昨今、アニメ・漫画やドラマの舞台となった場所を「聖地巡礼」して楽しむ観光客が増えています。
みなさんも、お気に入りのアニメや漫画、ドラマで舞台となった場所を訪れてみたいと考えているかもしれませんが、現地へ行くタイミングを見出せずにいるのではないでしょうか。
しかし、近年は、舞台となった都道府県や市町村で、作品とのコラボイベントが行われています。2022年4月から5月にかけて山梨県北杜市にて行われたTVアニメ「スーパーカブ」の放映1周年を記念したスタンプラリーイベントもコラボ企画の1つです。
今回は、2022年5月2日に筆者が山梨県北杜市へ足を運び、「スーパーカブ」のスタンプラリーに参加した模様をお伝えします。
原付バイクと出会い、人生が変わった女子高生の物語「スーパーカブ」とは
「スーパーカブ」は、ライトノベル作家のトネ・コーケンさんが原作を手掛けた小説であり、2017年から2022年まで角川スニーカー文庫(KADOKAWA刊)で本編8巻と短編集1冊、合計9巻が発行されています。
主人公の少女・小熊は、父親や母親、学校の友達がおらず、これといった趣味もなく日々を過ごしていた高校2年生。小熊は、原付バイクで通学している同じ学校の生徒を見て興味が湧き、偶然立ち寄った販売店で出会った中古バイクの“スーパーカブ”と出会います。スーパーカブを通じて、人との出会いや各地への旅行を楽しみ、成長していく物語です。
物語の舞台は、山梨県北杜市をモデルとしています。2021年4月から6月まで、CSテレビ局「AT-X」をはじめ、複数の地方テレビ局にてTVアニメ版が放映されました。
TVアニメ版では、随所に山梨県北杜市をはじめ、神奈川県鎌倉市周辺をモデルとした街並みを描いています。加えて、実名のカー用品店でバイクのグッズを購入しているシーンが描かれるなど、実在する場所を細かく再現したのも話題となりました。
「スーパーカブ放送1周年記念スタンプラリー」のチェックポイント、観光スポット紹介
今回参加した「スーパーカブ放送1周年記念スタンプラリー」は、2022年4月9日から5月8日まで行われました。「スーパーカブ」の舞台となった山梨県北杜市をはじめ、韮崎市や清里、小淵沢といった周辺の観光地ともコラボレーションした地域活性を目的としたスタンプラリーとなっていました。
指定されたスタンプラリーのチェックポイントは6ヵ所。電車やバスだけでなく、作品でも活躍するバイクでもスタンプラリーポイントを回るのが楽しめそうなコース設定となっていました。
筆者は、所有する愛車で各チェックポイントを訪問。およそ80kmの走行距離、山あり谷ありのコースで走り応えがあり、ドライブも合わせて楽しい時間を過ごしました。
1.「JR韮崎駅」
スタンプラリーのスタートに選んだのは、北杜市と隣接する市町村の韮崎市にあるJR中央本線・韮崎駅です。
韮崎市は、戦国時代に活躍した武田家の発祥の地であり、高校サッカーの全国大会に出場した経歴をもつ「山梨県立韮崎高等学校」があることでも有名です。
韮崎駅では改札口横にスタンプ台が置かれていました。スタンプラリーの台紙を同じく改札口横にある窓口で駅員さんから受け取り、記念すべき1個目のスタンプを獲得。1個目のスタンプは、小熊の横顔を描いたようなスタンプの絵柄となっていました。
2.むかわの湯
1ヵ所目の韮崎駅を離れて、2ヵ所目のチェックポイントとなる「むかわの湯」へ向かいました。
むかわの湯がある北杜市武川町は、小熊が生活している街のモデルとなっており、街なかにある商店やホームセンターなどが作中で再現されています。
韮崎駅から車でおよそ20分移動し、むかわの湯に到着。地域のヘルパーセンターと併設した敷地内に立っている一般の利用も可能となっている温浴施設です。ミネラル成分が豊富で疲労回復に効果的な温泉として人気とのこと。
スタンプラリーのチェックポイントは施設エントランスにありました。2個目のスタンプは、小熊とスーパーカブのシルエットが描かれている絵柄でした。
3.「北杜市役所」
むかわの湯を離れ、スタンプラリーのチェックポイント3ヵ所目となる「北杜市役所」へ向かいます。むかわの湯からは山梨県道612号線から国道141号線を経て、およそ20分で到着しました。
スタンプラリーのチェックポイントが置かれているのは市役所の西館。教育関連の部署がある建物のようです。玄関口には「アニメとバイクの聖地」と書かれたのぼりが掲出されており、市を挙げてスーパーカブとのコラボレーションを友好に進めたい雰囲気が伝わります。
