ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド エピソード2

2023年、再び訪れたニューヨークではさらに多くのチャレンジが待ち受けていました。このコラムは、そんな中でヘンテコな私が、半歩ずつ自己実現をめざし孤軍奮闘してきた経験を綴ったものです。観光旅行では味わえないニューヨークの一面を知ることが出来ました。それをご紹介していきます。

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★ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド
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図書館に行ってみた

さて、前回お読みいただいた方はご存知の通り、娘のアパートは上階からの長年の水漏れで天井壁がベロリと垂れ下がり工事中、その上その工事から排出された鉛により赤ん坊に健康診断で中毒レベルの測定値が出て、娘たちは急ぎNYのアパートから避難して不在になってしまいました。それが、私が羽田空港を離陸した頃のことで、JFK空港に到着して電話でそれを知らされ、しばし、呆然。

結局、工事が一段落して娘たちが帰ってくるまで、会うこともできないので、とりあえずは一人で何とかやっていかねばなりません。まずは、ジェットラグを調整し、NY時間に体を慣らそうと思っていましたら、

「ぎゃぁーっ」朝4時50分に黒猫のローゼが独特の声で鳴き声を上げました。新人キャットシッターとしては、この時間にいつも朝ごはんをもらっていたのかもしれないと思って急ぎ起き出し、2匹に餌を。餌は魚の缶詰、うちのミーちゃんは、ドライフードが主食なのですが、ここでは、それは、おやつの位置づけです。そのせいか、ここの猫たちはとても毛並みがキレイです。帰国したら、さっそくうちのミーちゃんの餌もお魚中心にかえてやらねばなりません。

食べたら、出さねばなりません。それで、猫のプーとピーの始末をする箱(リタージニーという名前)をチェックしましたが、メモには「そこに入れておいて」と書いてあるだけです。このボックスが、いくら魔法使いのジニーだとしても無限にピーとプーを引き受けてくれるはずはないと飼い主のジェニファーにメールを送ってみますが、彼女はよっぽどのことがないと返信してきません。困ったなぁ~、一杯になっちゃったらどうするの?

初めての家の中の仕組みを一通り探検し終わった私は再びベッドにダイビング!

「さてどうする?」と天井を見つめていたら、昨年寂しい時に図書館に行ってみたら、日本の書籍コーナーがあって、村上春樹を始め、私の好きな作品が一杯あり、そこでしばらく本を読んでいると気持ちが落ち着いてきたのを思い出しました。何をしていいのかわからなくなったら、できそうなものを何でもいいからやってみるというのが最良の方略の1つです。それに今年はもう1歩進んで図書カードを作れないかを日本で調べてきていました。

その上、ここは、ブルックリン植物園ブルックリン美術館の真ん前で、その横にブルックリンセントラル図書館があるという好立地。トップの写真にあるようにこの図書館は日本の公共図書館建物のコンセプトとかけ離れ、「さぁ、文字を読むぞ」という気風に満ちています。

実を言うと、私のキャラはぐずぐずで行動にまで移すのにすっごく時間がかかってしまうのですけど、こんなに近い!と言うことが私の肩を押してくれました。図書館に行けば、すぐに図書カードをもらえるんじゃないかなぁ。と私にしてはとても珍しいポジティブな考えが出てきました。

昨日NYに到着してから、ここでは誰もついてきてくれそうにない状況だということは、しっかりわかっています。何でも、一人でやっていくしかありません。

ようし、行ってみよう。ブルックリンセントラル図書館に出かけました。

行ってみると大勢の黒人の人が押しかけています。世界的ラッパーのJAY-Zのエキシビションだと教えてもらいました。彼は、ここブルックリン出身で奥さんは、かのビヨンセらしいのです。地元の有名人が世界的なヒーローとは!やはり、アメリカです。うちの町にも有名人はいらっしゃいますけど、世界を揺るがしては、いないなぁ~。

