シネマ・演劇

世界中から愛される大ヒットミュージカル『エリザベート』の見どころをギュッと紹介!

みなさんは「ミュージカル作品」と聞いて、どのような作品を思い浮かべますか?『レ・ミゼラブル』や『オペラ座の怪人』といった作品のイメージが強い方も多いのではないでしょうか。

そのような一般的なミュージカルイメージとは少し異なるかもしれませんが、ミュージカルファンとしてぜひおすすめしたい作品がミュージカル『エリザベート』です。

『エリザベート』はハプスブルク帝国最後の皇后エリザベートの生涯を描いた作品。壮大なストーリーと、一度聞いたら忘れられないような美しい音楽、「死」がメインキャラクターとして登場するなどの独特の世界観によって、世界中の人々から愛され続けています。

公演チケットは毎回すぐに売れてしまうだけでなく、一度の公演期間中に何度も劇場に足を運ぶ人も多く見られる大人気作です。そこで、今回は、他のミュージカル作品とは一味違ったミュージカル『エリザベート』の見どころを紹介します。

ミュージカル『エリザベート』とは?作品概要

『エリザベート』が上演される東京の帝国劇場

ミュージカル『エリザベート』は、若くしてハプスブルク家に嫁いだ美貌の皇后エリザベート(1837〜1898年)の、波乱万丈の人生を描いた作品です。1992年にウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて初演の幕を開け、以来世界的なヒット作となりました。

日本では1996年に宝塚歌劇団雪組にて初めて上演された後、宝塚歌劇団と東宝にて再演が繰り返されています。初演から20年以上が経過する本作は、今日に至るまでにキャストや演出面において様々な変更があり、上演の度に異なった顔を見せてきました。

壮大なストーリーや、作曲家シルヴェスター・リーヴァイによる美しい楽曲、「死」がメインキャラクターとして登場するなど、観客を一気に引き込む独特な世界観。その全てが世界中のミュージカルファンの心を掴み、愛され続けてきた人気作です。

ミュージカル『エリザベート』のあらすじ

​​舞台は19世紀後半のヨーロッパ。600年近い歴史を誇るハプスブルク家の滅亡期。自由を愛するシシィ(エリザベートの愛称)は、幼い頃に木から転落し死の淵をさまよったことで、死を司る黄泉の帝王トートに愛されるようになります。

「生きたお前に愛されたい」というトートの願いによって生き返させられたシシィでしたが、その後オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に見初められ、思いがけず皇后になることに。しかし伝統と格式を重んじる宮廷での生活はシシィには窮屈で、何一つ自由に行動できないばかりか、自身の子どもさえも自らの手で育てることはできませんでした。

子どもの死・夫の浮気などの様々な困難の中で、自由を求めて放浪の旅に出るシシィ。トートからの度重なる死への誘惑に耐え、懸命に生き続ける彼女でしたが、生きることに疲れた彼女に運命の日が訪れます。

ミュージカル『エリザベート』の見どころ

ヴィンターハルターによるシシィの有名な肖像画 出典:Wikipedia

ミュージカル『エリザベート』は、「死」の概念であるトートがメインキャラクターとして登場する、長い歴史を誇るハプスブルク家を舞台としているなど、他のミュージカル作品とは異なる部分が多い作品です。

そのため、初見の際には事前にストーリーや見どころを簡単に把握しておくことがおすすめ。ここでは、『エリザベート』ファンの筆者が感じる3つの見どころを紹介します!

