ニューヨーク・ステート・オブ・マインド エピソード3

2023年、再び訪れたニューヨークではさらに多くのチャレンジが待ち受けていました。このコラムは、そんな中でヘンテコな私が、半歩ずつ自己実現をめざし孤軍奮闘してきた経験を綴ったものです。観光旅行では味わえないニューヨークの一面を知ることが出来ました。それをご紹介していきます。

★過去のエピソードはそれぞれ下記URLからどうぞ!
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★ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド
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ニューヨーク公立図書館めぐれば、グッドラック!

ブルックリンで図書カードをゲットした。それなのに7月8月は英会話教室はお休み、という残念な事態。

でも、ニューヨークには「ボロー」と呼ばれる 5 つの行政区、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドがある。ベッツイに報告したら、その中のマンハッタンにも行ってみたらと教えてもらった。5番街にあるニューヨーク中央図書館は、去年行って荘厳さに圧倒されていた。なぜかご縁があるブライアントパークのすぐ隣だ。場所をスマホで確認すると、ちょうどブロードウェイスターたちが歌って踊るというイベントがポップアップされた。

マイペースで支度していたら13時を過ぎてしまい、もう終わっちゃったかなと思って行ったらなんと私の大好きなアラジン(去年見て驚いたのはアラジンと言うタイトルだが主役はジニー)のジニーがいつものメロディーを歌っている。それも、炎天下で始めから見ていたお客さんがゾロゾロ帰り始めたタイミングで、前の方の席もゲット。

ジニーは去年大枚、はたいて、S席で見た時のキャスティングのようで、お金を払ってもこんなに近くで見られなかったのに。今日もジニーの魔法にかかってしまいました。

他にはライオンキングなどお馴染みのミュージカルソング。

気分を持ちあげてもらって、パークと背中合わせのニューヨーク中央図書館に行こうと5番街に出た瞬間、交差点の向こうにも図書館を発見。

赤い旗が風にそよいで、私を呼んでいます。

あちらのSNFL(スタブロス・ニアルコス財団図書館)を先に回ることにして、広い回転ドアをスィングすると、突き当りに3台カウンターがあり、図書カードの登録をしています。昨日、ブルックリン図書館でやったのと同じ要領でできるかもしれません。英語も片言、スマホ操作もマゴマゴですが、「当たって砕けろ!!」で行列に並んで目の前のサリーを着た女性スタッフに、話しかけます。全然通じません。手を振られて、横に異動して、スマホで何とか登録をします。それで、もう一度トライ。カウンターは、サリーを着た別の女性スタッフに変わっていました。ここまで登録したけど、これでいいかと尋ねているつもりですが、なにやら違っている様子。それを言ってくるのですが、まったく聞き取れません。その彼女もイライラして来て、私はだんだん卑屈な気分に。もはや、これまでかと思いきや、そこに三番目のスタッフ交代。この男性スタッフが私のような英語弱者に慣れていたのか、IT弱者に慣れていたのか、適切な対応をしてもらえて、とうとう登録完了。思わず、ハイタッチ。バンザーイ!

ここの図書館カードもゲットしました。ヒップホップが生まれて50周年記念のデザインは、さすがニューヨーク、これまたおしゃれで記念になる嬉しいカード。前にもお知らせしましたようにこちらの図書館サービスは多岐にわたり、就労につながる英会話、PC操作、シティズンシップの獲得方法、誰かとつながることができる趣味の教室とか、このカード一枚でできることが、山ほど広がります。

その英会話レッスンについて6Fのコーナーで調べていたら、向こうのドアの前に人が並び始め、見る見る間に行列が私の目の前に。その人数を数えている人に「何事ですか」と聞いてみる。「これは、誰でも入れる中級英会話教室」「えっ、事前申し込みとか、レベルチェックテストとかは?」「うぅ~ん、入りたい人は、ここに居るだけで入れます」「えっ~、これだ、私の求めていたものは」と叫ぶような気持ちで39番目(40人が定員)に入れてもらえました。考える暇がないのが、良かった。よく考えてしまったら、私の英語レベルが中級かどうか、呻吟してしまう私がいる。

咄嗟に、思いもよらぬレッスンを受けることができたのです。二時間、フリーで、そこの受講生は、世界中から集まった色んな職種の人。生まれて初めてイスタンブールの美人弁護士さんと話すことができ、日本人4人ぐらい、韓国人6人ぐらい、もちろん、中国、南米の人はもっと多い。アジア人の容貌のロシアの人やら、ぱっと見ではもはや国籍さえわからない。これこそ、奇跡の場所!地に足がつかない気分に、たった、2時間で連れて行ってくれました。

それから、スマホの電池切れを心配しながらgoogleMapも使わずにチキンサラダとクロワッサンとレモンカップケーキの夕食を携え、家に帰ったところまでは良かったのですが、まだ郊外の親せきの家に避難中の娘から「婿殿が一人で家にいるけど行かないでほしい。別に必要とされてないから」とストレートで不愛想な拒否メールが来て、気分はがっかり。

