バングラデシュという国がどこにあって、どんな人々が住んでいて、何を食べているかというのをご存じですか?
私はこの2年ほど、月に一度のペースでバングラデシュの方からバングラデシュ料理を習っています。習い始めたきっかけは、スパイス料理が好きなことと、異文化を知るのが面白そうだったからです。彼女を通じてバングラデシュの宗教や生活、食べ物のことなどを知りました。
今回は、その2年の間に習った中で、超簡単なのに本格的な味覚が楽しめるスパイスカレー「超簡単絶品卵カレー」と、日本人の知らないバングラデシュの食文化を紹介します。
簡単に作れるスパイスカレーを知りたい方、必見です。
まずは、バングラデシュについての基礎知識を2分でおさらい!
日本では「バングラデシュのことを知らない」という人の方が多いでしょう。ですので、超簡単絶品卵カレーの作り方の前に、バングラデシュという国がどのような国なのかみてみましょう。
基礎知識1:バングラデシュはどこにある?国旗は?
バングラデシュの正式名称はバングラデシュ人民共和国です。場所はインドの右上で北も東も西もインドに囲まれています。南はベンガル湾、南東部はミャンマーと国境を接しています。
国旗は日本の「日の丸」の白地部分を緑にして、赤い丸を少し左寄りにしたような国旗です。赤い丸は太陽を、緑は豊かな大地、そしてイスラムの教えをあらわしているそうです。
基礎知識2:バングラデシュではどんな言葉を話している?宗教は?
公用語はベンガル語です。バングラデシュという言葉はベンガル語で「ベンガル人の国」という意味。人口の9割近くがイスラム教を信仰しています。
イスラム教では、口にしてはいけないものがあります。代表的なのが豚肉とアルコールです。豚肉やアルコールそのもの以外でも、ラードを使った食品やアルコールの入った醤油など、豚肉やアルコールが混ざっているものも禁止です。
鶏、牛、羊などは食べてもいいのですが、イスラム教の教えに定められたように屠畜・加工されたものでないと、食べてはいけません。つまり、日本のスーパーで普通に売っているお肉は食べられないのです。
基礎知識3:ハラルフードとはムスリムが食べてもいい食品のこと
では、普通に鶏や牛を使った料理が氾濫している日本に住むイスラム教の人たち(ムスリム)はどうやって鶏や牛などのお肉を避けて食生活を送っているのでしょうか。
実は日本でも、ムスリムが食べても大丈夫な食べ物「ハラルフード」が流通しているんです。彼らは、ハラルフードを売っている専門店を探してそこで買ったり、インターネットでハラルフードを注文したりします。
それではお待たせしました。卵カレーの作り方を紹介しましょう!
超簡単絶品卵カレーの作り方
材料(6人分)
●玉ねぎ(みじん切り)・・・1個
●にんにく(ペースト)・・・小さじ1
●しょうが(ペースト)・・・小さじ1
●青唐辛子(みじん切り)・・・1本 *なくても可★クミンパウダー・・・小さじ1/2
★コリアンダーパウダー・・・小さじ1/2
★ガラムマサラ・・・小さじ1/2 *ない場合はカレー粉小さじ1
★ターメリック・・・小さじ1/2 *なくても可
★塩・・・小さじ1サラダ油・・・大さじ4
カットトマト缶・・・1缶(400g前後)
水・・・1カップ
卵・・・6個パクチー(みじん切り)・・・1本 *なくても可
それでは、作り方を解説していきます。
1.フライパンに油を熱し、●を入れ、玉ねぎがあめ色になるまで炒める。
その間に別の鍋で卵をゆでる。固ゆで卵にする。
2.玉ねぎがあめ色になったら★を加えて軽く炒め、カットトマト缶を入れる。
3.中火でトマトの水分がなくなるまで煮詰める。
4.煮詰めた後、水を入れ2~3分煮て、ゆで卵を入れる。
5.ふたをして中火で10分煮る。
6.パクチーを混ぜる。
出来上がりです。実際に作ってみても、こんなに簡単なの?とびっくりすると思います。
バングラデシュの食文化を紹介!インド料理との微妙な違いとは?
いい機会なので、いつもバングラデシュ料理を教えてくれているルマさんに、バングラデシュの食文化についていろいろ聞いてみました。
ルマさんは最初、夫の留学について日本に来たそうです。その後ルマさんご自身も、日本の大学院で勉強しました。夫が日本で就職したので、そのまま日本で暮らし、今では日本で生活して19年目になります。
バングラデシュ料理とインド料理はどのような違いがあるの?
