楽活をご覧のみなさま、こんにちは!
私は現在、日本から9,000km離れたドイツから100%リモートワークでライター業を中心としたフリーランスとして働いています。
ドイツに移住してからはフリーランスの利点を活かし、仕事のかたわら博物館や工場、美術館見学などに参加しながら『楽活』へ寄稿させていただいております。
2024年2月上旬、世界各国のキリスト教の国々で「カーニバル」が開催されましたよね。ニュースやSNSで見たという方も一定数いるのではないでしょうか。
「カーニバル」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはブラジル・リオのサンバや仮装した人たちによる華やかなパレードかもしれません。しかしドイツにも独自のカーニバルがあるんです!
そこでこの記事では、カッセルのカーニバルを訪れた筆者の体験を現地レポート形式でお届けします。この記事を通してドイツのカーニバルが持つ独特の文化と伝統について、一緒に見ていきましょう!
カーニバルって何?
「カーニバル」とは特にカトリックの習慣に基づき、四旬節前の3〜8日間にわたって開催される華やかな祝祭です。
この時期になると、かつての人々は肉食を控える準備として、仮装パレードやさまざまなお祭り騒ぎに身を投じます。
昨今では宗教的な意味合いを超えた「西洋風の盛大なお祭り」としても楽しまれており、美しい仮装行列や美女のパレードが街を彩ります。
このようにカーニバルには2つの意味合いがあり、春の訪れと共に新たな始まりを祝う、世界中で愛される伝統的な祝祭となっているのです。
ドイツのカーニバルについて
ドイツの「カーニバル」または「謝肉祭」は、前述の通り春の訪れを祝い、肉や乳製品などを食べ尽くす伝統的な祝祭です。
ドイツでは「カーニバル(Karneval)」または「ファッシング(Fasching)」、「ファスナハト(Fastnacht)」と呼ばれており、カトリック教会が定める復活祭(イースター)前の断食期間の直前に開催されます。
四旬節の基本的な考え方は、復活祭にイエス・キリストの苦しみを思い出す前に、反省し清め、悔い改めることです。
その後、復活祭前の断食期間(Fastenzeit)に先立ち、肉や乳製品などを思い切り楽しむ「食べ納めの祭り」として、伝統が再定義されたそうです。(なお、日曜日は断食期間に含まれないのだとか)
「肉よ、さらば!」を意味するラテン語「carne vale」から名付けられた「カーニバル」。
この期間は「第5の季節」とも呼ばれ、11月11日から灰の水曜日(2024年は2月14日)まで続きます。
11月11日から始まり、灰の水曜日に終わる「第5の季節」は、特に「汚れた木曜日(2024年は2月8日)」から始まる週には最高潮を迎えます!
バラの月曜日(Rosenmontag、2024年は2月12日)前後には、大規模なパレードが行われ、参加者は愉快な仮装や伝統的な民族衣装などに身を包み、街を彩る様子を見ることが可能です。
街によって盛り上がり具合は異なるものの、全世代が羽目を外したり、盛り上がったりしながらお祭り騒ぎに興じます。
カッセルにおけるカーニバルの歴史
カッセルを含む北ヘッセン地方の頑固な性格と称される住民たちも、カーニバルの魅力には抗えないようです。
カッセルでカーニバルを祝う伝統は、今から600年以上前、1431年にまで遡るといわれています!
当時カッセルのカーニバル期間は「Brotreichentag」と呼ばれ、地域に深く根ざした祝祭であったことが示されています。
また200年以上前、ナポレオンの弟であり「メリー王」と称されたジェロームがカッセルを統治していた時代には、ヴィルヘルムスヘーエ宮殿で壮大な仮面舞踏会が開催されたのだとか。
カッセルではフランスの影響を受け、人々に「最も美しいカーニバル」を楽しむ文化が根付いたそうです。
こうした歴史を通じて、カッセルでは独自のカーニバル文化が育まれ、今日に至るまで多くの人々に愛され続けています。
【写真あり】ドイツ・カッセルでもカーニバルはやっている!現地にいってみた
カッセルのカーニバルは、ただの「羽目を外したお祭り」「無礼講」というわけではないようです。
カッセルでは毎年「市庁舎の嵐(Rathausstrum)」と呼ばれる独特のカーニバルが「バラの月曜日」前の土曜日に展開されています。
この日になると「カーニバルのプリンス・プリンセス」率いる各協会団体参加者が、市庁舎を「襲撃」するというテーマでパレードを繰り広げます。
パレード当日の12時30分、カッセルの新市長スヴェン・シェラー氏は市庁舎前で、鍵を求める仮装した群衆の到着を待ちます。
参加者も見学する人たちも一体となって楽しむ、カッセルならではのカーニバルを当日の写真とともに覗いてみましょう!
