庭が見られるレストランやミュージアムショップもあるので、ぜひゆっくり楽しんでみてください。
住所:〒408-0036 山梨県北杜市長坂町中丸2072
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:年末年始・月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
公式HP:https://www.kiyoharu-art.com/
※入館料等、詳細は上記公式HPをご確認下さい。