佐賀では秋になると、朝仕事に行くときなど空を見上げるとバルーン(熱気球)が浮かんでいることがあります。
これは毎年のおなじみの光景ですが、おなじみとはいえバルーンを空に見つけると、わくわくした気分になります。
なぜ佐賀で、秋になるとバルーンが空に浮かぶのか。
それは毎年11月初めに佐賀でインターナショナルバルーンフェスタが開催されるからです。
それに向けてのフライトの練習などをしているのです。
今年は3年ぶりに観客が来場しての開催となりました!
私は佐賀在住で、コロナ前は毎年といっていいほどこの大会を見に行っていました。
そんな地元開催のバルーンフェスタを、地元民だから知っているポイントもあわせてお伝えします。
2022佐賀インターナショナルバルーンフェスタの様子
2022 佐賀インターナショナルバルーンフェスタは、2022年11月2日〜11月6日の4日間の開催。
場所は佐賀市嘉瀬川河川敷で、2022年の参加機数は95機。
バルーンの競技は大会期間中1日2回行われ、時間は午前7時と午後3時です。
私は大会初日の朝と大会3日目の朝に行ってきました。
バルーンは気象状況に影響され、雨が降るとフライトができませんし、風が強くてもフライトできません。
そのため、刻々と変わる気象状況を確認しながら、競技直前に何の競技が行われるかが決定されます。
11月2日の初日はお天気で風も穏やかだったため、これは飛ぶに違いないと、わくわくしながら会場につきました。
すると競技エリアでは、すでに立ち上がる前のバルーンが準備されています。
「これは、会場一斉離陸だ!!」と、期待のボルテージが高まりました。
一斉離陸は、迫力もあり、写真映えもし、バルーンと一緒に気分も上がるのです。
20種類以上もあり、複数のタスクがある、バルーンの競技
実はバルーンの競技は20種類以上あり、1回のフライトで複数の競技(タスク)が行われます。
細かい競技内容はわからなくても、会場で見ている私たちからすると、
・会場を一斉離陸するパターン
・会場の外で離陸して、会場に向かってくるパターン
・会場で一斉離陸して、一定時間ののちにまた会場に戻ってくるパターン
の3つがあります。
観客にとって一番いいのは、会場で一斉離陸してまた会場に戻ってくるパターンですが、その日会場に行ってみないと、どんな競技が行われるのかがわかりません。
私が見に行った初日の朝の競技は、会場を一斉離陸するパターンで、とてもラッキーでした。
時間になると、バルーンを立ち上げる準備が始まりました。
最初は大きな扇風機のようなものでバルーンの球皮に風を入れ、半分ほど膨らませた後にバーナーを焚き、バルーンを立ち上げます。
そのようにして次々とバルーンが立ち上がり、ふわりと離陸するバルーンを見るのは大人でもワクワクします。
そして、何十機ものバルーンが、一斉に離陸する様子はそりゃあもう迫力満点です!
毎回一斉離陸は「ボレロ」の曲がかかるのですが、その曲を聞きながら色とりどりのバルーンが大空に飛び立つさまは壮観です。
風向きやパイロットによっては、会場の土手をぎりぎりに飛行してくれるときがあります。
手を伸ばせば触れるほどバルーンが近くに来て、私も含め観客はみんな大喜びでパイロットに手を振ります。
今回3年ぶりの観客を入れての大会なので、パイロットの方々も嬉しそうでした。
天候の影響を受けると飛行が難しいバルーン
大会3日目の11月4日の朝もバルーンを見に行きましたが、この日は残念ながらバルーンは飛びませんでした。
風も穏やかでバルーンを立ち上げるには絶好の日だったのですが、嘉瀬川河川敷上空の風が一方向にしか吹いてなかったそうです。
すると、河川敷から飛び立ったバルーンはすべて有明海の方向に流され、着陸するところがなく危険だという判断です。
しかし集まった観客のため、有志の方々が会場でバルーンを立ち上げてくれました。
バルーンが大空に飛び立つさまは見られませんでしたが、たくさんのバルーンが会場に並んでいる姿は見られました。
ちなみに、今回の佐賀インターナショナルバルーンフェスタの期間中ずっと晴天が続きましたが、競技飛行の開催は、
11月2日:朝開催、午後キャンセル
11月3日:朝開催、午後キャンセル
11月4日:朝キャンセル、午後キャンセル
11月5日:朝開催、午後キャンセル
11月6日:朝開催、午後キー・グラブ・レース開催
このような状況でした。
これを見るだけでも、天候に影響を受ける競技ということがご理解いただけるかと思います。
バルーンフェスタの見どころその1:バルーン競技
このバルーンフェスタは、バルーンが優雅に大空にぷかぷか浮かんでいるのを見るイベント。
そう思っている方もいるかと思いますが、実は佐賀インターナショナルバルーンフェスタはバルーンの競技大会です
「バルーンて、何を競うの?」と思いますよね。
バルーンの競技は、長さ180cmのナイロンの布先に70gの重りをつけた「マーカー」を、「ターゲット」のできるだけ近くに落とす、というものです。
ターゲットの中心とマーカー距離が近いほど高得点です。
ここで、疑問がわきませんか?