私たち日本人は、バングラデシュ料理と聞いても「何があるのかな?」と、まずこれといって思い浮かぶものはないと思います。しかし、インド料理といえば、カレーだとかスパイスのたくさん入った料理だとか、ある程度イメージできるのではないでしょうか。
実は、バングラデシュ料理でも、インド料理同様さまざまなスパイスを使います。
ルマさんにインド料理とバングラデシュ料理の違いを聞いてみると、
「インド料理はクミンシードやマスタードシードを油をひいたフライパンに最初に入れるけれど、バングラデシュは玉ねぎやにんにくを炒めてからパウダーのスパイスを入れることが多いです」
ということでした。
また、インド料理は玉ねぎは少な目のようです。しかしバングラデシュ料理では、何かを炒めるときに玉ねぎが毎回といっていいほど登場します。
その他には「インドだとご飯よりナンなどを食べるけれど、バングラデシュでは1日3食のうちの昼ご飯か夜ご飯には必ずご飯を食べます」ということでした。
バングラデシュの代表的な朝ご飯
主食は食パンかチャパティ、ご飯のどれか。チャパティは、昔は家で作っていたけれど今は冷凍のチャパティを買う人も多いそうです。
おかずはバジという野菜を玉ねぎとニンニクと唐辛子で炒めたもの、目玉焼きやオムレツなどです。チャパティの生地を何層にも折りかさね、薄くのばして焼いたパラタを食べる人もいます。
バングラデシュの代表的な昼ご飯
ご飯と豆スープ、葉もの野菜を玉ねぎとニンニクと唐辛子で炒めたもの、魚か肉、トルカリ(カレーなどの汁もの)、ボッタ(ジャガイモやナスなどをマッシュして作ったもの)
バングラデシュの代表的な夕ご飯
ご飯かパン、パラタ。豆スープ、肉、卵、野菜など。お昼の残りなども夜に食べるそうです。
お米と牛乳と砂糖のデザート?
「ほかにバングラデシュ料理で、日本に紹介したいメニューはありますか?」と尋ねると
「パエシュはどうですか?お米を牛乳と砂糖とスパイスで煮込んだデザートです」と紹介してくれました。「日本人はお米を牛乳で煮込まないでしょう?」と。
日本ではお米を牛乳では煮込みませんね。イメージとしてはドリアを甘くしてスパイスと煮込んだ感じなのかなと思います。
ターメリック、コリアンダー、クミンがあればバングラデシュ料理が作れる!
バングラデシュ料理によく使われる味付けの材料としてはニンニク、ショウガ、玉ねぎ、唐辛子、ターメリック、コリアンダー、クミンです。
私は2年間バングラデシュ料理を習っているのですが、この組み合わせは必ずといっていいほど毎回出てきます。バングラデシュ料理を習うとき、毎回出てくるスパイスがターメリック、コリアンダー、クミンで、「こればっかりだな」と思ったことがありました。
しかし、我が身を振り返ると和食の味付けは、「出汁、醤油、みりん」こればっかりですよね。こればっかりなのに、さまざまな味が出せます。
ターメリック、コリアンダー、クミンを使うと、日本人が「これはカレー味だ」と感じる味になります。
日本人からすると、「バングラデシュの人は毎日カレーを食べているの?」と思うかもしれませんが、彼らからするとカレーではなくスパイス料理という感覚でしょう。さまざまな食材や、スパイスの組み合わせでたくさんの味を作ることができます。
スパイスカレーは作ってみると意外に簡単!ぜひ自宅でチャレンジしてみてください!
今回ご紹介した 「超簡単絶品卵カレー」は玉ねぎをあめ色にする時と、トマトの水分を飛ばす時に少し時間はかかりますが、煮込まなくてよいので短時間で作れます。また材料も卵と玉ねぎとトマト、それと3種のスパイスがあれば作れますので、はじめてチャレンジされる方にとってもハードルは低いのではないでしょうか。
私はスパイスカレーの作り方を習ってから、市販のルーを使ったカレーを作ったことがありません。スパイスカレーの方が簡単で美味しいからです。
ぜひ一度、今回ご紹介したバングラデシュ人直伝の「超簡単絶品卵カレー」を実際に作ってみて、「こんなに簡単だったんだ!」と実感してみてください。