逆ギレ?? 爆音!? マジ卍!! 宮崎のスーパー「ナガノヤ」の面白ネーミング弁当で宮崎ならではのグルメを満喫!

旅先でスーパーマーケットや商店街に立ち寄るのが好きです。

単に値段が安いだけでなく、地元の方が常日頃どんなものを召し上がっているかが、垣間見えて良いのです。惣菜でご当地の名物が食べられることもあります。スーパーの場合、全国チェーンではないスーパーなら特徴があってなお良いです。

私は数ヶ月前に所用で宮崎県に行き、いつも通りネットで地図を調べて、宿の近くのあるスーパーに立ち寄りました。そこは「ナガノヤ瀬頭店」

これが、予想以上でした。とりあえず、宮崎名物チキン南蛮を探したのですが、チキン南蛮弁当弁当の名称がここでは、

「ビリー南蛮逆ギレ弁当」

……このネーミングセンス、発想がこちらのはるか上空斜め上を行くものでした。驚きです。

だからと言って味に妥協があるわけではなく、むしろとても美味しいです。南蛮酢とタルタルソースがチキンに合います。本場のチキン南蛮の味です。

私の地元の京都のあるスーパーでは、以前「宮崎風チキン南蛮」を売っていたことがあるのですが、チキンカツにタルタルソースがかかっているだけで、肝心の南蛮酢成分が感じられませんでした。そういう経緯もあって、「ナガノヤ」さんのことが気になってしかたがなくなってきました。

そこで、宮崎再訪を機に、このスーパー「ナガノヤ」の宮崎グルメにぐっと迫ってみることにしました。

宮崎県内に10店舗を展開するスーパーマーケット「ナガノヤ・ウメコウジ」

今回は、「ナガノヤ芳士店」に伺いました。

伺った時、ちょうど「逆ギレ弁当400万食突破記念セール」中でしたので、売り場はとても盛り上がっていました。400万食とはすごいです。しかし、「逆ギレ」とは何でしょうか? これは後でご説明します。

まず、前に食べた「ビリー南蛮逆ギレ弁当」一般的には「チキン南蛮弁当」ですね。

「ビリー南蛮」の名前はフォークデュオ「ビリーバンバン」から来ていますが、この弁当の存在をツイッターを介して見つけられたというエピソードがあります。

ちなみに、ビリー南蛮には鶏のモモ肉、ムネ肉、両方があります。宮崎県民にはチキン南蛮のモモ、ムネは重要な点らしいです。

私はチキン南蛮を「ナガノヤ」さんの他レストランや居酒屋でも食べましたが、チキン南蛮はもともと旅行者向けの名物と言うより、どうも元々宮崎の方々の現代的なちょっとご馳走として食べられているみたいです。

前回「ビリー南蛮逆ギレ弁当」を食べたので、今回は違う弁当にしましょう。

今回まず食べたのは何かと言いますと、

「食べづらいサンドイッチ」

作り手自ら「食べづらい」ことを認めているのが面白いです。なので、朝ごはん代わりにイートインコーナーで食べることにしました。

まじまじと見ると、カット野菜がたっぷりで、非常にたっぷりで、本当に食べづらそうです。でもここまで来たら食べるしかありません。

クッキングペーパーのようなもので包んであるけれど、やっぱりポロポロ落ちる……量が多い……いつまで経っても食べ終われない……食べづらい……でも、美味しい!

特にニンジンと玉子の味付けが気に入りました。

野菜不足の人にはぴったりです。完食して、お腹も十分満たされました。

このサンドイッチが2019年に開発され、ヒットしたことで、その後の逆ギレ弁当の方向性が決まったそうです。

食べている間、時々店内放送で「本日はビリーむねりん弁当がお買い得です」といった感じのアナウンスがなされます。シュールです。

自社製スイーツにも手を出してみました。

「プリンハラスメント」

焼きプリンの程よい硬さで、甘さ控えめで子供だけでなく大人のお客さんにも好まれそうです。なお、なぜ「ハラスメント(嫌がらせ)」なのかは一切分からぬままです。

あまりに満腹なので、撮影を終えたら、ホテルに戻って続きを食べることにしました。

その他のお弁当などをホテルで実食!

