劇場で見たい良質なアートムービー『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

皆さん、映画館には行きますか?

自宅から一歩も出ず、手軽に映画を楽しめるサブスク全盛期のいま、「わざわざ映画館に足を運ぶ」というのは特別な体験になりつつあるように思います。

サブスクの月額料金より高いお金を払って、「わざわざ劇場で映画を見る」のだから、映画選びで失敗したくないし、本当に良質な映画を厳選したいですよね。

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

そんなあなたに強くおすすめしたいのが、ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコです。12月1日(木)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開予定です。

本作の主人公は、猫の魅力を見出し、猫を描くことに生涯を捧げた画家、ルイス・ウェイン。実在した画家の悲劇的な運命を描きます。

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

主人公ルイス・ウェインを演じるのは、映画『ドクター・ストレンジ』やドラマ『SHERLOCK/シャーロック』に主演する人気俳優、ベネディクト・カンバーバッチ。(筆者は映画『イミテーション・ゲーム』が大好き)

ちょっと変わった言動が目立つ画家を演じる名俳優の怪演もさることながら、ひとりの人間の一筋縄ではいかない運命を描いた素晴らしい映画でした。ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか……観る人によって解釈が分かれそうな、奥深い作品です。

あらすじ

ルイス・ウェインは、19世紀末から20世紀にかけて、イギリスで人気を誇ったイラストレーター。もともと動物を描くのが得意で、仕事の速さからも重宝されていました。

上流階級に生まれたものの、父亡きあと母と5人の妹を養わなければならないルイス。家計はカツカツですが雇い入れた妹の家庭教師エミリーと、運命的な恋に落ちます。

周囲の反対を押し切り、ルイスは身分が異なるエミリーと結婚しましたが、エミリーは末期ガンを宣告されました。残された時間を過ごす間、庭に迷い込んだ仔猫を拾い、ピーターと名付けて可愛がります。

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

エミリーの死後、ルイスはピーターを始めとする猫を描いた絵で人気を博しました。名声を得る一方、版権を持たないルイスに莫大な金が転がり込むはずはなく、次々に難題が……。次第に精神不安定となり、奇行が目立つように。

「どんなに悲しくても描き続けて」

生前、エミリーが残した言葉の本当の意味を知るとき、画家は――

注目ポイント

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

ルイスが生きた時代、猫はネズミ退治のために飼う動物で、可愛がる対象ではなかったそうです。今とは異なり、家族の一員として愛情を注ぐことは「変わっている」行為でした。

しかしルイスとエミリーはピーターを可愛がり(劇中でも可愛らしい猫ちゃんでした!)、ルイスは猫の魅力に気づくんですね。猫を擬人化したようなユーモラスな絵で名声を得るのですが、猫の可愛らしさを世に知らしめた画家、と言ってもいいでしょう。

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

劇中でルイスの描く猫の絵は、彼の精神状態を映すように画風が変わっていきます。幸せなときも苦しいときも、猫とともに生きてきたからですね。画風の変化によって彼の心情を感じ取れる、美術系の映画ならではの味わいがありました。

【まとめ】劇場で見たい良質なアート映画

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

紆余曲折という言葉では表現しきれないくらい、ルイスの人生は社会や家庭に大きく翻弄されました。運命的な恋に落ちてからの人生は、悲劇的でありつつも、美しく肯定的な結末を迎えたと筆者は捉えています。

内容はもちろん、美術系の映画ならではの映像表現を楽しむことができました。ぜひ、劇場の大きなスクリーンで、最高の音響で鑑賞したい作品です。

作品情報

©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』
12月1日(木)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、アンドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ andオリヴィア・コールマン(ナレーション)
監督・脚本:ウィル・シャープ 原案・脚本:サイモン・スティーブンソン
©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
公式Twitter:@louis_wain_film
公式HP:louis-wain.jp

おすすめの記事