北杜市のロゴが入った大き目のスタンドボードによる出迎えを受けて、3つ目のスタンプをゲットしました。スタンプラリーは折り返し地点となります。
4.「みずがき湖ビジターセンター」
スタンプラリーの後半3ヵ所は、北杜市でも北部に位置し、山奥に位置する施設がポイントとなります。4ヵ所目となる「みずがき湖ビジターセンター」です。
北杜市役所を出て、県道23号線をひたすら北上していくこと20分程度で到着。湖の向こうには緑の山脈が広がっていました。
駐車場に車を停めて、ビジターセンターの建物内に入ると、「ラジウム星人」と呼ばれるマスコットに出迎えてもらえました。みずがき湖より県道23号線を長野方面に向かうと「増富ラジウム温泉」と呼ばれる免疫力を促す温泉があるのだそうです。
建物内の奥側にスタンプ台が設置されていました。小熊が初めてバイク乗りの友達となる同級生の少女・礼子が描かれたスタンドボードが置かれていました。
4個目のスタンプをゲット。休憩がてらソフトクリームを購入していただきました。残る2ヵ所のチェックポイントへ向かいます。
5.「JR清里駅」
5ヵ所目のJR小海線・清里駅は、山梨県道610号線・長野県道106号線の山登りを経て、国道141号線を下るコースで向かいました。
伺った曜日がゴールデンウィークの合間、平日だったのもあり、清里駅は静けさが漂っていましたが、駅前の広場には現役を退いたSL列車や観光向けに改造されたバスが展示されているスペースがあり、冬場はスキーで人気のある地域さながらの雰囲気があります。
清里駅前にある観光案内所内にスタンプ台が設置されており、5つ目のスタンプを無事にゲット。物語序盤で小熊が友達となる、恵庭椎(えにわ しい)が描かれていました。
6.「JR小淵沢駅」
スタンプラリー最後のチェックポイントとなった場所が、JR中央本線・小淵沢駅です。
周辺にはアウトレットモールやペンション、ホテルが多く立地し、緑あふれる環境となっています。
小淵沢駅の駅舎内にある観光案内所にスタンプ台が置かれており、窓口では参加記念のステッカーが配られていました。イベント期間が始まった直後、予想以上の参加者がいたことで、急遽追加でステッカーが作られたそうです。
車で移動すること約80km、5時間程度でスタンプラリーを無事完走しました。
「スーパーカブ」スタンプラリーへ参加した感想
「スーパーカブ」放映1周年記念スタンプラリーへ参加した感想を述べさせていただくと、バイクもしくは車で舞台となった場所を回ると、より楽しめる印象を受けました。
今回スタンプラリーに指定された場所は、JR中央本線および小海線の駅周辺と各観光スポットでした。しかし、距離が離れていたため、チェックポイントを効率的に回るには電車やバスよりもバイクや車のほうが良かったでしょう。
JR中央本線・小淵沢駅でスタンプラリーを完走した際、同タイミングで特典のステッカーを受け取っていた参加者の方に話を伺いました。同じく神奈川県から北杜市へやってきて、ご自身で所有されている原付バイクでチェックポイントを回られていたとのことでした。
また、「スーパーカブ」で描かれている舞台は武川町周辺に集中しており、スタンプラリーに関係なくじっくり見て回りたいなら、北杜市を含めた周辺の地域で宿泊して時間をかけつつ回るのが、おすすめであると感じます。
チェックポイントの1つとなっていた北杜市役所でも、アニメコラボによる観光客への歓迎ムードが漂っていて、スーパーカブと北杜市をより詳しく触れてみたいと感じさせる時間となりました。
筆者は、現在の情勢が落ち着き宿泊も気軽にできる環境となったら、再び北杜市を訪れて、小熊たちの”足跡”を聖地巡礼してみたいと考えています。ぜひみなさんも、スーパーカブの聖地・北杜市に興味が湧いたら、足を運んでみてください。
【イベント開催概要】
イベント名:「TVアニメ『スーパーカブ』アニバーサリー 2022北杜スタンプラリー」(終了)
開催期間:2022年4月9日(土曜)~2022年5月8日(日曜)
訪問した観光スポット:
「南アルプス釜無川温泉 むかわの湯」(〒408-0302 山梨県北杜市武川町牧原1322)
「みずがき湖ビジターセンター」(〒408-0102 山梨県北杜市須玉町比志3730-3)