【顔面学講座㉟】 メガネは顔の一部。サングラスは? 顔の装飾品について考えてみた

昭和世代の方なら、「メガネは顔の一部です。だから、○○メガネ♪」というテレビCMを覚えている人も多いでしょう。大橋巨泉さんや大村崑さんなどは「メガネのある顔がその人の顔」でした。

メガネをかけた人物で日本の紙幣に肖像が使用されたのは、五十円札の高橋是清(日本銀行総裁)、1984年から2007年まで五千円札の肖像画となっていた新渡戸稲造(教育者)、そして今年、2024年7月3日に発行された千円札の北里柴三郎(近代日本の医学の父)の3人だけです。

意外に少ないですが、ご本人が生きていた当時、メガネをかけた人は今よりも少なかったのでしょう。

メガネの普及とともに顔の一部に

そもそもメガネは目が悪い人(視力が弱い人)が視力矯正するためにつけるもので、昔は非常に高価でした。

小学校ではメガネをかけていて、中学や高校に進学するタイミングでコンタクトにする女性も多い。

平成以降は、テレビの見すぎ、勉強のしすぎなどで子どもの頃からメガネをかける人が徐々に増えました。私自身が日常的にメガネをかけるようになった2000年以降は、4〜5人で打ち合わせをしたり会食していると全員メガネということもよくありました。

私が1999年から使用しているラウンド型のメガネ。実は「楽活」以外の公式で使用している写真のメガネはこれとは違い、フレームが上側だけで下が縁無しのブロータイプでレンズも小さく角度も上がり気味。

さらに、2005年のメガネ男子ブーム以降、ファッションとして伊達メガネをかけたり、価格も下がったことで数種類のメガネをTPOに合わせてコーディネートしたりする人が定着しました。フレームのデザイン、素材、色、いろんなタイプのメガネが販売されていて、それを使い分ける人も多いのですが、「自分の顔にはこのメガネ」と同じメガネを使い続ける人もいます。

キャラが売りのお笑い芸人、イラストレーターやデザイナーなどアート関連職の人は個性的なメガネの人が多い。

落語家の笑福亭鶴瓶さんのメタル素材のラウンド型。海外だと故人ですが、ジョン・レノンのフレームありの丸メガネ、スティーブ・ジョブズのフレームなしの丸メガネは「完全にその人の顔の一部」になっています。

このように現代では、大多数の人が「メガネは顔の一部」という認識になっていると言えるでしょう。

メガネはそのデザインによって賢く見えたり、キツく見えたり印象が変わる。

サングラスをかけた顔は「顔」か?

それではサングラスはどうでしょうか?

メガネはレンズの部分が透明で、目の形と目の動きがわかりますが、サングラスだとそれがわかりません。

【顔面学講座⑥】赤ちゃんは顔が好き〜なぜ人間は顔を見ようとするのか? でお伝えしましたが、赤ちゃんが興味を持つのは、顔らしい配置のものです。目、鼻、口の配置が重要ですが、鼻はなくても顔に見えます。「目を表す左右に並んだ2つの点があり、その下に1つの点がある」ものに注目することが知られています。

私たち大人も、丸の中に点が3つあるだけで顔のように見えることがよくあります。車のフロントなど顔に見える物に注目します。

と書いたように、人間は「目を表す左右に並んだ2つの点があり、その下に1つの点がある」ものを顔のように見ます。

「サングラスをかけた顔」は、人間の顔のフレームに「大きな黒い丸や四角が左右に並んだ2つの点があり、その下に口がある(間には鼻もある)」ので「顔」と認識され、「サングラスも顔の一部」と言えます。

個人的にサングラスをカチューシャにしている「グラサンカチューシャ」が似合う女性が好き。

サングラスをかけた顔は本人証明にならない

しかし、運転免許証やパスポート用の証明写真では、サングラスは着用できません(眼鏡も色付きのレンズは不可)。

サングラスをかけた顔写真は目の形がわからないので証明写真ではNG。

※運転免許証は2021年9月以降、日常的に使用している場合は、視力矯正目的でない伊達メガネやカツラの着用も認められています。

※パスポートは健康上の理由でサングラスや色付きのメガネが日常生活に必要と医師から判断されている場合は特例的に認められるケースもあるが、医師の診断書が必要。

マスクもサングラスも「社会人としての顔」ではない

そもそもサングラスは、眩しさや紫外線などを低減するためのものです。

虹彩にメラニン色素が少なくブルーなど明るい色の瞳をした白人は、黒い瞳をした人よりも光量が多く入ってきます。そのため、夏の日差しが強い日はサングラスが欠かせません。

大きな麦わら帽子、サングラス、日焼け止めクリームは、夏のUV対策の定番。

そのため、欧米人にとってサングラスをした顔(目を隠した顔)は、日本人よりも見慣れていて違和感がありません。

逆に日本人よりも口元の表情から相手の心理を判断する彼らにとって、冬になると病気でもないのに多くの人が日常的にマスクをする日本人は異様に見えます(コロナの前から)。

今は「日本人はマスクが正装」とまで揶揄されるようになりましたが、顔を隠すためにマスクをすることは非常に問題です。

関連記事:【顔面学講座⑭】マスクを外せない日本人。リアル匿顔の時代は来るのか?人間ならばマスクを外せ!

同じように「顔を隠すためのサングラス」も、一般の社会人がするのはおかしく「サングラスをつけた顔」は「社会人としての顔」ではありません。

髪型や衣類、そしてメイクなど、TPOに合ったファッションが大切。

今ではファッションアイテムの1つとなりましたが、昼夜関係なく室内でもサングラスをしていると、目の動きが全くわからないのでミステリアスなイメージになります。また、不気味、怖いといったイメージにもなります。

真夜中にフードを被ってサングラスをしていると泥棒に間違われます。

一般企業で商談時にサングラスをかける人はいないでしょう。

このように「サングラスをかけた顔は社会的には不適切」ですが、「個人」として考えると、今ではiPhoneの 「Face ID」で、マスク着用時の設定もできますし、サングラスも普段使うものを登録しておけばロック解除できるようになっています(マスク + サングラスはNG)。

芸能人にとってはサングラスも顔の一部

芸能人では男性の歌手に多く、EXILEのATSUSHIさん、鈴木雅之さんなどは、「サングラスが顔の一部」になっています。

そして、「サングラスが顔の一部」になっている芸能人といえばなんと言ってもタモリさん。

左のタモリさんを知ってる人も少なくなってきました。※似顔絵研究家・橋本憲一郎さん提供

子どもの頃に片目を失明してしまったタモリさんは義眼の上からメガネをかけていたそうですが、芸能界にデビューした当時はアイパッチがトレードマークでした。

その後、サングラスがトレードマークになり、サングラスをかけた芸能人といえばタモリさんになり、サングラスの顔がタモリさんの顔になりました。

まとめと結論

「サングラスも顔の一部」

だけど、基本的には本人証明の顔には使用できない。

日常的に「サングラスをつけた顔」は「社会人としての顔」ではない(芸能人を除いて)。

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