「ターゲットにマーカーを落とすって、バルーンはどうやって操縦するの?」と。
バルーンにハンドルはついていません(笑)
ではどうやってターゲットに近づくのかというと、風を読むのです。
バルーンはバーナーを焚くことにより、球皮内の温度を変化させ上昇や下降のコントロールをします。
そして横へは、風によって移動します。
風は高さにより吹く方向が異なり、バルーンの高さを調節することで、行きたい方向へ流れる風をとらえて進むのです。
そしてパイロットの経験や技術だけでなく、地上にいるクルーも重要です。
お互い密に連絡することにより、風の状況などを正確にとらえます。
バルーンの競技(タスク)は、20種類ほどあり、1回のフライトで複数のタスクを行うこともあります。
代表的なタスクは以下の通りです。
- ジャッジ・ディクレアード・ゴール:競技本部がターゲットを決定。そのターゲットの中心に向かってマーカーを投下。
- フライ・イン:競技本部がメイン会場内にターゲットを設置。パイロットは、一定以上離れた離陸地を自分で設定し、ターゲットを目指して飛行し、ターゲットの中心に向かってマーカーを投下。
- ヘジテーション・ワルツ:競技本部が複数のターゲットを決定。パイロットはそのうちの一つを選び、マーカーを投下。
さまざまな種類のタスクの中で、会場にいて一番嬉しいタスクの組み合わせがあります。
それが、会場から一斉にバルーンが離陸し、そしてまたバルーンが会場に帰ってきて会場内のターゲットを目指すパターンです。
もし会場に見に行ったときに、1回のフライトで会場から離陸し、また会場に帰ってくるのに居合わせたら、それは超ラッキーです!
何機ものバルーンが一斉に会場を飛び立ち、一定時間ののちに会場にあるターゲットを目指して帰ってきます。
最初は遠くに見えたバルーンが、だんだんと近づいて来る……
そして、会場に設置されたターゲットに、バルーンがゆっくりと近づいてマーカーを落とすのです。
ターゲットに近づくのはかなり難しいらしく、高いところからマーカーを落とすバルーンや、ターゲット付近にも近づけないバルーンが多くいます。
そのなかで、徐々にターゲットに近づき、ターゲットの中心付近にマーカーを置くような感じで落とす凄腕のパイロットもいて、そんなときは会場中が拍手喝采です。
風を読みながらだんだんと近づいてくるバルーンを、会場中の人がドキドキしながら見つめています。
会場から一斉離陸する様子は、何度見ても感動モノです。
また、風を読みバーナーの操作をしながら着実にターゲットに近づくのを見るのも、ドキドキしながら楽しめます。
間近でこのような競技が見られるのが、この大会の見どころです!