こんなに買ってしまいました。

まず食べたのは、「車線変更の達人」です。

カレーと麻婆豆腐、辛いのが2種類あいがけになっています。中央のご飯は白ご飯と雑穀米の2種類がありましたが、少しでもヘルシーなのをと思い雑穀米をチョイス。ビリー南蛮が乗っているのも嬉しいところです。

カレーはスパイシーで中辛~辛口くらい。麻婆豆腐はかなり辛いです。ピリ辛です。

最初は律儀に均等に食べ分けていましたが、辛さが舌に回ってくるにつれ、だんだんどっちでもよくなってきます。美味しいから。口直しにはビリー南蛮

それにしてもこの名前……左右にスプーンを揺らしながら食べるところからイメージしたのでしょうか。達人なのは食べる人なのか、それともビリー南蛮か?

「爆音の町で作ったエビレタス巻」

レタス巻きは宮崎の名物です。サラダ巻きの元祖だと言われています。

酢飯がやや甘めなのは宮崎のお客さんの好みなのだろう、と思います。九州では甘い醤油が好まれていることは有名です。

酢飯とレタスの爽やかさやエビのプリプリ感と合っていて美味しいです。

なお、「爆音の町」は近くに航空自衛隊新田原基地がある宮崎県新富町の工場で作られたことにちなんでいます。

そして、「昭和初期3」。

ネーミングと実物がピッタリマッチしています。

ありそうでなかなかない弁当です。素朴そのもののビジュアル、味も素朴で素材の良さが生かされています。近所で売っていたら、リピすると思います。これ以上削ぎ落としたら、お客さんが引くであろう、絶妙なバランスです。電子レンジ非対応容器なのも昭和初期へのオマージュでしょうか。

攻めているなあ……でも逆にこれで良いよなあ、お弁当って、などと感じ入っていると、

 

「『逆にコレで良いよね』の逆って何」弁当に問い詰められてしまいました。

この「昭和初期3」弁当について、ナガノヤ本部に問い合わせたところ、アニメ映画「となりのトトロ」に出てくる弁当が物凄く気になったことから開発されたそうです。

©️スタジオ・ジブリ

「となりのトトロ」の弁当に、確かによく似ています!

しかし、初期の「昭和初期」には魚肉ソーセージが入っていて、どう考えても昭和初期ではないことから生産終了。さらに昭和初期感を追求し、バージョンアップして再販しています。

今回は食べなかったけれど、売り場で気になった弁当もご紹介しましょう。

その他売り場で気になったお弁当

「天孫降臨マジ卍」弁当

ビリー南蛮やチキンカツなどの豪華な具は天孫降臨の地にふさわしいと感じました。

思わず手に取ってみると、ずしっと来ます。ご飯の量もすごそうです。私には食べ切れない予感がします。そっと戻します。

名前に若者言葉が使われているように、お腹がすいた若い人に向けているのでしょう。肉体労働をされている方にもぴったりです。

「エギレハギシリ」弁当

エギレは宮崎弁ですが、漢字で「餌切れ」と書き、お腹がすくことを表すそうです。その上歯ぎしりまでしている、よほど空腹のお客さんに向けた弁当だと思います

ちなみに「エギレハギシリ」「ビリー南蛮」などの他にも、「やめちょきない(やめておきなさい)」「あーたよだきー(めんどくさい)」「じゃかい卯の花て」「テバモトジャーロ(サッカーのテゲバジャーロ宮崎から?)」「刺身のなま酢て言いよるわ」など、宮崎にちなんだ弁当や惣菜、お菓子があります。

「ニクドーフニクドーフ」

肉豆腐を2回重ねて言っているだけではあるのですが、カタカナを選ぶ言葉のセンスが良いです。どこかロック的な感じもします。

「ニシメックス3」

名前は映画「マトリックス」から来ているのでしょうか。

お煮しめ大好きなので食べたかった……胃に余裕があれば……

「逆ギレ弁当」などのネーミングについて聞いてみた!