ハチのコスチュームを着た人たち?
カッセルでもカーニバルがあることを知った筆者は、市庁舎前のパレード終着点に立ち寄ってみましたが、一風変わった光景にまずは驚きました。
というのも、ハチのコスチュームを身に纏った集団が市庁舎の前に現れたのです!
彼らは、なんと市庁舎を守る役目を果たす「市警」役のこと(本当の警備員、警察の方ではないようです)
これからいったい何が行われるのだろうと、ワクワクしました!
カーニバルのプリンス・プリンセスの登場!
カッセルのカーニバルでは「カーニバルのプリンスとプリンセス」が登場します。
彼らはカーニバル関連協会に所属するカーニバルの熱狂的ファン(カーニバリスト)から選ばれているようで、カーニバルの魅力と伝統を広める大使として活動しているのだとか。
2024年のカーニバルパレードで登場した「カーニバルのプリンス・プリンセス」ポジションは「カッセル・カーニバル協会連合(Gemeinschaft Kasseler Karnevalgesellschaften、GKK)」に所属するカーニバリストの夫妻が務めており、カッセルのカーニバルパレードだけでなく、ヘッセン州内のさまざまなイベントに代表として参加しているそうです。
鼓笛隊やパレードがずらり!
「カーニバルのプリンス・プリンセス」を筆頭に、約45台の山車と500人の参加者が、市庁舎に向かって華麗に行進をスタートし、何千人もの観客から歓声とともに迎えられました。
老若男女問わず、参加者たちは協会のコスチュームや個性的な仮装を身にまとい、それぞれがユニークな色彩をパレードに加えていました。
壮大な鼓笛隊やパレードの列はカーニバルの多様性と共同体の結束を表しているだけでなく、まるで観客にエネルギーを送っているようでした。
盛り上がりすぎて現場のマイクが壊れる(笑)
パレードが市庁舎前にどんどん集まってくると、カッセルのカーニバルでの盛り上がりは、想像を超えた瞬間を生み出しました。
市庁舎前ではバズーカー砲(もちろん、おもちゃです笑)の音が響き渡り、市長がこれまでの伝統に従いハチ達に市民の防衛を呼びかけたものの、結局は市警の働きバチたちも大勢のカーニバリストたちの前では力を発揮できず。最終的には笑いとユーモアの前に降伏するという、まるで寸劇のような展開でした!
この熱狂の中、市庁舎に設置していたマイク(もしくはスピーカー)が音声トラブルにより不調をきたしたようで、聞く者が耳を塞ぎたくなるほどの音質トラブルに発展(笑)
さすがにビックリしましたが、カーニバルの熱狂にかき消され、会場はもはや「音響設備の不調なんてどうでもいい!とにかく今日は騒ごう!」というノリとテンションになっていました(笑)
最後は市庁舎内でお祭り騒ぎ
カーニバルのクライマックスでは、市庁舎内のお祭り騒ぎでした!
新市長スヴェン・シェラーも、歴代市長たちと同じ運命を辿り、市庁舎の鍵と共に市に対する権力を手放し市庁舎の侵入を許してしまった、という展開に。
市庁舎の中は解放され、カーニバリスト達をはじめ一般市民たちも市庁舎内でお祭り騒ぎ!まさに無礼講のようでした。
屋台もあるよ!