素敵な図書カードをゲット

ニューヨークの図書館は本を貸し出すだけでなく、というより本の貸し出しは、ほんの一部の活動で、市民の教養のレベルというより、実践的に各人の生活をより上向かせるためのレベルで様々なプログラムが用意されています。こうしたエキシビションもその一つです。素敵ですね。だから、図書カードがあると図書館で催されている無料の語学教室やカルチャースクールに参加することが出来るのです。去年、それを知ってステイするなら、これは手に入れるしかないと日本にいる時から決めていました。

さあ、申し込みです。身分証明とニューヨークに住んでいるという事がわかる書類が必要です。英語がトホホの私は、混んでない奥のほうのブースに行ってパスポートとニューヨークに住所があることを示す証拠を見せました。去年、親戚のドナからブルックリンの私宛に送られてきた封筒の宛名を写真に撮ってあったのを運よく思い出したので、それを見せました。そうしたら、すんなり発行してくれたのです。えぇー!と、驚くほどノープロブレムでした。隣の人の手を取って喜びたいほど嬉しくなりました。カードも何種類かあって好きなのを選べるというので日本の絵本で読んでいた「怪獣くん」のカードをもらいました。日本の図書カードと違ってみんなコレクションしたいほどおしゃれです。ちょっぴりニューヨーカーに近づいた気分にもなれました。図書カード、しかもおしゃれな図書カード、持ってる人はそうはいないですよね。へへ。

その人は、しばらくしてお連れと一緒に、帰ることになったようでしたが、帰る前に私に挨拶してくれたのです。私もすぐにSee You Again!と返しました。その言葉は、私が口に出せるわずかながらの英語イディオムの一つです。そして、見送っていると、彼女の連れの女性は、足を引いていました。彼女が踊っている間、ずっと、座ったままでした。だから、もしかしたら、彼女にとっても私がここで彼女のダンスパートナー(?、と言うより取り巻いていただけですが)になってくれてよかったのかもしれません。昨日優しく写真を撮ってくれた女性に続いて、二度と会う事は無いけど、瞬間的に心が通じ合った感じの人が現れて、何だか、心がいきなり天に向かって舞い上がってしまいました。

ビール室

さて、現実に戻ると、食べ物を調達せねばなりません。昨日は婿殿がコンビニについて来てくれたので冷凍食品を買ったのですが、今日は道行く人に尋ねてスーパーに行きました。

食べ物とともに日本でも飲んだことのあるBrooklyn Breweryというローカルビールをさがしてみると、スーパーなのにビールの置いてありそうな大型冷蔵ケースが見当たりません。店員さんが私と同じく英語のうまくないヒスパニック系で、「ここにはビールないですよ」というような答え。そんなはずはないと思って店内を何周もして、、、とうとう、見つけました。

店に併設された別室で、その別室自体が冷蔵庫なのです!1部屋丸ごと冷蔵庫にしていると言うところがアメリカらしい!寒くて長くは入っていられなくて、1本買いたいのにビンの6本入りしかなくて、それを持ってすぐ退出。買えたはいいけど重くて、何でも一つの量が大きくて重い。私の腕力では、持てる量が限られているので、これは、毎日買い物をしなくてはなりません。

昨日は、すべてのものから切り離された瞬間があり、その時、ポツーンと一人で浮遊しているような心持だった、けど、外へ恐る恐る踏み出してみると、いろいろな展開が私を待ち受けていて、いろんな発見や喜びに出会うことができました。一つ一つは、ささいな出来事です。それでも、発達特性が高くて、なかなか日本社会と折り合えないと思っている私にはもったいなさ過ぎるほど大きな冒険でした。

今回はステイさせてもらっている場所の好立地にも後押しをされて、素敵なブルックリンセントラルライブラリーでの出会いをご紹介しました。次回は、ブルックリンを出て、橋の向こう側のマンハッタンへ冒険に出かけます。ぜひご覧くださいね。

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