1.独特な世界観

ミュージカル『エリザベート』がこれほどまでに人気を集める理由は、その壮大で独特な世界観にあると感じています。『エリザベート』が独特な世界観を持つ作品であると感じるのは、幕が開けてすぐのプロローグから。

プロローグは、エリザベート皇后殺害の罪で逮捕されたルイジ・ルキーニが、黄泉の国の裁判で尋問をされる場面から始まります。皇后殺害の理由を尋ねられ、「皇后本人が望んだんだ」と証言するルキーニ。そしてルキーニはその証人として、エリザベートと共に生きた人々の亡霊を舞台に登場させ、当時の再現を始めるのです。

「墓から出てきた亡霊が証言をする」という異例のストーリー展開により、観客はプロローグからぐっと心を捕まれ、舞台に引き込まれてしまいます。そして狂言回しのルキーニが登場する度に「次は何が起きるのだろう」とハラハラ。登場人物の一挙一動から目が離せません。

さらに「死」であるトートの登場も、多くの人々を引きつける魅力のひとつです。中性的な外見を持ち、怪しくも美しい存在であるトート。愛するシシィが困難と直面するたびにそっと現れ、死の世界へと引き込もうとします。

悲しみに浸るシシィに対し、死後の世界への旅立ちを誘い続けるトートを見ると、人は常に死と隣合わせであることを実感します。心からの自由を求めながらも、トートからの「死=自由」の誘惑を跳ね除け、懸命に生き続けるシシィの様子に心を動かさずにはいられません。

自由を追求するシシィと、彼女を黄泉の国へと導こうとするトート。そしてシシィを愛しながらも、皇帝という立場から逃れられず、皇太后と皇后との板挟みになるフランツ。歴史の大きな波の中に様々な人間のドラマが混ざっていき、見ているうちにあっと言う間に動乱期へのウィーンへと引き込まれてしまいます。

2.現代社会にも通じる「女性の自立」というテーマ

「女性の自立」という現代社会にも通じるテーマも、『エリザベート』が愛され続ける理由であり、見どころのひとつです。

あらすじでも少し紹介したとおり、『エリザベート』のメインテーマはオーストリア皇后エリザベートの波乱万丈の生涯であり、死の誘惑を跳ね除け続け、懸命に生きる1人の女性の一生です。

何一つ自由にならない宮廷生活の中で、度重なる困難にも負けずに前へ進み続け、生きることを諦めずに運命に立ち向かう彼女の姿は、「仕事や家庭を持ちながらどのように生きるべきか」と悩む女性に、ひとつの答えを与えてくれるようにも感じています。

劇中で最も有名な曲とも言える「私だけに」で「たとえ王家に嫁いだ身でも 命までは預けはしない 私が命委ねるそれは 私だけに」と力強く歌うシシィを見ると、困難な状況の中でも諦めず、前向きに自分の生きる道を模索し続けたいと感じずにはいられません。

また『エリザベート』では、姑である皇太后との関係、出産後の生き方、子どもとの接し方など、様々な場面で、シシィが女性特有の悩みと向き合う姿が描かれています。

そのため舞台を観ながら深く共感すると共に、「自分だったら」を考えてしまうことも。シシィや周囲の人々の心情を考えるうちに、いつしか自分の人生とも向き合っている。『エリザベート』には、そのような魅力があるとも感じています。

3.キャストによる表現の違い

キャストによる表現の違いも、ぜひ注目して欲しいポイントです。『エリザベート』は、同じ役を複数の役者が交代で演じる「ダブルキャスト」や「トリプルキャスト」で上演されてます。

多くの場合、エリザベート(シシィ)が2人、トートが2〜3人、エリザベートの息子であるルドルフが3人など、メインキャラクターは1つの役に対して2人以上がキャスティングされることがほとんどです。

すると、ある日はエリザベートがAさんでトートがBさんだったけれど、別の日はエリザベートがCさんでトートがDさんといったように、購入したチケットによってキャストの組み合わせが異なります。

ダブルキャストやトリプルキャストの魅力は、演者による表現の違いや、それによる周囲の芝居の変化を楽しめることです。ストーリーや演出が同じでも、演者によって解釈や表現が若干異なるため、同じ舞台でも違った印象を受けたり、演者による表現の違いを楽しんだりできるのです。