ちなみにカッセルのカーニバルでは、市庁舎周辺やパレードのスタート地点に屋台がありました。
小腹がすいたら、これらの屋台でおいしい食べ物を手に入れてもよいでしょう。
またカーニバル期間でもお店は通常営業していたので、お店でのんびりと食事を楽しむのもありです。
カッセルのカーニバルを体験した筆者の感想
カッセルのカーニバルは、派手な仮装や無礼講のお祭りというだけでなく、地域の絆を強くしている印象でした。
カッセルのカーニバルは、カーニバルの盛んなラインラント地方をモデルにしているそうで「カッセル・カーニバル協会連合(Gemeinschaft Kasseler Karnevalgesellschaften)」がこの「第5の季節」を熱狂的に、かつ成功するように主導しているようです。
特に市庁舎襲撃のパレードでは、カッセルのカーニバル団体だけでなく、カッセルのスポーツ関連協会イベント協会、地元企業、周辺にあるさまざまな地区の協会からも参加があったのは印象的でした。
カーニバルを通じた地域コミュニティ感が、一層高まるようでした。
特にドイツでは、地域の繋がりや人々の日本よりも強い印象を感じていましたが、お祭りにおいてもその一面を垣間見れたのは、貴重な機会だと感じています。
ドイツのカーニバルに行ってみよう!楽しむためのヒント
ドイツのカーニバルは1年で一度しか体験できない特別な機会といってもいいでしょう。そのため、参加するカーニバリストたちはこの期間を心から楽しむだけでなく、情熱をもって祝っています。
もし、あなたもカーニバルの熱気を一緒に味わいたいということであれば、ぜひ本章を参考にしてみてください!
カーニバルの開催日をチェックしよう
カーニバルの開催は、復活祭(イースター)の前2月ごろといわれていますが、固定の祝日が決まっているわけではありません。
カーニバルを狙ってドイツに行くのであれば、事前にGoogleカレンダーやインターネット等を活用してその年の「バラの月曜日(Rosenmontag)」がいつなのかを早めにチェックしましょう。
多くの都市では、「バラの月曜日(Rosenmontag)」前後に盛大なカーニバルのイベントが催されているようですので、ホテルの手配等お早めに!
カーニバルをやっている都市に行ってみよう
ドイツのカーニバルを本格的に体験したければ、祝祭が盛んな都市へ足を運んでみましょう。
ドイツのカーニバル代表地域はケルンとデュッセルドルフで、ラインラント地方やカトリックの影響が色濃い地域で盛大に開催されていることが多いようです。
ケルンでは「アラァーフ」、デュッセルドルフでは「へラゥ」と叫びながら、祭りが最高潮の「バラの月曜日(Rosenmontag)」に向けて、人々が熱狂的な日々を過ごします。
デュッセルドルフはヨーロッパ最大の日本人街もありますので、カーニバルと併せて観光してみても良いですね!
もちろんカッセルのような中小地域でも独特のカーニバルが展開されていますので、ドイツ各地のカーニバルを体験してもいいですね!
コスチュームを着用してみよう
もし本格的にドイツのカーニバルを楽しみたい方はコスチュームを身にまとって参加してみましょう!
カーニバル期間中は老若男女問わず、伝統的な民族衣装や仮面などを身につけ、数キロにわたるパレードを行っています。
沿道で見る人たちの中にも、ユニークなコスチュームを着た人たちがチラホラいましたので、より一層、一体感を楽しめるでしょう。
もし「ガッツリ仮装はちょっと…」と感じる場合は、ディズニーランドで見かけるような耳や帽子だけでも十分です!
お菓子を拾ってみよう
カーニバル期間中、パレードの参加者がお菓子を投げることがありますので、ぜひお菓子を集めてみてください(笑)
子どもたちと一緒にお菓子を拾うことで、カーニバルの一端を一緒に体験できますよ!
この時期だけは大人も子どもも関係ありません!路上で全く知らない人との無礼講を楽しむのもカーニバル期間だからこそできる一興です。
最後に
この記事では、ドイツのカーニバルについて実際の訪問レポートも交えながらカッセルからお届けしました!
ドイツのカーニバルには実は深い歴史があるだけでなく、カラフルなパレードやさまざまなコスチュームが楽しめる点が特徴です。
実は筆者、ドイツのカーニバルを初めて訪れました。
大学時代の授業等では、ドイツのカーニバルはケルンをはじめとするラインラント地方やノルトライン・ヴェストファーレン州について座学で学んでいたので、限定的な地域のお祭りだと思っていたのですが、まさかカッセルでもカーニバルが開催されているとは思いもしませんでした。
同じドイツ国内でも、地域を超えれば独自のカーニバルが楽しめますよ!
もしドイツのカーニバルに行く際は、ぜひコスチュームを身にまとい、お菓子を拾ったり参加者との交流を楽しんでみるのもいいですね!
この記事をきっかけにドイツのカーニバルに興味を持たれた方は、ぜひ2025年以降のカーニバルに参加してみてくださいね。