さて、クイズです!この写真はどこの国で撮った写真だと思いますか?!
正解はイタリア・・・
・・・。
・・・。
ではなく、箱根・仙石原にある箱根ガラスの森美術館です。敷地内は水に囲まれ、イタリアの海上都市・ヴェネチアの宮殿に入り込んだかのようです。
敷地内には年代別に「ヴェネチアン・グラス美術館」「現代ガラス美術館」と二つの美術館があります。それぞれの館内では、素敵なヴェネチアン・グラスの作品がたっぷり味わえました。
ヴェネチアン・グラス美術館から鑑賞スタート。数百年前の貴重なガラス工芸作品が満載!
ヴェネチアン・グラスは、古代ローマ時代に発明された吹きガラス技法の流れを汲む、非常に美しいガラスのうつわです。ルネサンス期の15世紀後半には史上初めて無色透明ガラスの製造に成功するなど、ヨーロッパのガラス工芸において長年不動の地位を築き上げました。
15世紀後半といえば、日本では室町時代後期。応仁の乱が勃発するなど、戦国時代の足音が聞こえてきたくらいの頃でしょうか。残念ながら日本では、この時代まだ美術鑑賞に耐えうるような美しいガラスはもちろん、磁器の製造ですら始まっていません。それを考えると、同時期に職人たちが世界中から憧れられるような美しい工芸品を作っていたイタリアの技術力は凄かったのだなと改めて思いました。
こちらが、展示のハイライトの一つでもある「点彩花文蓋付ゴブレット」です。個人的には、美術館で一際美しく、存在感を感じた作品でした。長くイタリア貴族の館に伝世されたあと、ドイツの銀行家・ロスチャイルド家が所蔵していた名品です。
特に、ヨーロッパ貴族から憧れの的となり、世界中が魅了されたヴェネチアが誇るガラス工芸の技術が「レース・グラス」です。
展示では、イラストを使った解説パネル等でレース模様を制作する工程を詳しく学ぶことができました。
こちらは、ムラーノ島で長年守り伝えられてきたレース・グラス技法で編み出されたレース文様のガラス作品。無色透明なガラスの中に、なんとかしてこのレース文様を封じ込められないものかと、ムラーノ島のガラス職人たちが技巧の限り尽くして完成させた門外不出の秘法です。
美しく、見るものをうっとりさせる作品。模様の隅々までじっくり観察したくなります。
ヴェネチアン・グラスは無色透明や白をベースとした作品だけではありません。館内では、色彩豊かな綺麗な色の展示作品にも多数出会えました。
館内では、展示だけでなく細かいところまで演出が効いた館内装飾にも注目してみましょう。特に、頭上のシャンデリアは非常にゴージャスで、ヨーロッパの宮殿に来たかのような気分になれました。日本にいることを一瞬忘れてしまいます。
ぜひ展示だけでなく、館内まるごとヴェネチアン・グラスの美しい世界をぜひ体験してみてください。
現代ガラス作家の作品も個性派揃いでした!
続いては、お隣の「現代ガラス美術館」へと移動します。ここでの展示では、イタリアを中心とした著名な現代ガラス作家の作品を鑑賞することができます。
紙のように薄くて大きな器の部分、糸のように細い繊細な脚、そしてそれを支える薄い円盤のような台の、今にも壊れてしまいそうなはかなさと、そよ風にさえ揺れ動く繊細な作りのグラス。
館内では、実際にそよ風に揺れ動いているところを収めた映像も見ることができます。
その他、ヴェネツィアの現代作家の巨匠・リヴィオ・セグーゾ、デイル・チフーリの作品など、個性派揃いです。
カフェやミュージアムショップも充実。お見逃し無く
美術館内では、お庭が見ながら食事や軽食が楽しめるカフェ・レストランもオススメです。
カフェでは、1日6回(1回約15分間)、ナポリ出身のピアニストによるピアノの生演奏を楽しみながら食事を味わうこともできます。
私のオススメメニューは、シフォンケーキ。
ふんわりした食感がたまらなく美味しかったです。
続いて覗いてみたのが、ミュージアムショップ。
特に、秋口から年末にかけてはクリスマスシーズンにピッタリな商品が充実。イタリア直輸入の珍しいアイテムが目を引きました。自宅へと帰っても、グッズを見るたびに美術館での鑑賞体験をを思い出せるような商品が多数揃っていました。
また、「ガラスの体験工房」では季節感が感じられるガラス作品を自分で作り、お土産として持って帰ることができます。全てキット化され、簡単な手順で作れるようになっているので初心者でも心配なく楽しめます。
また、「サンドブラスト体験工房」では、ガラスに自分の好きな模様を選んで彫り込むことができます。世界に一つだけしかない、マイグラスを作っちゃいましょう!
こちらは、事前受付優先。出来上がりまでに時間がかかる場合もあるので、興味がある方は、展示を見る前にまず予約だけ先に済ませておくのが良さそうです。
ガラスと色とりどりの草花に親しめる庭園の散策も楽しい!
最後にぜひチェックしてみたいのが、敷地内の色鮮やかなお庭です。庭園の中には多数のガラス作品が飾られているので、フォトスポットとしてもオススメ。インスタ映えする場所もたくさんみつかりますよ!
特に、秋頃に見ておきたいのが、箱根の秋の風物詩「箱根・仙石原のススキ」とクリスタルで作られたススキが一緒に楽しめるお庭。凄く綺麗でした。
ちなみに、箱根ガラスの森美術館からバスで10分くらい行ったところに、箱根・仙石原の名物として知られるススキの大草原が広がっています。毎年9月中旬から11月中旬まで楽しめるので、ぜひこちらも合わせて行ってみてください。
美術館基本情報
箱根ガラスの森美術館
場所:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
開館時間:午前10時〜午後5時30分(入館は5時迄)
入館料:大人1,500円 大高生1,100円 小中生600円
公式HP:https://www.hakone-garasunomori.jp/