「逆ギレ弁当」の不思議な名前について、ナガノヤ本部にうかがってみました。

弁当類の名前はすべて社長がつけていますが、「逆ギレ」には特に意味はないそうです。そこをなんとか、と重ねて問うと、「響きがよい」というのが理由の一つだそうです。しかし、ギャクギレベントーと口で発音してみてもよくわかりません。そのわけの分からなさ加減がいい味を出しています。

売り場の隅っこで主張中

ふと、社長のセンスからお歳はアラフィフではないかと思い、お尋ねしたところやはりそうでした。1973年7月20日のお生まれで、その日はブルース・リーの命日だとか。もしブルース・リーが生まれ変わって宮崎でスーパーの社長をしていたら面白いですね。そういえば「ドラゴンいなりの鉄拳」という寿司もあったそうです。

名付ける社長もすごいですが、「食べづらいサンドイッチ」や「昭和初期」などの攻めた企画を出す社員の方々もすごいと思います。

多くのお客さんたちは逆ギレ弁当を淡々と買っておられました。それは日常だから。いちいち名前に反応しているわけにはいかないのです。

でもこれ、実はかなりすごいのですよ! 私は全国の旅行のたびに色々なスーパーに行きましたが、よその土地では全く見かけないネーミングセンスです。オリジナリティというものについて考えさせられます。最近では、普通の名前をつけると「物足りない」などの意見が来るとか。

もっとも、いくら名前が面白くても、商品が良くなければいけません。逆ギレ弁当が話題なのも「美味しいお弁当に面白い名前がついている」からで、弁当が美味しくなかったり、健康に悪いものだったりしてはこうはいきません。

値段も魅力の一つです。逆ギレ弁当セール中だったせいか、1つ300円(税別)くらいのものが多くて驚きました。例えば、ビリー南蛮逆ギレ弁当も350円。量もたっぷりあってこの値段、安い、安すぎる。

「ご来店されたお客様へのサービスとして格安でご提供させていただいておりますが、原材料の高騰で正直厳しい状況です。」と明かして下さいました。   

もちろん、価格を抑える企業努力もなさっていて、例えば、CGCグループに加入して安く仕入れが出来るようにするなどされています。今回も、CGCのお茶が安いので買いました。逆ギレ弁当にぴったりでした。

なぜ逆ギレ弁当が人気なのか?

なぜ逆ギレ弁当が人気なのか、作り、売る側としてはどう捉えているか尋ねてみました。

コロナで世の中がギスギスしたのも一理あるかもしれませんが、真面目に商品開発をしていますので、相乗効果でお客様の心を捉えたのかもしれません。

そんな「ナガノヤ・ウメコウジ」には、ネットやテレビなどの情報を通じて、宮崎県内にとどまらず、県外のファンも増えています。しかし、宮崎県内で展開するスーパーですので、宮崎県民以外はあまりナガノヤに直接触れる機会はありませんでした。

ところが、県外でも、ナガノヤオリジナルの焼肉のたれや餃子が売っているそうなのです。

県外の皆様、当社の「永野万能焼肉のたれ」や「逆転満塁ホームラン餃子」をお近くのスーパー様でご購入してご支援いただけると本当に嬉しいです。是非宜しくお願い致します。」とメッセージをお預かりしました。

焼肉のたれは京都市内の4軒のスーパーを回って1軒で見つけました。

これからも逆ギレ弁当を食べたい宮崎の皆さま、いつか宮崎で食べたい皆さま、他県に住む宮崎出身の皆さま、餃子やたれで「ナガノヤ・ウメコウジ」を応援されてはいかがでしょう。

宮崎市では、フェニックスやワシントニアパームが街路樹になっていても、日常の光景。

次に宮崎に行く時は「ニシメックス3」か「ニクドーフニクドーフ」か「イキリ寿司」を食べたいな、と思っています。

イキリ寿司
おすすめの記事