親子だから?仕方がないか。まぁ、私の場合、そうでなくても人との関係は、むずかしい。

翌日、NYで一番の頼みの綱であるベッツイとその娘クレアと三人で食事をしました。こちらに来て初めて誰かと食事をします。クレアはベッツイと違って話すのが早くて内容がほとんど聞き取れません。昨年はブルックリンの家はベッツイの家でしたので、ご好意に甘えて、一人で泊まらせてもらっていました。それが、今年はクレアに譲られ、クレアが三匹の猫と一緒に住んでいます。ブルックリンで過ごさせてもらう時間が長いので、どうしてもクレアに嫌われてはいけないと気を遣う心の状態になってしまう。人との関係は、むずかしい。

この辺で一番おいしいピザというけど、、、確かにおいしいけどピザはピザでした。

まだまだ続く~ぅ、私なりの冒険

昨日、奇跡が起こって受講できた英会話教室は一回ずつの設定で、続けたければ、その時間に定員内に並んでいなければなりません。

私は、この滞在期間中、継続が約束されている英会話教室のメンバーになりたいと思っていました。みるとマンハッタン島の上の方のハーレム図書館で7月31日から8月27日までしっかり授業を受けられる講座があることがわかりました。レベル分けクラスで、対面でもオンラインでもと書いてあります。

でも、ハーレムです。

ベッティやクレアに最近のハーレム事情を聞くと、一人で行って良しと言われ、それではと、レベル分け試験を受けに地下鉄でハーレムに向かうことに。

こういう英会話教室では人数に限りがあることをSNFLで知っていたので、1時間前に着くように出発しました。しかし、地下鉄に乗るときに、慎重に行き先を確かめ過ぎて、2本見逃してしまいました。そうすると、ハーレム図書館に30分前につき38番の番号をもらいました。けれど、今日のレベルチェックは30人しか受けられなかったのです。私は明日の11時半にもう一回来てくれと言われ、無駄足というのに弱い私は、からだが二つ折りになるほど、へしゃげてしまいました。その上、人数制限の方はない様で、12時の締め切り時間を過ぎても受付をしていたので結局80人ぐらいの人が集まったようです。

集まった人達の見つめるスクリーンには、各国語で案内表示が。でも日本語はありません。ここまで、来ちゃった日本人は私ぐらいなんでしょうか。

翌日、片道90分かけてクラス分けテスト受験、テストと言ってもフレンドリーな先生とのやり取りだけです。日本語すら、やり取りが苦手な私は、敢え無くビギナークラスに。読み書きテストならもう少し良かったかもしれません。致し方なし。

ここでは生徒のやる気も先生のやる気も遊び半分の学生ビザの人とは違います。数年前、高級英会話教室に通っていた時の授業は、映画「カサブランカ」を見て、ディスカッションでした。こんなセリフ一生使わん、みたいなボガードとバーグマンのやり取り。それに比して、ここは、仕事を得て将来はアメリカ国籍取得を目指す人たちなので、やる気満々です。そういう環境の中に身を置くのが根がナマケモノの私には最適。でも、ハーレムなのにここで飛び交っているのはスパニッシュ(スペイン語)です。英会話教室ではなく、私の行くべきはスペイン語教室?

見回してみると図書館には、ここハーレムのヒーローたちの写真がたくさん飾ってあります。地下鉄の駅にはこんなタイルのモザイクの壁画も。

よぉく見てみると、壁画の中の建物に書かれているNAACPはもう100年以上の歴史のある有色人種地位向上協会のこと、NCNWは全米黒人女性協議会です。

至る所に、人種差別との戦いの歴史があり、今もあり、この目で見て、耳で聴いて、感じることの大切さを実感することができました。

ハーレムというと黒人の町で治安が良くないといったイメージをお持ちの方もいると思います。確かに一人で行くのは危ないところもありますが、―それで言えば、ニューヨーク中にそんな場所はありーここでしか見られない黒人の文化といったものに溢れていて見ていて飽きません。なぜかスマホのGoogleMapが見られず、ダウンロードしたるるぶの地図で何とか歩き回ることが出来ました。私がそれをダウンロードしていると、図書館の前の席にいた女の子と何度も目があって、そのたんびに笑ってくれました。ハーレム図書館の前のパークでも写真を撮ってもらいました。その方は、丁寧に角度を変えて、4枚も私とランドスケープを撮ってくれました。そんなちょっとした共同作業をして私たちは笑い合って別れました。そういう些細なことの連続が私を次々に元気にしてくれます。

メインストリートには、Dr.ルーサー・キング通りとかマルコムX通りとか自分たちのヒーローの名が付いています。日本にもそんなメインストリートがあるといいですね。私たちはいったい、誰の名前をつけるのでしょうか。

今回は、マンハッタンとハーレムの様子を公共図書館巡りを通してお伝えしました。地下鉄にもだいぶ乗りなれてきました。落書きだらけで汚くて怖いイメージとはずいぶん違ってきています。いつか詳しくお伝えしますね。

次回は、とうとうあのうちの娘が、避難先からブルックリンに帰ってきて会うことに。

是非、ご覧くださいね。

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