絶景の花畑!花の国オランダから、チューリップの歴史とオランダの花にまつわるあれこれをご紹介!

あたたかな陽気の日が続くようになりました。色とりどりの春の花々を目にすると気持ちもウキウキしてきます。春の花といえばチューリップ、チューリップと言えばオランダをイメージする方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、オランダのチューリップの歴史やオランダの春の花にまつわるあれこれをご紹介します。

オランダのチューリップの歴史

オランダの花といえばチューリップですが、意外にもこの花の原産国はオランダではなく中東西端の国トルコです。「チューリップ」という花の名前はトルコ語で頭に巻くターバンを意味する「Tulipan」が語源だそうで、オランダ語では「Tulpen(トゥルペン)」と言います。

オランダでは畑やか鉢植えや切り花といった人の手によって植えられた形でしか目にすることはありませんが、トルコでは野山で野生のチューリップを見ることができるそうです。

16世紀にオランダに伝わったチューリップはその美しさからヨーロッパで大人気となりました。オランダの気候がチューリップ栽培に適していたこともあり、チューリップ栽培はオランダの一大産業となりました。珍しい色や形の品種は高額で取引され、家一軒分の値段がつくほどの高値がついたそうです。

やがて球根は投機の対象となり、当時は大儲けする人も大損する人も続出したそうです。これは世界最初の「バブル経済」として知られ、「チューリップバブル」と呼ばれています。

現在ではさまざまな品種のチューリップが安価で手に入ります

満開のチューリップ畑はどこで見られるの?

オランダの絶景と言えばチューリップ畑と風車ですが、実はあの畑の景色は、案外見ることができないレアな光景だというのをご存じですか?

切り花用のチューリップは温室栽培のため、一般にほとんど目にすることはありません。春に畑に咲く満開のチューリップ畑は球根栽培用。球根を大きく育てるために畑で花を咲かせているのです。

チューリップの球根は、毎年秋に畑に植えられ春に花が咲くのを待ちます。3月上旬から5月にかけて一斉に花が咲きますが、花が長く咲いていると球根部分の栄養が花に取られてしまいます。そのため、球根を大きく成長させるために葉や茎は残したまま満開の花は全て切り落とされてしまいます。

そうして夏になり葉が枯れると球根を掘り出し貯蔵庫で保管し乾燥させます。秋になるとまた畑に植え、これを数回くらい繰り返して球根を大きく成長させるのです。

そのため畑で咲いているのはわずか数日。せっかくチューリップ畑を見に出かけても、かたいつぼみの状態だったり、花がすべて切り落とされ葉だけが青々とした畑に遭遇するのもしばしば。まして風車や水路などオランダらしい景色をバックに満開のチューリップ畑を見るのには運と根気が必要なのです。

風車と満開のチューリップ畑を一度に見られる場所と時期は案外少ない

北海沿岸沿いなどにはいくつもの球根栽培地帯があります。3月下旬から5月上旬にかけて、それらの地域へ行けば、広大な敷地に広がる一面のチューリップ畑を見ることができます。

さまざまな品種が植えられたチューリップ畑

「tulpen route(チューリップルート)」でネット検索すれば、オランダ国内のチューリップ畑を車で廻ったりサイクリング、トレッキングするための地図を提供しているサイトを探すことができます。チューリップルート検索や観光ガイドを見ることのできる無料アプリを提供していることも。開花時期や見ごろの場所を教えてくれたりするのは、日本の桜の開花情報と似ています。

ノールドオーストポルダー地区のチューリップルートマップ

チューリップだけではない、春限定のお花畑あれこれ

オランダの花栽培はチューリップだけにとどまりません。オランダで見つけた春のお花畑をご紹介します。

まずは、日本でも球根の水栽培が人気のヒヤシンス。こちらもチューリップと同じ時期に球根栽培用の畑で花を咲かせます。ヒヤシンスは花の香りが強いので、これだけたくさんの花が満開になると遠くからでもいい香りが楽しめます。

風力発電用の風車越しに見る花畑も、現在のオランダならではの景色
チューリップより少し早めの3月初旬からが見頃です

こちらはスイセンの畑。日本のスイセンは12月頃から咲く早咲きが多いですが、ヨーロッパでは2月〜4月にかけて咲く春の花。自生しているものも多く街のあちこちでも見かけます。

日本では白いスイセンをよく見かけますが、こちらでは黄色のスイセンも多いです。

オランダ語でスイセンはナルシス(Narcis)といいます。
一般道路の中央分離帯に咲く黄色のスイセン。

もうひとつ、忘れてはならないのはクロッカス。日本ではオランダ=チューリップですが、チューリップはどちらかというと球根栽培や観光用の花。春の訪れを知らせる最も身近な花はなんといってもクロッカスです。

オランダの学校は2月に1週間ほどの短い春休みがありますが、ちょうどクロッカスが咲き始める時期にあたるので「クロッカス休暇」という名前がついているほど。道端でクロッカスが咲き始めるともうすぐ春休み、気持ちが浮きたちます。

2月になるとあちこちで群生するクロッカスが見られます。

オランダでも大人気の日本の桜「ソメイヨシノ」

日本の桜がオランダでも綺麗に咲いているのをご存じでしょうか?

日本人が数多く住んでいるアムステルフェーンという街には、日本のソメイヨシノが400本も植えられている「桜公園(Kersenbloesempark)」という場所があります。

2000年に日蘭友好400年の記念として日本から桜が寄贈され、現在は桜公園として親しまれています。

オランダでも「日本の花」として人気のソメイヨシノ

この公園にはもうひとつ、桜の他に日本のみなさんにご紹介したいものがあります。

2011年3月11日の東日本大震災のあと、被害にあわれた方々を追悼するため、この公園内の桜の木の下に慰霊碑(Tsunami Monument)が建立されました。

震災発生の直後からオランダからは多額の募金や様々な支援が被災地へ届けられました。オランダのチューリップ生産業者さんからはチューリップの球根2万5千株が贈られたそうです。

オランダ語と日本語で「2011年3月11日 東日本大震災により犠牲になられた方々を悼んで」と刻まれています。

震災発生当時、オランダ在住の日本人のみなさんは、日本にいる家族や知人となかなか連絡が取れず不安な日々を過ごしたと聞きます。すぐに現地へ駆けつけることもできず、歯がゆい思いをした方も多かったそうです。この公園のソメイヨシノの花はオランダで暮らす日本人の皆さんが遠く離れた故郷日本を思う癒しの場所としても愛されています。

おわりに

オランダの家庭では、庭やベランダはもちろん、鉢植えや水栽培でもたくさんの花を自宅に飾っています。日本人が桜の開花を楽しむように、オランダではチューリップをはじめスイセンやクロッカスなどで春の到来を感じるのです。

この時期のオランダは、花の国にふさわしく春の花であふれています。

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