バルーンフェスタの見どころその2:会場ではさまざまなイベントが開催され出店もたくさん
会場内ではさまざまなイベントが開催され、たくさんの出店も並んでいます。
変形バルーンなどが嘉瀬川河川敷に並ぶバルーンファンタジアもあります。
大人も子どもも一緒に楽しめるのが、佐賀インターナショナルバルーンフェスタです。
わざわざ会場に足を運ぶのならば、ぜひバルーンの競技をその目で見ていただきたいと思いますが、バルーン競技は気象条件に左右されます。
行ったときにバルーンが飛ばなければ、がっかりしますが、そんなときには会場で催されているイベントや出店を楽しんでください。
また、大会後半の夕方に開催される「ラ・モンゴルフィエ・ノクチューン(夜間係留)」も人気のイベントの一つです。
河川敷にずらっとバルーンが並び、音楽に合わせてバーナーの火を焚き、暗闇の中にバルーンのシルエットが浮かび上がるのはとても幻想的です。
女性はイベントなどではトイレが気になる方も多いでしょう。人が多くてトイレが少ないと心配ですよね。
しかし、佐賀インターナショナルバルーンフェスタは仮設トイレもたくさんありますので、トイレの心配をしなくて大丈夫です。
感染症対策や迷子対策も万全です。
特にバルーンは、大人も夢中になり空を見上げて歩くため、ついお子さんを見失いがち。
もしも迷子になったときのために、手首にまくタイプの迷子バンドを最初にお子さんに着けておきましょう。
会場ではよく迷子の放送がされていますので、お子さんはきちんと手を引いて歩くか、「迷子になったら〇〇で待ち合わせ」などと決めておくのもいいですね。
来年のために:地元民が教える佐賀インターナショナルバルーンフェスタ観戦のポイント
地元民が教える観戦のポイントが4つあります。
そのポイントを押さえて会場に行くと、バルーンフェスタがより楽しめますよ!
ポイントその1:午前の競技に間に合うように行くべし
競技飛行は朝の7時からと午後の3時からです。
「朝7時に会場につくのは大変だし寒いから、午後見に行こう」
と思ってしまいますよね。
しかし!!
バルーンはいくら天気がよくても、風が強いとフライトできません。
午前と午後を比べると、午後の方が、風が強くなる傾向にあります。
午前の方がバルーンの競技が開催される確率が高いため、できれば午前に間に合うように行ってください。
ポイントその2:敷物を持って行くべし
バルーンが立ち上がるのを見たり、会場の外からバルーンが来るのを待ったりと、じっとしていることが多いため、多くの観客は土手に座っています。
朝は朝露で草がぬれているため、敷物を持って行きましょう。
座って待つと楽です。
また、11月初めの朝方は冷えます。
じっとしていると余計寒いです。
足元が冷えるので、寒がりの方はレッグウォーマーなどを準備してもいいですね。
ポイントその3:公共交通機関を利用するべし
会場に駐車場はあります。
ありますが、交通規制などもあるため、会場に行くまでかなり渋滞します。
そのためJRか、佐賀市内の臨時駐車場に車を停めてそこからシャトルバスで行く方が無難です。
すでに競技が始まって、バルーンが飛び立とうとしているのに渋滞につかまって動かない車を毎年のように見かけます。
ポイントその4:川に映るバルーンが撮りたければ会場の対岸に行くべし
バルーンは青空に映えます。
たくさんの写真を撮りたいと思うでしょう。
そしてこんな、川に映る写真も撮ってみたくありませんか?
もし、このような川に映るバルーンを撮りたいと思う方は、会場の対岸に行くと撮れます。
ぜひバエル写真を撮ってくださいね。
迫力のあるバルーンを実際の目で見てみませんか?
今回は2022佐賀インターナショナルバルーンフェスタをレポートしました。
大空に浮かび上がるバルーンは、本当に何度見てもいいものです。
下から見ている分には優雅ですが、パイロットは風を読みつつターゲットに近づいています。
会場内に設置されたターゲットに、いかに近づいてマーカーが落とせるかは、見ごたえがあります。
全国のみなさまにもぜひ一度リアルでこの競技の観戦を楽しみ、そして同時に開催されているイベントも楽しんでいただきたいと思います。
来年の秋は、ぜひ佐賀まで足を伸ばしてみませんか?