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あやかしの世界へと誘ってくれる「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」

石黒亜矢子さんの作品をご存じですか?

化け猫、妖怪、想像上の生き物など独特な世界観を繰り広げ、猫好きならずとも思わずニヤリとしてしまう作品を生み出しているアーティストです。

そんな石黒亜矢子さんの大規模個展「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」が、4月29日(土)から9月3日(日)まで世田谷文学館にて開催されています。

石黒亜矢子さんとは?

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

石黒亜矢子さんは、妖怪、化け猫、想像上の生き物をテーマとし、日本画を想起させる流麗な筆致で描きだす絵描きとして、国内外で個展を開催するなど精力的に活動しています。

『ばけねこぞろぞろ』(あかね書房)、『いもうとかいぎ』(ビリケン出版)、『えとえとがっせん』(WAVE出版)などの絵本や、『豆腐小僧双六道中ふりだし』京極夏彦/著(講談社)、『現代版 絵本御伽草子付喪神』町田康/著(講談社)などの挿絵・装画、その他企業とのコラボレーション作品も手がけるなど活動は多岐に渡ります。

彼女が描く生き物たちは、色彩豊かに美しく愛らしく、クスッと笑えるユーモアたっぷりで、ときにちょっぴり不気味な表情をたたえ、瞬く間に私たちを異世界へと誘ってくれます。

初の大規模個展となる本展の見どころ

会場に500点あまりの作品が一挙公開!

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

石黒亜矢子さんの初の大規模個展となる本展では、画業の最初期の妖怪絵をはじめ、『いもうとかいぎ』『えとえとがっせん』『ねこまたごよみ』などの絵本原画を中心に、描きおろしの新作約20点を含む500点あまりの作品が展示されます。

両脇に化け猫の絵が鎮座している提灯のぶら下がるやぐらを抜け、入口から廊下を通りぬけ突き当りにあるのは、タイトルとメインビジュアルにも使用されている《地獄十王図》。

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

本作品は猫の閻魔大王など10の王が描かれており、地獄に落ちた猫を苦しめている鬼たちなど、キャラクターが細かく設定されており、隅から隅まで飽きずに眺めることができます。

取材時において石黒亜矢子さんは「私は描いていくうちに描き足していき、同時にお話(設定)も湧き上がってくるんです。ですので、私が描くものにはすべてお話(設定)があるんです」と語っていました。

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

石黒亜矢子さんの作品創作の原点は…?!

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

会場の「百鬼夜行」や「UMA」のコーナーでは、私たちが知っている妖怪、珍獣、UMAなどが名を連ね、どれも色鮮やかでユーモラスでもありながら、時には不気味さも醸し出しています。

また、展示の最後はタイトルにもある「ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」のコーナーでは、石黒さんの描く魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するあやかしの世界が展開。

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

妖怪やUMA、多彩な化け猫など、その創作の原点には、石黒亜矢子自身が影響を受けたと語っていた、奇才のアーティストたちによる作品集や資料集が、アトリエからお借りした私物展示のなかにありました。

取材時において石黒亜矢子さんは「水木しげるやディズニーも好きですし、絵本作家の秋野亥左牟(あきのいさむ)さん、日本画の曾我蕭白や河鍋暁斎にも影響を受けました」と、自身の創作について触れていました。

作品、関連展示、関連イベントコラボレーションを楽しもう!

写真:展示風景©Ayako Ishiguro(右端作品_制作 雅太郎玩具店)

会場では、ぬいぐるみ作家・今井昌代さんとの特別展示、雅太郎玩具店による『いもうとかいぎ』モチーフの新作にも注目です。

また会期中、文学館の1階には「どっせい!ねこまたずもう」をモチーフにしたメディアアート作品が出現する関連展示「どっせい!ねこまたずもう〜夏場所〜」(2023年7月22日(土)〜8月31日(木)・予定)が企画されています。

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

その他には、都市伝説系YouTuber「都市ボーイズ」がオカルトのジャンルを問わず、不思議体験・不思議現象について深く語っていく都市ボーイズ・ライブ「怪奇オカルトトークショー」や、シンガー・ソングライターのおおはた雄一さんと、ミュージシャンの坂本美雨さんによるおお雨・ライブ「化け猫ロック」など関連イベントとして開催されます。(※イベントは既に完売のものもあるのでチェックしてください!)

最後に…

写真:展示風景©Ayako Ishiguro

妖怪、化け猫、想像上の生き物をテーマに、色彩豊かに美しく愛らしく、クスッと笑えるユーモアたっぷりで、ときにちょっぴり不気味な表情をたたえ、瞬く間に私たちを異世界へと誘ってくれる本展覧会。

石黒亜矢子さんが描いた独特な作品世界に深く浸ることができるので、ゆっくりと細部を堪能する時間を設けて、ぜひ会場に足を運んでみてくださいね。

取材・撮影・文:新麻記子

展覧会情報

写真:展示風景©Ayako Ishiguro(※本記事サムネイルも同様)

「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」
会期:2023年4月29日(土・祝)~9月3日(日)
会場:世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1‐10‐10)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は開館し、翌平日休館)
ホームページ:​https://www.setabun.or.jp/​

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。

日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に…#日本酒がある暮らしをコンセプトにしたメディア&コミュニティ『酒小町』の編集長をつとめるほか、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

Instagram:@shin_makiko

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