たとえば、宝塚歌劇で『エリザベート』を上演する際には、トートとエリザベート・フランツ等はシングルキャストですが、エリザベートの息子であるルドルフは複数人がキャスティングされるケースが多いです。

するとルドルフを演じる人によって芝居の表現が若干異なるため、その日のルドルフにあわせて、トートやルドルフの幼少期を演じるキャストがお芝居を変えることもあります。

舞台にメインストーリーはありますが、演技の正解は存在しません。そのため、「このシーンはこんな風に表現しよう」と感じている演者さんの解釈によって、同じ役でもお芝居が変化するのです。

各キャストによるお芝居の違いはもちろん、キャストの組み合わせによる表現の違いも生まれ、また異なった『エリザベート』を味わうことができます。「自分好みのキャストの組み合わせ」を探してみるのも面白いですよ!

ミュージカル『エリザベート』2022・2023年公演上演決定!

『エリザベート』20周年記念プログラムと、中止となってしまった2020年公演のプログラム

2022年10月から2023年1月にかけて、ミュージカル『エリザベート』の上演が決定しています。本来は2020年に上演が予定されていたものの、コロナ禍で全日程中止となってしまったため、2022年末に上演されることになりました。

2022・2023年公演では、東京・帝国劇場で幕を開けた後に、愛知・御園座、大阪・梅田芸術劇場、福岡・博多座と各地を巡ります。

キャストはエリザベートが2人・トートが3人・フランツとルドルフは2人ずつを予定していますが、上演地域によって出演者(トート)が異なります。トート3人のうち、山崎育三郎さんは東京公演のみで、井上芳雄さんは福岡公演のみ。古川雄大さんは全地域ご出演予定です。(以下の動画は、今回の公演とキャスティングが似ている2019年の公演映像です)

2020年公演が中止となってしまった分、どのような公演になるのか今から期待が高まっています。公演日程やキャストなどのより詳しい情報を知りたい場合は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてくださいね。

ミュージカル『エリザベート』は世界中のミュージカルファンから愛される人気作品

「ハプスブルク帝国最後の皇后エリザベート」の生涯を描いた、ミュージカル『エリザベート』。

時代を懸命に生き抜いた女性の姿が描かれていることや、「死」がキャラクターとして登場する非日常感などにより、世界中の人に愛され続けている作品です。

「死」の概念の登場や、ハプスブルク家をテーマとしていると聞くと、癖がありそうだと感じるかもしれませんが、一度観れば不思議と再び観たくなる作品でもあります。

また宝塚版と東宝版では、演出やストーリーが若干異なっているため、どちらも観てみて、それぞれの違いに注目してみるのもおすすめです。

宝塚版と東宝版は共にDVDも発売されていますが、やはり一番は生の舞台を味わうことです。大人気作が上演されるこの機会に、ぜひ劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

ミュージカル『エリザベート』公演情報

上演期間
・帝国劇場公演 2022年10月9日(日)〜11月27日(日)
・愛知公演     2022年12月5日(月)〜12月21日(水)
・大阪公演     2022年12月29日(木)〜2023年1月3日(火)
・福岡公演     2023年1月11日(水)〜1月31日(木)
公式HP
https://www.tohostage.com/elisabeth/index.html

タケウチ ノゾミ

投稿者の記事一覧

「猫と美術とミュージカル」をこよなく愛する、福岡在住のフリーライター。趣味は美術鑑賞・観劇・猫を揉むこと・新しいことを学ぶこと。
興味を持ったらとことん調べないと気が済まない性格であり、活字中毒なので、気がつくと何かを読んでいる。美術は東西問わず近代美術が好き。好きな画家は菱田春草とミュシャ。ミュージカルは宝塚歌劇や東宝、2.5など幅広く観劇。鑑賞した作品についてあれこれ考えるのも好き。
Blog:https://fukuoka-kurashi.com/
Note:https://fukuoka-kurashi.com/note/
Twitter:https://twitter.com/takenz2525

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