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ちょっとハードルが高い!?エゴン・シーレ展の私のオススメ鑑賞法

東京で30年ぶりの回顧展開催!エゴン・シーレは、わずか28年という短い人生の中で、鮮烈な表現主義的作品を残し、を刻んだ天才画家です。

シーレが憧れのクリムトに「僕には才能がありますか」と聞いた際、クリムトは「才能がある?それどころかありすぎる」と答えたと言うエピソードは有名です。

常識にとらわれない創作が社会に理解を得ず逮捕されてしまうという苦悩もあった人生を送り、生と死、性について、描きました。

絵の持つ熱量が凄くて、エネルギーが吸い取られてしまいそうな展覧会。“金のクリムト”、“銀のシーレ”。50点の彼の作品を見ながら生い立ちを辿り、シーレについて深く知るきっかけとなりました。

本展覧会では、シーレの絵だけではなく、その時代に活躍したクリムトやココシュカの絵も展示されていました。少しハードルが高い展覧会かもしれませんが。。。そんな方でも楽しめる方法をご紹介します。

シーレの有名な自画像 《ほおずきの実のある自画像》 

シーレが22歳に描かれた作品と言われています。

私がこの作品を見たのは2回目。

ウィーン旅行でレオポルト美術館へいった時でした。

ウィーンの旅行記は、こちら(【記事】https://rakukatsu.jp/vienna-klimt-20191117/)をご覧ください。

《ほおずきの実のある自画像》 を描いたのは、一番活躍していた時だそうで、私は、シーレの眼差しに自信と野心を感じました。

*レオポルト美術館での展示

そもそもこの絵は対の作品。

実際にレオポルト美術館で見た際には、このように展示されていました。ぜひこの対の《ヴァリーの肖像》のことも感じて鑑賞してみてくださいね。

日本を感じる作品を探してみよう!

金の顔料を多用した黄金様式で知られるクリムトに対し、彼を慕ったシーレは銀のクリムトと呼ばれたそうです。

右側の作品《菊》は、1900年前後のヨーロッパで流行したアール・ヌーヴォーの特徴があらわれており、また、日本の工芸と関連していると言われています。左側の作品《装飾的な背景の前に置かれた様式化された花》は、銀色の背景が屏風を思い起こさせ、日本の伝統を感じるのは私だけでしょうか。

また世紀末では、日本美術が流行し、浮世絵に着想を得た多色木版画が盛んに製作されたのだそう。

カール・モルの3枚の作品は、自身の図案を自ら木版に刻んで、手刷りで版画制作を手がけた作品。確かに、浮世絵を感じさせます。ぜひ展覧会で日本を感じる作品にも注目してみてください。

私たちは、今も西洋に憧れている部分があり、身近にある日本の良さ、美意識、美しいものに気がついていないことがある気がします。

多くの巨匠と呼ばれる西洋画家にインスピレーションを与えた日本の美や感性を、私たち日本人がもっと知れる機会があればと改めて思いました。

シーレの風景画に触れる

シーレの絵は、人物画の印象が強いですが、全作品で占める風景画の比重も小さくないそうです。

1910年に短期間ながら移り住んだ南ボヘミアのクルマウ(現チェコのチェスキー・クルムロフ)では、古風な街並みや丘を望む理やかな風景を繰り返し描きました。

シーレにとって自然は、嫉妬や欺瞞の渦巻くウィーンから離れ、英気を養い精神統一を図ることのできる場所でもあったのだそう。

私も自然に触れて英気を養うことが多いので、シーレの気持ちが何となく気持ちが分かるような気がしてしまいました。

シーレの愛する人を描く

シーレの妻、エーディト・シーレ

シーレは身近な人をモティーフに描いています。

シーレの妻、エーディト・シーレとは、徴兵される直前の1915年6月に結婚しました。

シーレの母、マリー・シーレ。

シーレの叔父、レオポルト・ツィハッチェックは、シーレ自身の父が早く亡くなったので、後見人となりました。

初めは画家になることを反対していましたが、アカデミーに合格すると一変して応援したそう。シーレが画家になったのは、この方のおかげかもしれません。

身内の肖像画は穏やかな表情の絵が多く、シーレの愛を感じました。

シーレ以外の画家に注目する

私の好きな作品の一つに、クリムトの風景画があります。今回、《シェーンブルン庭園風景》が来日していました。クリムトがウィーンの街を描いた唯一の風景画だそうです。

また、クリムトの風景画の中に人が描かれている珍しい作品でもあるので、ぜひ人が描かれている部分を切り取って絵の鑑賞をしてみてください。また違った景色が見えてきます。

もう一つ印象的だったのは、エルンスト・ストールの《湖畔の二人》という作品。この絵の空のグラデーションが素敵で一目惚れしました。

本物の作品を実際見ていただき、豊かな色彩を感じていただきたいです。

【開催情報】

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才
会期:2023年1月26日(木)〜4月9日(日)
会場:東京都美術館
開館時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで (入室は閉室の30分前まで)
日時指定予約制
料金:一般 2,200円
大学生・専門学校生 1,300円
65歳以上 1,500円
休館日:月曜日
ホームページ:https://www.egonschielehttps://www.egonschiele2023.jp2023.jp

Rika

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小さい頃から美術館が好きで、年間100以上の展覧会へ足を運ぶ。特に好きなジャンルは琳派。日本の伝統的なもの(芸術・文化・祭り・芸能・工芸など)が好きで、全国各地の魅力を発掘中。現在、旅サイト、美容雑誌、ファッション雑誌などの公式ブロガーとして活動中。

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