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ゴッホ展開幕直前!天才画家ゴッホの人生や作品をテーマにしたオススメ映画まとめ


2021年秋、上野・東京都美術館では『ゴッホ展 響きあう魂 フィレーネとゴッホ』が開催されます。美術史において最も偉大な画家のひとりとされ、37歳で人生を遂げたフィンセント・ファン・ゴッホ。

多くの挫折を繰り返しながら、社会に適応できなかった孤独な天才が、画家でいたのはたった10年間!しかし、その凝縮された期間に描かれた作品は約2000点にも及びます。

そこで、今回は画家ゴッホの人生や作品をテーマとした映画作品をご紹介。伝記映画からドキュメンタリーまで、バラエティに富んだ作品群から、オススメの映像作品を5つピックアップしてみました。

それでは、早速見ていきましょう。

カンバーバッチがゴッホに扮する『ゴッホ 真実の手紙』(2010)

TV用映画としてBBCに製作された本作は、ゴッホのオランダでの若き日々からフランスで命を絶つまでの人生を、ゴッホの遺した手紙から「ゴッホ」という人物を描きだすドキュメンタリー。

初期の地味で暗いオランダ時代の作品から、後期の色彩渦巻く名画の誕生に至まで、作風の移り変わりが綴られながら、ゴッホをよく知らない人にも分かりやすく、いいテンポでさくさくと進行するので、ゴッホ初心者さんには見やすい作品です。

ベネディクト・カンバーバッチがゴッホに扮し、画面越しに私たちに語りかける演出にも、注目してみてください。

全編が油絵風のアニメーション『ゴッホ〜最後の手紙〜』(2017)

本作品は、「ひまわり」などの名画で知られるフィンセント・ファン・ゴッホの謎に包まれた最期を、ゴッホ風に描かれた約65,000枚の油絵を使用し、アニメーション仕立てにしたサスペンス。

自殺したとされる画家が弟テオに宛てた「最後の手紙」を託された主人公が、その責務を果たそうと奔走するうちにゴッホの死の真相に迫っていきます。

実際に油絵が動いているかのように見える不思議な映像体験をお楽しみください。

デフォーがゴッホを熱演『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2018)

本作品は、幼いころから精神に病を抱え、まともな人間関係が築けず、常に孤独だったフィンセント・ファン・ゴッホの半生を描いています。

才能を認め合ったゴーギャンとの共同生活も、ゴッホの衝撃的な事件で幕を閉じることに…あまりに偉大な名画を残した純粋な天才画家は、アルルの地で何を見て感じていたのか、その答えは作品にあるかもしれません。

『バスキア』『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベルが監督と脚本を担当し、ゴッホを演じたウィレム・デフォーが第75回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀男優賞に輝きました。

芸術の価値と向き合う『世界で一番ゴッホを描いた男』(2019)

本作品は、複製が制作で世界の半分以上のシェアを誇る中国の大芬(ダーフェン)で、ゴッホの複製画を20年間描きつづけている “世界で一番ゴッホを描いた男” のドキュメンタリー。

出稼ぎで街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年間ゴッホの複製画を描きつづける生活を送り、いつしか本物のゴッホの絵画を観たいという夢を叶えるため、アムステルダムのゴッホ作品を訪れます。

ゴッホ作品に魅せられ、自分の人生とゴッホの生き様を照らし合わせ、何をすべきかを見つめ直し、芸術の価値と向き合う趙小勇の姿に、心が動かされます。

ゴッホの世界随一の個人コレクター『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』(2019)

本作品は、ゴッホの世界随一の個人コレクターであるヘレーネ・クレラー=ミュラー氏の視点でゴッホに迫るドキュメンタリー。

ゴッホ作品の個人収集家として最大規模の約300点を収集したヘレーネ・クレラー=ミュラーは、ゴッホ作品のみならず、ゴッホが影響を受けた画家にも広がり、1938年に一大コレクションはクレラー・ミュラー美術館として結実しました。

ゴッホとヘレーネが残した膨大な手紙から、芸術と人間の生を探究する2人の深層に迫っていく本作は、現在AmazonのPrime videoやU-NEXTで有料ですが…美術展に合わせて鑑賞してみてはいかがでしょうか?

最後に…

ここで紹介した5つの映像作品以外にも、いろんな視点で描かれることが多い、短いながらも激しいゴッホの人生。

私たちはその情熱あふれる絵画制作だけでなく、その謎めいた最期を知りたい欲望に駆られ、ゴッホという一生に魅せられるからかもしれません。

2021年9月18日(金)から12月12日(日)まで、ゴッホ作品がご覧になれる、『ゴッホ展 響きあう魂 フィレーネとゴッホ』が東京都美館で開催されます。

ぜひ、この機会に美術館で鑑賞できるゴッホの作品のみならず、映像から彼の人生にも触れてみてくださいね。

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。

日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に…#日本酒がある暮らしをコンセプトにしたメディア&コミュニティ『酒小町』の編集長をつとめるほか、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

Instagram:@shin_makiko

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